僕がブウ編で一番面白いと思うのは絶対に、デブの魔人ブウが純粋悪の魔人ブウと分裂して自分と戦い出す所です。

ここは本当に良い!展開が熱すぎる!他の方がここを語ってるのは全然見た事がないので、僕が語ります。

このデブの魔人ブウは、当然途中まではブウ編では一番の悪役でした。ドラゴンボールの物語はこいつを倒す事で、終了すると言う流れで進んで行て、当時の読者も当然そうだと思って読んでいます。僕は、まさか今更になって、別の悪役が出てくるとはまったく想像しないで見ていたし、他の方もそうだと思います。

 

ダーブラが死んで、バビディも死んで、どんどん物語が縮小して行く方向の中で、もうデブのブウ以外に悪役は居ません。

ところが、このデブの魔人ブウは、初登場の時から、その一面を覗かせていたのですが、そんなに悪い奴じゃないんですよね。バビディの命令通りに動いてるだけで、本人は悪い事をしようって気持ちが全然無いんですね。唯無邪気で、社会通念上の、常識や倫理観が不足しているだけなんですよ。

だから、ミスターサタンと共同生活を始めると、どんどんいい奴になって行くんです。

そして終いには、もう人を殺さないし、何処も壊しませんと言うんだ。

これは面白いですよ!いいですね!流石、鳥山明!これだけ長くドラゴンボールを描き続けて、同じ事を繰り返すまいと、常に新しい展開を描こうとする意気込みを感じます。

 

何処ぞのドラゴンボールGT等と言う、原作ドラゴンボールを焼き直しただけの、馬鹿アニメとは格が違うと。鳥山明無くして、ドラゴンボールは成立しないと。鳥山明の強烈な作家性を理解せずに、上辺を真似しただけですからね、あの糞アニメは。

 

ここでブウ編の悪役はいなくなってしまうんですが、馬鹿な人間の所為でデブのブウに変化が起こってしまいます。

そして、ここがまた良い!デブのブウの葛藤が見ていて最高なんですよ!チンピラの様な悪党に可愛がっていた犬を撃たれた為に、デブのブウが滅茶苦茶怒るんですが、そのチンピラを殺しはしないんですよ。サタンが先に成敗してくれるんですが、それで許してやるんですね。サタンが成敗しなかったとしても、多分そのチンピラを殺す事はしないと思うんですよ。

それは何故かと言うと、読んでいて気付く人は少なそうなんですが、と言うか、ここまで深く考えてるのは、僕ぐらいでしょうが、この後で、今度はサタンがさっき成敗した悪党に鉄砲で撃たれてしまうんですね。ここでブウが再び、切れそうな程に怒るんですが、そのチンピラを殺さないんですよ。説明する迄もなく、ブウならそんなチンピラは一瞬で消し飛ばせます。

このシーンの、デブのブウの心の葛藤が凄くいいんだ!物凄く怒っているけど、サタンに人を殺さないと宣言したから、それをちゃんと守ろうとするんですよ。そしてこの後で、怒り狂って、頭がおかしくなって、もう一人の魔人ブウが出て来るんだ。

 

ここは本当にいいね!見ていて本当に興奮した!

 

善のブウと悪のブウに分裂して自分と戦い出すと。子供の時にアニメを見ていた時は、滅茶苦茶応援しましたよ、デブのブウを。

しかもこの回のアニメが、滅茶苦茶クオリティーが高いんですよ。ドラゴンボールZ第255話ですね。作画監督が山室直儀さんなんですよ。

ここで山室直儀さんに、作画監督をやらせるのが、アニメスタッフも判ってますよね。ここは本当に、魔人ブウ編で一番面白い所ですよ!

鳥山明本人も、描いていて楽しんでる筈です。当時のジャンプの雑誌の巻末コメントでも、

 

「ブウというキャラが勝手に動きはじめた。ひょっとして凄いキャラに成長するかも!?」

 

と、言ってますからね!この辺は原作の絵も、作画の切れがいいですからね。

 

但し、鳥山明って、物凄く映画好きで、ドクタースランプの時からそうでしたが、ドラゴンボールも特にそうだし、彼の有名な、「スーパーマン」に強い影響を受けているじゃないですか。態々原作のスーパーマンを読まなくても、大ヒットした、昔の映画シリーズを見てる方なら、判るんですけど。そっくりですからね。アクションシーンは勿論。物語的にも影響受けまくりですよ。

語ると長くなってしまうから、あっさりと説明しますが、最初の方のドラゴンボールのピッコロ大魔王編の展開は、スーパーマン2と、まるっきり同じですからね。パロディかよ、ってな位同じですからね。

ピッコロ大魔王が国王の城を占拠せて、テレビで全世界に向けて悪の宣言をして、自分が気に入らない奴は何時でも倒しに来いと。完全にゾッド将軍達ですからね。

アクションシーンも、超高速で空を飛び回って、相手を殴り飛ばしてビルにめり込ませたり、目から赤いレーザーで攻撃したり。

人造人間編の、ドクターゲロと19号が判り易いですね。そして、ドクターゲロが車の交通を妨害して、運転していたおっさんを殺すシーンが有りますけど、あれも、スーパーマン2で、似た様なシーンが有ります。

そして、今回の記事でお話している、魔人ブウが、善と悪に別れて、自分と戦い出す展開はスーパーマン3です。スーパーマン3で、スーパーマンが自分の体から、悪のスーパーマンを追い出して、自分と戦います。そして、善のスーパーマンが勝って、悪のスーパーマンを自分に取り込みます。

 

凄く似てますよね。皆さん知ってましたか?映画マニアなら知ってたでしょうね。僕はスーパー映画オタクなので、人の漫画を見ると、何から影響を受けたのかは、直ぐ分かります。

 

ドラゴンボールでは、悪のブウが善のブウを吸収しましたね。この後の展開でも、色々と新しい試みを鳥山明はしてるんですが、流石に調子に乗って、この記事長くし過ぎました。