シニア世代男性が 子ども・子育て支援と出会うとき ~大日向雅美さん | ともに育ち、生きるまちへ~水谷たかこ(小金井市議会議員)blog

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「孤育て」がつらかった自分の経験から、子育て支援のNPO活動を開始。子育て支援ネットワーク、親の介護や成年後見の仕事を経て、多様な市民が地域で支え合うコミュニティの実現を模索中。2019年12月より小金井市議会議員。

2月8日日曜日
にっぽん子育て・子育ち応援団が主催するイベントに参加しました。

 

2019年度地域まるごとケア・プロジェクト

地域包括および子育て世代包括ケア先進自治体調査と地域人材交流研修会開催報告会

見えてきた!
地域ぐるみで、みんなまるごとケアのヒント
市民発 ごちゃまぜ 真剣 まるごとケア

 

イベントの様子は写真撮影禁止だったので、資料を。

 

 

基調講演は、大日向雅美先生(恵泉女学園大学学長)でした。

タイトルは、

シニア世代男性が 子ども・子育て支援と出会うとき

 

2003年に私が子育て支援の活動を始めたころ、大日向雅美先生と、汐見稔幸先生のおっかけをして、あちこちで講演を聴きまくっていた時期がありました。

にっぽん子育て・子育ち応援団のイベントには毎年参加していますが、久しぶりに、大日向先生のお話が聴けるということもあり、今年も参加しました。

 

大日向先生は、恵泉女学園大学の学長の他に、港区の子育てひろば「あい・ぽーと」の施設長や、NPO法人あい・ぽーとステーションの代表理事もなさっています。

NPO法人あい・ぽーとステーションのHP

 

NPO法人あい・ぽーとステーションが、住友生命からの助成を受けて行っている「子育て・まちづくり支援プロデューサープロジェクト」という事業で、シニア世代の男性が講座を受け、子育て広場のスタッフとして活躍されていることは前から知っていましたが、具体的な内容をお聞きすることができたので、本当によかったです。

子育て・まちづくり支援プロデューサープロジェクトの紹介はこちら

 

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大日向先生の講演のメモ

 

「シニア世代男性が子ども・子育て支援と出会うとき」
恵泉女学園大学 学長 大日向雅美さん
(すべては書けなかったので、要約したり、補ったりしていますことをご了承ください)
 
1970年代初めの、コインロッカー・ベビー事件をきっかけに研究を始めた。
「子育てがつらいなんて、おかしい」という声や「3歳児神話」と戦い、子育て支援をしてきた。
 
1990年の1.57ショックから、四半世紀が過ぎたが、少子化は止まらない。
「その間、何をやってきたのか?子育て支援が無駄だったのではないか?」という声がある。
 
母親たちからは
「子育て支援なんて実感できない」
「ワンオペ育児でつらい」
そんな声が上がる今、自分たちの取り組みが微力だったとの思いがあるのは事実だ。
 
しかし、流れは遅くても、着実に変わってきているものもある。
それは「地域」
 
これからは老若男女共同参画で子育てを支援する時代。
これまで地域には無縁だ、厄介だと言われてきた、中高年男性たちの活躍がある。
新たなムーブメントや価値観の転換が起きている。
 
港区の「あい・ぽーと」は、2003年から活動してきた。
なぜ地域の方々に着眼する活動を始めたのか?
もちろん、親と子が楽しく集ってくれる場にしたいとの思いがあった。
お母さんたちに、一人の女性として、社会人としての自分を取り戻してほしい、
そんな思いから「理由を問わない一時預かり」事業をやってきた。
「24時間営業のコンビニを一人で営業しているみたい、少しの時間でいいから、ゆっくり休みたい」という母親たちの声にこたえてきた。
私が「理由を問わず、一時預かりをする」と言ったとき、
(今はそんなことをいう人はいないが)「荷物みたいに子どもを放り投げたらどうするんだ」という批判があった。
保育という現場では、「子どもの最善利益」を最優先にするかげで、
親のことはあとまわしになりがちだった。
あい・ぽーとでは12/31~1/3の4日間の休みを除いて、年中無休で保育している。。
保育する人が足りない。

人生経験豊かな人が地域にたくさんいる。
この方たちにきちんと保育の勉強をしていただいて、スタッフになっていただこうと考えた。
それが「子育て・家族支援者養成講座」。
当初、この事業計画を話したときの行政の反応は、
「主婦でしょ?こんな3か月の講座を受けますか?」という反応だった。
それが、2004~2015年までで、5つの自治体で1800人の認定者がいる。
この事業が、2015年に東京都の「子育て支援員養成講座」のモデルになった。
 
受講者は99%が女性だった。
「おんなこども」の世界ができ上っていた。
そんな折、まもなく団塊の世代の大量退職が始まるというニュースに触れた。
退職した男性の生きがいと言えば、「そば打ち、育じい、〇〇(注:メモできず)」と言われていた。
もったいない。地域にいかしてもらえないだろうか?と考えた。
中高年男性は、「うっとおしい、肩書人間、地域になじまない」と言われていた。
本当にそうだろうか?
その方たちには、豊富な経験、技術、知識がある。
 
