5年間で、京都大学「医学部」医学科3名合格(2)
勉強熱心な生徒が、いつも裕福な家庭で育つわけではない。月謝を抑えることが必要だろうと考えた。しかし、コピーやコンピュータといった機器が質の良い教材作成には必須の時代なのだ。
そこで、
「どうすれば、リーズナブルな月謝にできるか」
を考えた。私の結論は、自分が勉強することだった。つまり、英語講師、数学講師、社会講師、理科講師と先生をそろえたら人件費がかさんで月謝を上げなければならない。
でも、一人ですべての科目が指導できたら人件費をおさえて月謝を抑えられる。しかも、
「明日は理科のテストなのに、いつものように英語の授業ですか」
という状況が解消できる。
私が英検1級に合格した後、地元の理科や社会のテストを回収して、1万枚以上のテストに解答を作成していたのは、理科と社会をマスターするためだった。京都大学の二次試験を7回受けて、数学のレベルが大丈夫であることを確認したのは、高校数学をマスターするためだった。
私の塾は、旧帝をめざす子が多いためだろうと思うけれど
「学校の先生に質問を持って行っても答えてくれない」
と、よく不満を口にする。学校の先生は、単純に忙しいし、高学力の子の持ってくる質問に即座に答えられないし、一人の生徒の質問に専念すると「ヒイキだ!」と批判されるので、質問に答えられないのも無理がない。
でも、英作文の添削や数学の解けない問題や疑問は、教えてくれる人がいないと「合格」を勝ち取るのは難しい。
こういう生徒を相手にした時に、アルバイト講師でお茶を濁そうとしても無理なんです。東大、京大、阪大、名大といった難関大をめざしている子には、早稲田や慶応の学生アルバイトでも信用されない。
ここ、三重県に早稲田や慶応はないし。
賢い生徒に、タレントのCMなんか無意味なんです。
すると、塾経営者として全く異なるスタンスに立つ必要があるわけだ。いただいた月謝をビルの維持費や宣伝広告費に使うのではない。つまり、
「頭数を増やせばいい」
という、拡大路線を捨てる必要がある。分数計算もできない生徒と、微分積分の問題を解いている生徒を同時に指導するにはいかない。テキストも、テストも、指導方法も違ってくるからだ。もちろん、講師も違う。
利益を犠牲にしても、人数を制限するしかない。同一学力集団を募集して、そこに的を絞ったテキスト、テスト、指導法、講師を用意するしかない。ファミレスのチェーン店を広げる時には、味が犠牲になる。チンして出すしかなくなる。味を本物にするには、1店集中するしか方法はない。塾も同じことなのだ。
これが、私の塾が30年以上生き残り、塾生の半数が四日市高校の生徒である理由だと思われる。拡大路線をとらなかった。とれなかったという方が正確かもしれない。
A子ちゃんは、優秀な選手だったのにクラブを犠牲にし、お母さまは学費を捻出するため生命保険を解約し、国立大学医学部に合格できなかったら医者の夢も捨てるしかないギリギリのところに追いつめられていた。そんな状況から、必死に道を切り開こうとしている生徒を前にして、金儲けを考えられなかった。
経営者としては、失格かもしれないけれど、クリスチャンというのはそういうものかもしれない。でも、それが生き残れている理由かもしれない。よく分からない。
自分はアメリカと戦争していたのに、私をアメリカに送り出してくれた父。私を受け入れてくれたバンフリートさんやブレアーさん。私をクリスチャンの道に導いてくれたエリック。とても、忘れられるものではない。
私たちの時代は生徒数が多かったし、センター試験もなく一発勝負だった。お金持ちでなかった両親のことを考えると、浪人など出来るわけがなかった。京都大学に未練はあったけれど、名古屋大学を受けた。
それでも、受験5日前に緊急入院して3日前に退院した自分が合格できたのは奇跡的な幸運と言わざるをえなかった。そんな屈折した思い出がある自分は、受験に真剣に向かい合う、自分の運命に挑む若者を見ると捨てておけない気持ちがある。
そういう姿勢というものは隠せない。塾生の子も、理由は分からないだろうけれど、私が英語も数学も理科も社会も、何かいろいろ経験を積んでいるらしいことは感じるのだろう。
生徒に共感できる部分がないと、指導などうまくいくわけがない。たぶん、大多数の塾講師や経営者と違う位置に立っているのだと思う。経営というものは、暗闇を歩くようなもの。先がまったく見えない。
「この方針の先に待っているものは谷底かもしれない」
と、誰も不安を抱えながら進むしかないものだ。私も、いつまでこの方針が支持されるのかは、分からない。
四日市高校、名古屋大学「教育学部「を卒業後、アメリカユタ州の公立ローガン中学校で教師研修を受け、帰国。英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などに合格。
河合塾学園、名古屋外国語専門学校などの英語講師を14年間勤めるかたわら(生徒アンケートで40人講師中2番人気)、地元三重県で私塾「髙木教育センター」設立。京都大学を7回受けて(英語8割、数学7割正解)、高得点を取るための方法を研究してブログやYoutube に発表したところ、アメブロ「受験生」ランキング1位。Youtube 再生回数50万回を達成。
Google, Yahoo で「京大、英作文、添削」の検索をかけると、1ページ目に、Z会と並んで5項目が現れる人気記事を発信し続けている。