https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170711-00000114-mai-int&pos=1
==========================================
中国による南シナ海支配の根拠をことごとく退けた仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判決から12日で1年となる。窮地に追い込まれた中国は判決の受け入れを拒否し、紛争相手のフィリピンとの2国間交渉に持ち込んで判決の有名無実化に成功した。国際法上の「法的拘束力」を無視するかのように、南シナ海の島で今、大国の「実効支配」が静かに積み重ねられている。【海南島(中国南部)で林哲平】
==========================================
国際法には、実は法的拘束力がありません。
実は、国際法は法か?という根本的な問題があるのです。
法とは、少なくとも「ルールを破ったときに、権力機関が罰を下すなり、
法を守らせるような力が働かなければならない」とされています。
しかし、残念ながら国際法を破っても、罰を下したり、法を守らせる権力機関は存在しないのです。
国際法の遵守は各国の良識に委ねられているところがあります。
日本では、日本国憲法第98条第2項に「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、
これを誠実に遵守することを必要とする」とあり、この規定により日本国は国際法順守義務が発生しています。
そして、残念ながら中国憲法にはこのような規定は存在しないのです。
近い規定としては、中国の民法通則第142条第2項および第3項に
「中華人民共和国が締結もしくは参加した国際条約が、中華人民共和国の民事法と異なる規定の場合、
国際条約の規定を適用する。ただし、中華人民共和国が保留の声明を出した条項を除く」、
「中華人民共和国法および中華人民共和国が締結もしくは参加した国際条約に規定がない場合、
国際慣例を適用することができる」、
という規定があります。
つまり、中国はビジネス法(民事法)にのみ国際法遵守を謳っており、
領土関係については、国際法に拘束されないということを最初から宣言しているのです。
なぜ、こうなっているのかというと、中国側は、①清末期に中国が事実上植民地とされたのは、
不平等条約を結ばされたからであり、「国際法遵守」にアレルギーがあるため、②現在中国が
モデルとしてソビエト法が同様だったから、の2点で説明しています。
つまり、「国際法上の『法的拘束力』を無視するかのように」ではなく、「国際法を無視する」と
最初から宣言しているのです。