《質問

中国黒竜江省に安重根記念館が建設されたことに関する質問主意書


 本年一月十九日、中国黒竜江省のハルビン市において、我が国の初代内閣総理大臣伊藤博文を暗殺した安重根の記念碑を祀った記念館が開設された。右に関し、外務省の伊原純一アジア大洋州局長が当日、中韓両国の在日公使に電話で抗議を行い、菅義偉内閣官房長官が記者会見で、「安重根はわが国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリスト」と述べ、批判をしている。
 右を踏まえ、質問する。


一 今回中国ハルビン市において、安重根記念館が開設されたことに対する政府の見解如何。


二 安重根に対する政府の認識如何。前文で触れたように、菅長官は「テロリスト」と表現しているが、右は政府の公式見解か。


三 政府として、安重根記念館の計画を初めて知ったのはいつか。


四 政府として、三の時点から中国並びに韓国にどのような働きかけを行ってきたのか説明されたい。


五 実際に記念館が建立された今、四の政府の働きかけは不十分であったと言わざるを得ないと考えるが、政府の見解如何。


六 安重根記念館と同趣旨の、中韓共同の歴史認識に関して我が国を批判する動きが、今後も出てくるか否か、政府としてその具体的事例を把握しているか。また、それを阻止すべく交渉を行っているか。



 右質問する。




《答弁》

中国黒竜江省に安重根記念館が建設されたことに関する質問に対する答弁書


一及び五について

 政府としては、御指摘の記念館の建設が北東アジア地域の平和と協力関係の構築に資するものではないとの我が国の懸念を、これまで累次にわたり大韓民国政府及び中華人民共和国政府に対し伝達してきたにもかかわらず、同記念館が建設されたことは残念であり、遺憾であると考えている。


二について
 安重根は、内閣総理大臣や韓国統監を務めた伊藤博文を殺害し、死刑判決を受けた人物であると承知している。


三について
 御指摘の記念館に関しては、政府として情報収集を行ってきたが、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、お尋ねについて明らかにすることは差し控えたい。


四について
 政府としては、大韓民国政府及び中華人民共和国政府に対し、本件をめぐる我が国の懸念を累次にわたり伝達してきたが、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは差し控えたい。


六について
 お尋ねの件に関しては、政府として、引き続き情報収集を行う考えであるが、外交上の個別のやり取り等の詳細について明らかにすることは差し控えたい。