【コラム】韓国は外交上手で指折りの国
2014年09月03日09時36分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

韓国はなぜ米国でより注目されて、より重視されないのかと心配している私の韓国の友人がいる。彼らは一連の質問を吐き出す。なぜ米国官僚らやシンクタンクは韓日間の歴史・領土対立でソウルの肩を持たないのか。韓国の公共外交が非効果的だからなのか。韓国政府はロビー活動を強化しなければならないのか。ワシントンで、韓国がさらに良く目につく国になるには、次に挙げるいくつかの歴史的背景を考慮すべきだと考える。
最初に、歴史的に米国はアジアよりも欧州、韓国よりも日本に集中する傾向があった。だが、こうした傾向にはやい変化が起きている。ジョージ・ワシントンは辞任の挨拶で米国が老いた欧州の同盟外交には巻き込まれないことを国民に訴えた。だが20世紀の米国の戦略は常にアジアよりも欧州を重視した。
2番目、最近の何年間かで逆転が起きた。米軍事力の中心は欧州からアジア太平洋地域に移動するだろう。歴史上初めてだ。また世論調査をしてみると、大多数の米国人がアジアが欧州よりも重要だと答える。ところで日本を優先視する米国の政策が、韓国に常に不利なものではなかった。トルーマン政権が韓国戦争(朝鮮戦争)への参戦を決めたのは日本を防御するためであった。ジミー・カーターの在韓米軍撤収の白紙化は、日本のワシントンでのロビーの結果だ。米国をめぐる韓日関係は、過去も現在もゼロサムではない。
3番目、ここ数年間の韓国の対米外交は非常に効果的だった。ホワイトハウスの役人たちが私に常にする話がある。2009年のオバマ大統領と李明博(イ・ミョンバク)元大統領の会談は、その年で最も重要な首脳会談だったということだ。この元大統領は、米国が韓国の発展と安保にどんな意味を持つのかを説明した。彼はまた、米国の外交と発展のために韓国がどのように助けることができるのかについても提案した。オバマ政権はスタート当時、中国に対する関与(engagement)政策と日米同盟を通した勢力バランスの維持を公約した。オバマ政権の役人たちは、韓国が主な防衛産業品の輸出国ということと、最も信頼に値するパートナーだという事実を知って驚いた。それでホワイトハウスは韓国の主要20カ国(G20)首脳会議・核安全保障サミット・世界開発援助総会の開催と韓国の対北朝鮮政策を強力に後援した。韓悳洙(ハン・ドクス、2009~2012在任)駐米韓国大使は、米議会を極めて効果的に説得して韓米自由貿易協定(KORUS)締結に寄与した。彼は忍耐心を持って議員とマン・ツー・マンで接触してKORUSが議員の地方区に持ってくる経済的利益について説明した。米豪自由貿易協定の締結のために駐米豪州大使が韓大使の外交術をベンチマーキングもした。韓大使の後任もまた、米議会との強力な関係を維持した。韓国政府ほどワシントンの政界で影響力のある政府はごく少数だ。
4番目、日本を狙う韓国のロビーは、たびたび韓国という外交ブランドに傷をつけている。ワシントンの日本専門家たちは皆、日本に圧力を加えて歴史問題についてより前向きになることを要求した。韓国のロビーのためではない。韓日対立はアジアにおける米国の国家利益を害するからだ。ワシントンの日本専門家たちは、日本政府のさまざまな発言や行動が韓日関係を害するという韓国政府の説明を傾聴する。だが韓国官僚が安倍首相の「危険な民族主義」を取り上げて米国が日本に戦略的に背を向けるべきだと主張すれば、米国の役人や学者は韓国が中国側に傾くという印象を受けて当惑する。状況を見抜いているアジア専門家たちは、韓米同盟がどれほど強力なのかよく分かっている。だが一部人々は、韓国の日本批判を指してこのような前提に挑戦する。多くのワシントン専門家たちは、領土問題に関連した韓国のロビーが韓国国内用だと見ているために、米国の政策には何の影響も及ぼさないと判断する。米政府は独島(ドクト、日本名・竹島)や東海(トンへ、日本海)呼称問題についてどんな立場も取らない。ワシントンで2つの問題に関連したセミナーが開催されたり、州政府が教科書に関したいかなる決定を下したりしても、米国政府が韓国・日本のどちらかを選択することはないだろう。韓日両国ともに米国にとって核心同盟国だ。また韓国の財団は米国学者を後援する時、慎重でなければならない。韓国の肩を持つように誘導する研究費支援は、学問の独立性という価値に相反する。
ワシントンでの韓国の影響力は増大し続けた。韓国は前向きなメッセージを送る国だからだ。米国の世界戦略でアジアはより一層重要な地域になった。中国に対する信頼や日本政治の安定性に疑問が起こるたびに韓国の価値は上がる。韓国の外交ブランドが最も効果的である時は「グローバル・コリア」が貧困・核拡散・援助・貿易などの分野で解決策を出す時だ。韓国が日本に相対的な利益を取ろうとすれば、韓国はあまりグローバルでなく、あまり前向きではない姿として自らを位置づけることだ。韓国と日本が同じ立場で米国に何かを要求する時に、両国の外交力が増加する。米国は、韓国と日本という北東アジアで最も近い同盟国が、1つの声で出てくる時に「違う」とはいい難い。効果的な外交は、効果的な政治と同じように「君が私のために何をできるか」を尋ねるのでなく、「私が君のために何ができるか」を見せるところから始まる

マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)副所長