【コラム】中国の求愛は、なぜこれほど熱いのか
2014年08月20日10時50分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

「アイスクリームを揚げたもの」のようだ。イ・ヒオク成均(ソンギュン)中国研究所長が伝える先月の韓中首脳会談についてのある中国官僚の評価だ。何の話なのか。揚げたアイスクリームのように、表面は熱いが中は冷たかったということだ。両国政府が表面的には「歴史的な成功」などと言っていたが、内部的には互いにとても残念がっていたという話だ。
何がそんなに残念だったのだろうか。韓国の立場から見れば、北核問題に関して期待に沿うほどの進展がなかった。共同声明は依然として北朝鮮の核開発反対でなく韓国まで含めた意味での韓半島(朝鮮半島)の核開発反対を明らかにした。朴槿恵(パク・クネ)大統領の統一構想であるドレスデン宣言は、ドレスデンという言葉自体を使用できず、その内容を共同声明に盛り込むことで満足しなければならなかった。
中国が残念がったことは何か。韓国をもう少し中国のそばに引き寄せなければならなかったのに、韓国があまりにも慎重になっていたために、それが出来なかったということだ。韓国に向けた中国の求愛は、あまりに攻勢的だった。「一家族の人(一家人)」のように密着した関係であることを強調しようと努めた。習近平・中国国家主席の訪韓を「親戚の家に行くこと(走親戚)」と表現した。習近平は特に彭麗媛夫人と共に韓国を訪れて、家族的な雰囲気を演出した。オバマ米大統領が4回も韓国を訪問しながら1度もミシェル夫人を同行しなかった点とは大きく区別される。
中国の熱いラブコールをどのように解釈すべきなのか。現在これに対する答として最も多く議論されているのが、米国の対中国封鎖網を打ち破るための中国の布石というものだ。米国は「アジア回帰(Pivot to Asia)」を宣言して以来、中国の台頭に強い警戒心を持って中国牽制に突入した状態だ。中国と隣接国の間に紛争が発生すれば、米国は機械的に隣接国を支援する。日本との同盟強化もそうした延長線上にある。歴史に対する反省もなく右傾化に向かっても中国を牽制するために役立つという判断のもと、日本をかばって回る。ここに韓国を加えて韓米日安保協力を構築しようとする。韓国はこの協力が北朝鮮を焦点にすることを願うが、米国は中国をより念頭に置いている。中国はまさにこのような米国主導の封鎖隊列から韓国を引き離すために韓国に精魂を込めているということだ。
また別の解釈は中国の緩衝地帯(buffer zone)拡大論だ。かつて中国は、北朝鮮を米国の影響力を防ぐための緩衝地帯として見ていた。しかし韓国との関係が次第に強化されながら今は、北朝鮮と韓国の双方を含んだ韓半島全体を緩衝地帯として活用しようとして、韓国に魅力攻勢を繰り広げているということだ。
いずれも一理ある解釈だが、中国の深さをあまり推し量っていない気がする。2つとも米国の攻勢について守勢的に対応する中国の姿を描いているという点からだ。私たちは、中国の韓国引き寄せがより攻勢的な戦略レベルで行われていることに注目しなければならない。韓国を中国側にしようとするのは、中国の長年の夢である中国の「崛起」とつながっている。
これに関連して、現実主義政治学者として習近平外交の骨格を提供していると言われる閻学通・清華大教授の主張に耳を傾ける必要がある。それによると米国を唯一超強大国とする現在の一超多極国際の構図は、2023年頃になれば米中両国による両極構図に変わる。この構図の勝者は誰になるだろうか。2つの要素を見なければならない。1つは米中それぞれの国力であり、もう1つは両国がそれぞれどれだけの友邦を確保しているかだ。この2つの「合」によって勝敗が分かれるというのが彼の話だ(『2023年世界史不変の法則』)。
閻学通教授はこれに伴い、中国は今、非同盟政策をあきらめて積極的に同盟を結ばなければならないと話す。米国が世界各地に42の軍事同盟を持っているのに対して中国はただの1つの同盟も保有していない。閻学通教授はさらに韓中が同盟を結ばなければなければならないと主張する。
中国政府が今後、同盟政策まで採択するかは分からないが今明らかなことは、中国が積極的に友軍の確保に乗り出しているという点だ。ロシアと関係を確かめ、遠くアフリカの友人を呼び、南米諸国との関係を強化する。特に「アジア人によるアジア」を叫ぶ。習近平が昨秋、周辺国の外交工作会議を開いて「親しく過ごして誠意を尽くし、恩恵を与えて包容する(親・誠・恵・容)」という周辺国の政策基調を定めたのは強力な友邦確保政策の一環だ。近づく米国との真の勝負を狙ってのことだ。韓国に向けられた中国の求愛は、中国の崛起を実現しようとする中国の世界戦略につながっている。したがって今後も執拗に展開するだろう。
残っているのは韓国がどのように対応するつもりかだ。議論が必要だ。その議論は広くて深く、また十分に行われなければならない。答えを探しにくいはずだからだ。1つ留意することがある。中国の求愛に、何の考えもなしに応じるのも問題だが、だからと言って、これを大蛇がウサギを意のままにするものだと考えて体をすぼているだけでもいられないということだ。相手の意図を正確に読みとって、韓国がむしろさらに攻勢的な対応策を用意するために心を砕かなければならない時だ。

ユ・サンチョル中国専門記者