《質問》

河野談話に対する安倍晋三内閣の見解を問う質問主意書に対する同内閣の回答ぶりに関する質問主意書


本年三月十四日、参議院予算委員会において、安倍晋三内閣総理大臣は、いわゆる従軍慰安婦問題に関連する一九九三年の河野談話について、「安倍内閣で見直すことは考えていない」と述べている。右を踏まえ、累次に渡り質問主意書を提出してきたが、「政府答弁書一」(内閣衆質一八六第八六号)、「政府答弁書二」(内閣衆質一八六第一〇四号)並びに「政府答弁書三」(内閣衆質一八六第一二二号)では不誠実な答弁が続けられている。このことに対し、厳重な抗議を行う思いを込め、以下質問する。


一 安倍晋三内閣として、質問主意書に対し不誠実な回答をするという方針を有しているか。


二 「政府答弁書一」、「政府答弁書二」、「政府答弁書三」を起草・起案した者、それらの決裁書に承認の署名をした者の官職氏名を全て明らかにされたい。


三 「政府答弁書二」、「政府答弁書三」の内容は、「政府答弁書一」の内容をただ繰り返す回答がなされているだけであり、より明確な答弁を求める当方の趣旨を無視した不誠実なものであると考えるが、安倍晋三内閣総理大臣の見解如何。


四 二の者は、誰の指示により「政府答弁書一」、「政府答弁書二」、「政府答弁書三」を起草・起案し、承認の署名を行ったのか明確にされたい。


五 河野談話に対する安倍総理の見解に関し、「政府答弁書一」では「平成二十六年二月二十日の衆議院予算委員会における石原信雄元内閣官房副長官の答弁を受け、政府としては、平成五年八月四日の内閣官房長官談話の作成過程について、実態を把握し、それをしかるべき形で明らかにする作業は必要であると考えている。また、御指摘の萩生田光一衆議院議員の発言については承知しているが、政府の基本的立場は、衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の『慰安婦』問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成十九年三月十六日内閣衆質一六六第一一〇号)三の2についてでお答えしたものと同じであり、平成五年八月四日の内閣官房長官談話を見直すことや当該内閣官房長官談話に関して新たな談話を発表することは考えていない。」とされ、「政府答弁書二」でも「先の答弁書(平成二十六年四月一日内閣衆質一八六第八六号)一から九までについてでお答えしたとおりである。」とされているだけである。また、「政府答弁書一」の中で挙げられている過去の答弁書を見ても、同談話が作成された経緯について主に述べられているだけで、安倍総理としての同談話に対する認識、評価は明確にされていないと考える。安倍総理として、その作成過程も含め、河野談話に対してどのような認識を有し、どう評価しているのか明らかにされることを再度求めるとの問いに対し、「政府答弁書三」でもやはり、「お尋ねについては、先の答弁書(平成二十六年四月一日内閣衆質一八六第八六号)一から九までについてでお答えしたとおりである。」とされているだけである。「政府答弁書一」で触れられている答弁書(内閣衆質一六六第一一〇号)の内容とは、「政府の基本的立場は、官房長官談話を継承している」というものである。安倍内閣として、河野談話で示されている内容は歴史的に正確な事実を反映したものであると認識しているのか。確認を求める。


六 与党内において、河野談話を見直すべきとの意見もあり、安倍総理としても本年二月に同談話を検証することを表明していた。そうした流れの中で今回、安倍総理が前文で挙げたように、同談話を見直さないと決断するに至った理由を問うたが、「政府答弁書一」、「政府答弁書二」では何の答弁もなされていない。右の理由を問うても、「政府答弁書三」でも何の説明もなされていない。当方の質問の趣旨を踏まえた回答を政府がしない理由は何であるのか、明確な説明を求める。


七 「検証」並びに「見直し」の定義について、過去の質問主意書で累次に渡り質問しているが、「政府答

弁書一」並びに「政府答弁書二」では何も触れられていない。右の理由を問うても、「政府答弁書三」でも何の説明もなされていない。当方の質問の趣旨を踏まえた回答を政府がしない理由は何であるのか、明確な説明を求める。


八 「政府答弁書一」では河野談話について「平成二十六年二月二十日の衆議院予算委員会における石原信雄元内閣官房副長官の答弁を受け、政府としては、平成五年八月四日の内閣官房長官談話の作成過程について、実態を把握し、それをしかるべき形で明らかにする作業は必要であると考えている。」との答弁がなされている。作成過程の実態を把握する必要があるということは、政府として、同談話に疑義を抱いているのかと問うたところ、「政府答弁書二」では「先の答弁書(平成二十六年四月一日内閣衆質一八六第八六号)一から九までについてでお答えしたとおりである。」とされているだけで、何の答弁もなされていない。右の理由を問うても、「政府答弁書三」でも何の説明もなされていない。当方の質問の趣旨を踏まえた回答を政府がしない理由は何であるのか、明確な説明を求める。


 右質問する。




《答弁》

河野談話に対する安倍晋三内閣の見解を問う質問主意書に対する同内閣の回答ぶりに関する質問に対する答弁書


一及び三について


 政府としては、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十四条に基づく質問に対して誠実に答弁すべきものと考えており、同条に基づく質問に対して明確かつ誠実に答弁している。


二及び四について

 お尋ねの答弁書は、内閣官房において起案し、内閣官房においてしかるべく決裁を経た上で、内閣として決定したものである。


五について

 政府の認識は、衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成十九年三月十六日内閣衆質一六六第一一〇号)一の1から3までについてでお答えしたものと同じである。


六から八までについて

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十六年四月一日内閣衆質一八六第八六号)一から九までについてでお答えしたとおりであり、「何の答弁もなされていない」、「何の説明もなされていない」等との御指摘は当たらないと考える。