米国で終了した量的緩和、今度は日本で…2日間でウォン2%急落
2014年11月03日09時37分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
 「これはステルス戦争だ」。
 ウォールストリートジャーナルの経済評論家マイケル・ケイシーが先月31日付のコラムでした話だ。通貨戦争が目に見えない方式で行われているという話だ。
 ケイシーは、「大恐慌当時のように大地を燃やす全面的な通貨戦争ではない。こうした渦中で日本がまた1発銃を撃った」ともした。彼のコラムにはコラムニスト特有の劇的な表現があふれる。ただ先月29日米国の量的緩和終了と31日の日本の量的緩和拡大で世界の外国為替市場が混沌とすることになったという彼の診断は誇張ではないようだ。
 ブルームバーグによると、29日からの2日間に円は対ドルで3%以上下がった。米国の量的緩和終了を機に円を最大限下げようとする日本銀行の黒田東彦総裁の意図通りになったわけだ。円のように意図的な価値下落ではないケースを除くとウォンが最も多く下がった。2日間で2%落ち込んだ。次いでチェココルナが1.01%、ユーロが0.81%、スイスフランが0.56%の下げ幅となった。
 市場の動揺は予想外に通貨価値を上げたりもした。アルゼンチンペソがこの間に0.28%上がった。次いでメキシコペソが0.14%、インドルピーが0.05%、インドネシアルピアが0.04%の上昇となった。ロイター通信は、「アルゼンチンペソなどは米国が量的緩和を終わらせれば打撃を受けかねない通貨だった。米国と日本の足並みの乱れた通貨政策のためかこれらの通貨がひとまず上がった」と報道した。
 市場の混沌はロシアの基準金利引き上げを無力化させたりもした。ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は1日午後に電撃的に基準金利を引き上げた。一気に1.5%上げ9.5%に決めた。市場予想の0.5%を上回る引き上げ措置だった。
 ルーブルは米国の量的緩和終了前まで最も多く下がっていた。ナビウリナ総裁の電撃的な金利引き上げは量的緩和終了がもたらす衝撃を防ぐためのショック療法だった計算だ。だが、ブルームバーグは、「金利引き上げ効果はたった2分しか続かなかった」と報道した。ルーブルが再び下がり始め、過去最低である43ルーブル台まで下がった。
 ステルス戦争はまだピークに達してはいない。欧州中央銀行(ECB)も量的緩和を断行する可能性が大きい。景気低迷とデフレリスクに対応するためだ。ケイシーは、「中国も輸出競争力を維持するために人民元上昇速度をもう少し積極的に調節することもある」と予想した。韓国の経済政策担当者の悩みはさらに深まるほかない。
 韓国銀行は日本の追加量的緩和発表当日の先月31日に続き、3日にも緊急実務会議を開き日本の追加量的緩和が韓国の金融市場と実体経済に及ぼす影響を点検する。韓国銀行関係者は、「円安の衝撃があっても金融部門は復原力を維持するものと判断される。だが、輸出市場は日本と競合する業種を中心に悪影響を受ける見通しだ」と話した。
 韓国銀行は今年初めに「円安リスク要因に対するストレステスト」を実施した。結果を見ると、円が100円=800ウォン台まで下落すると仮定すると、電機電子、輸送装備・機械、石油化学の順で収益性が悪化することが明らかになった。
 韓国金融研究院のチ・マンス研究委員の分析によると、韓国と日本の企業が中国にそれぞれ輸出する100大品目のうち75%が重なる。チ研究委員は、「中国の輸出市場で韓国企業が日本と競争する品目は部品・素材のような中間財だ。供給先を変えにくい中間財の特性のためこの1~2年間の円安の衝撃は水面上に現れてはいないが、これからは変わるだろう」と話した。合わせて「電子、造船、自動車、鉄鋼などの部門で日本製品が円安で価格競争力を持つことになった。中国の輸入先変化に韓国企業は留意しなければならない」と指摘した。円安が長期化すれば金融市場も安全とは言い切れない。「円下落→ウォン換算輸出入変動→企業収益性下落→企業信用リスク増加→銀行財務健全性悪化」とつながりかねないためだ。