平成26 10 24

衆議院法務委員会速記録(議事速報)



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○鈴木(貴)委員 

続きまして、大臣の就任挨拶のときに、公判審

理の充実化について大臣は触れられておりました

が、それに付随しまして、最新の警察白書を見ま

しても、「DNA型鑑定の実施件数は、年々増加

している。 警察では、DNA型鑑定のための体

制を強化する」と書かれております。

大臣も、当局の捜査そしてまた公判などで使わ

れているDNA型鑑定の有用性については認識を

されていらっしゃいますでしょうか。

○上川国務大臣 この分野につきましても、大変

な技術進歩というか、そうしたことでありますの

で、最新のそうした技術を生かしていくというこ

とは捜査の中でも大切なことではないかというふ

うに思います。

○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

科学技術の進歩なども、これは広くあまねく多

くの方に理解をされて、共有されている認識では

ないかと思うんですけれども、九月三十日付の読

売新聞朝刊でこんな見出しがありました。「「検

察主張に矛盾」 袴田弁護団が批判」、また、同

日付の静岡新聞朝刊では、「「不当な訴訟活動」

袴田さん弁護団 高検に抗議書」というような

記事が掲載をされておりました。また、今月九日

には静岡新聞朝刊にこのような見出しもありまし

た。「検察側の二枚舌主張は詐欺」「袴田さん支

援者 抗議」という記事も掲載されておりますが、

このような報道の事実、報道があったかなかった

か、これについて御存じでしょうか。

○上川国務大臣 そのような意見書というか、出

されたということは承知をしております。

○鈴木(貴)委員 この記事の内容なんですけれ

ども、袴田事件第二次再審請求審でこれまで検察

側は弁護団推薦の鑑定人が行ったDNA鑑定で用

いられているそのDNAの鑑定手法について、非

科学的でその鑑定人独自の手法だから鑑定結果は

信用できないと主張しているにもかかわらず、別

の事件の裁判では、その全く同じ手法について、

科学的根拠が十分でDNA鑑定の結果に信用性が

あると主張し、被告人に懲役十五年を求刑してお

ります。そしてまた、裁判所もその検察の主張を

認め、その判決が確定していた。こういった事実

があるんですが、これは、大臣、事実でしょうか。

○上川国務大臣 ただいまお尋ねの件でございま

すけれども、現在即時抗告審に係属中の刑事事件

にかかわる事柄でございまして、法務大臣として

所感を述べることにつきましては差し控えたいと

いうふうに思います。

○鈴木(貴)委員 改めてお尋ねをさせていただ

きます。

なぜ、現在係争中の案件、大臣の答弁はできな

いのか。そのなぜという理由をお示しいただけま

すでしょうか。

○上川国務大臣 ただいま法務大臣という大変法

務行政に携わる立場に立たせていただいておりま

して、私自身の発言そのものでさまざまな影響が

及ぼされることがあるということでございますの

で、そうした具体的な案件につきましての所感と

いうことになりますと差し控えざるを得ないとい

うことでございます。

○鈴木(貴)委員 今大臣、大臣の発言が影響を

与えかねないというような理由で答弁できないと

いうことだったんですが、まさに三権分立といい

ますか、それぞれ独立をしているわけであります。

また、司法というものは法と証拠にのっとって適

正に行われているというのが常々刑事局長の答弁

でも見られているところでもあります。法と証拠

にのっとってしかるべき判断が下されるのであれ

ば、たとえ大臣が、いや、たとえ総理の発言であ

ろうとも予断を来すようなことはない。それがま

さに日本の司法の姿ではないでしょうか。

しかし、ここで大臣が、私の発言によって影響

を及ぼすことがあるかもしれないと。まさにこの

発言自身が今司法が揺らいでいるという証拠、あ

かしではないかと思うのですが、大臣の御見解を

お示しください。

○上川国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でご

ざいますが、具体的な案件でございまして、法務

大臣として所感を述べることは差し控えさせてい

ただきます。

○鈴木(貴)委員 その所感を述べることを差し

控えさせていただくその理由を聞かせていただき、

そしてまた、私はその理由に対して納得できない

というようなことを述べさせていただきました。

また、個別の案件についてお答えできないとい

うことの一つの要因だったかと思うんですけれど

も、事前に、質問主意書も出させていただきまし

た。