男性に焦点をあてて、地域活動に入っていただくために、どうすればよいのか。
子育て家族支援者という言葉ではなじみがない。
それは女性の世界でしょ?と敬遠されるのではないかと考えた。
 
そこで、「現役時代の名刺で勝負」というコピーを考えた。
褒めていただいたが、考えたのは私なんです(笑)。
2013年2月にキックオフシンポジウムを六本木ヒルズで行い、400人の方に参加していただいた。
住友生命から助成をいただき事業化した。
受講者は55人からスタートした。
中には勘違いしている人もいたが、そのうち消えていった(笑)。
 
集まってくれた理由は3つあった。
①現役を退いても、社会とつながっていたい、という人間の根源的欲求。
定年退職して、楽しかったのは1週間だけ。
②懺悔。自分の子育てはしたことがない。もっとやっておけばよかった。懺悔。罪滅ぼし。
③奥様に送り出されたから。
 
子育て・まちづくり支援プロデューサーという名前は長い、ということで、「まちプロさん」と呼んでいる。
まちプロさんたちの人生観が一変し、物の見方が変わった。
子育てを家族の枠に固定化するのではなく、地域で見守ることが必要。
 
まちプロさんたちの声(書いてもらったもの)。
Aさん
異業種に飛び込んだ。多くの友人ができたよろこび。
こどもとご家族と苦楽を分かち合うことができる。
Bさん
他者への関心、やさしさ、いたわり、わかちあうことの大切さを感じる。
Cさん
競争社会の会社だった。業績が上がらないと、「お荷物」と見下される職場風土だった。
毎日のようにかわいらしいこどもと接する喜び。
きれいごとだと言われるかもしれないが、「きれいごとを実現しようとする努力が尊い」と思うようになった。
豊かな第二の人生が広がっています。
 
まちプロさんたちの活動は、小さなNPOの大きな社会実験。
現在8期生まで来ている。
 
男性たちの養成講座を担当して、新鮮なことは、遅刻がゼロということ。
学生さんは遅刻するのが普通。
なぜ遅刻しないのか、と尋ねてみたら、「仕事ってそういうものですよ」と言われた。
また、質問をたくさんする。
講座で教わったら、質問するのが礼儀だと考えている。
(大日向先生は)施策の歴史を担当するが、受講者の感想は、
「自分たちがしてきた企業の仕事は四半期決算。長くても2~3年のプロジェクト。
子育て支援の世界で四半世紀やってカタチになったことに、自分が参加できてうれしい」
絵本の読み聞かせの講座が終わったとき、「誰かやってみませんか?」というと手がたくさん上がる。
学生さんや女性ではなかなか手が上がらない。
手を挙げた人が上手だったかというと、下手(笑)。下手だけど味がある。
やっていくうちにうまくなる。
 
認定式をやるという案内をしたときに、「ドレスコードを決めてくれ」と言われた。
長い間、組織で生きてきた人たちだ。「そんなこと自分で考えて決めてくれ」と思う(笑)。
でも、そんな文化の中で生きてきた人と、女性とごちゃ混ぜにすることで、新しい文化が生まれる。
 
月に一回、スタッフのバックアップをする。
男性たちはけんかする。まとまらない。
まとまらなくて、「大日向先生の意見は?」と求められると、言う。
すると、「OK」と収まる。それ以上とやかく言わない。
 
まちプロの活動は様々あるが、
バックオフィス活動でのサポートで助かっている。
子育て支援をやっている女性たちは、苦手な分野をやってくれる。
 
麹町で2つめの拠点ができた。地域の交流拠点としてカフェを作った。
まちプロさんにカフェマスターになってもらった。
男性は、2つのことを同時にできなくて、ものすごく時間がかかる(笑)。
それでも、いろいろ文句を言いながらやってもらっていたら、今では素晴らしいカフェマスターになった。
 
利用者支援事業の相談員としても活躍してくれている。
ワンストップで相談できる広場にあることが大切。
お母さんたちは、相談窓口にたどり着きにくい。
まちプロさんたちは、時間無制限で聞くことができる。
専門家ではないから、解決はできないけれど、窓口となって、たらいまわししない。
 
人間っていくつになっても変われるんです。
シニア世代の地域活動が投げかける新たな社会モード転換
競争原理から分かち合いへ
支え・支えられてお互い様の哲学(スウェーデンのオムソーリーに似ている)の醸成
支えている喜びを感じられる。
 

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「人を巻き込むには、仕掛けが必要。でも、その仕掛けを、気づかせちゃいけないのよね。」

とほほ笑む大日向先生は、相変わらずチャーミングで、とっても魅力的でした。

仕掛けていきます。元気をいただきました。

大日向先生、スタッフの皆さま、ありがとうございました!