昭和45(1970)年10月。上野駅前の 赤札堂 が、ABAB(アブアブ)としてリニューアルオープンすることを告げる新聞広告。
自然の詩がきこえてきます。甦える赤札堂ビル。
乾いた都会が愛の草原に変わるとき。いま甦える赤札堂ビル。
こんなコピーを見る限り、前年11月、池袋に1号店がオープンした PARCO のような路線を目指していたようにも感じられる。
1階に設置された「ステージABAB」からは、毎週土曜夕方から文化放送 『歌え!ABAB』を生中継。司会は“コント55号の弟分”とされた コント0番地。車だん吉 がいたコンビだ。ラジオ番組はABABのオープンよりも8日早く、10月10日(土曜)にスタートしている。
昭和45年10月10日(土曜)のラジオ欄
オープン後は、週1の使用だけでなく、連日にわたって人気歌手などを招いて「オープニングショー」も開催されていたようだ。
「ABAB」なる謎のネーミングだが、広告によると「遠い遠いアフリカの奥地から、巨大なかげろうのように立ちのぼる原始の響き。それとも誰れも知らぬ秘境で、可憐な花を咲かせる植物のニックネーム」と記されている。しかしその後はポエムのようになっているので、本当のところはよくわからん。
この6月30日をもって閉店してしまったのはなんとも残念。定期的に人気が再燃し続けるスウェーデン発のポップグループ「ABBA」に関連する商品や、広告を目にするたびに、ついつい「アブアブ」と読んでしまう妙な習性だけが残った…。