認知症の人が語る認知症 | ともに育ち、生きるまちへ~水谷たかこ(小金井市議会議員)blog

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「孤育て」がつらかった自分の経験から、子育て支援のNPO活動を開始。子育て支援ネットワーク、親の介護や成年後見の仕事を経て、多様な市民が地域で支え合うコミュニティの実現を模索中。2019年12月より小金井市議会議員。

1月11日土曜日

NHKスペシャル「認知症の第一人者が認知症になった」を見た。


認知症と関わったことのある人なら聞いたことがあるはずの「長谷川式スケール」。さまざまな質問項目に答えることで、認知症かどうかを判断するツールである。私も母に付き添って見たことがある。
これを開発した、認知症研究の第一人者、長谷川和夫さんが、2年前に自身が認知症であることを公表し、1年間取材してきたドキュメンタリー番組であった。

認知症研究の第一人者が、自らが認知症であることを公表し、取材を受けることには、ご家族も含め大変な勇気が必要だったのではないだろうか。

長谷川さんは、「家族の休息のためになる」とデイサービスの仕組みを作り、利用を勧めてきた人である。しかし、自身が利用する立場になると、「行きたくない。何をやりたいか、何をやりたくないか、聞いて欲しい」といい、行かない選択をした。娘さんに「家族のためにデイケアに行くように、勧めていたよね?それはどう思うの?」と聞かれると、「それは、(家族に負担になっても)しょうがない。」と答えた。

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(写真:元気だった頃に小金井へ来て、カラオケボックスに二人で行った時の父)

認知症だった私の父が亡くなって3年3ヶ月が過ぎた。私も、父にデイサービスに行くように勧めた。本人は、あまり乗り気ではなかった。しかし、父がずっと家にいたのでは、介護する母が疲れ切ってしまい、共倒れになってしまう。そう説得して、「行かなしゃあない(行かなければしょうがない)。お母さんのために行くわ」と通ってもらった。はじめは週に2日だったが、途中から3日に増やしてもらった。カラオケ好きだった父であっても、デイサービスでのカラオケはあまり楽しいものではなかったらしい。デイサービスの他に、月に一度はショートステイも利用して、母には休息してもらった。父は体調が優れなくなり、サービスに行っても横になって休むことが多くなっていった。
父の気持ちを優先させるには、サービスに行かない方がいいのだろうが、そうすると母の気持ちや体調はどうなるのか?本人の利益だけを求めるわけにもいかない、難しさがあった。

今でも、何が正解だったのかはわからない。私は父とは折り合いが悪かった。早く家を出たかったから、大学を卒業し就職すると同時に実家を出た。なぜ、この人のためにここまでやらなければならないのか、と葛藤したこともあった。それでも、その時の自分にできることは精一杯やったし、あれ以上のことはできなかったと思うから、後悔はしていない。

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「認知症になることは不便ではあるけれども、不幸ではない」と長谷川さんは言っていた。

「何を言っていいのかわからないわけではない。
何度も確認したりして、自分の言葉に自信が持てなくなり、今、これを発言していいのか分からなくなって、言葉を発することができなくなる。」
そして寡黙になっていき、閉じこもりがちになるというのだ。そうなのか。言いたいことがないわけではないんだよね。

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母の認知症が進みつつある今、少し振り返って考える機会を与えてもらった。母は今、グループホームにいるが、自宅に帰りたがっている。今の状況で彼女が一人暮らしするのは、現実的には難しい。

この番組は再放送されるそう。詳しくはこちらから。