まつかぜ | たかがい恵美子オフィシャルブログ「やりがい、いきがい、たかがい。」Powered by Ameba

まつかぜ

夕暮れの宍道湖を右手に眺めながら、益田へ向かっています。

およそ3時間ほど。

毎日このようにして、列車や車に揺られて、何百キロの距離を移動するという生活が続いています。

このような中で身を持って知ったことがあります。

乗り物の運転手さんは、身体に大変な負担をかけながらお仕事をしておられる、ということです。

座っているだけだろ、何も労力を使っていないじゃないか、若いから平気だよ、という方もいます。

しかし、何も工夫をしないままにこのような環境で労働し続けていたら、これは確実に、短期間で健康障害を起こすだろうと思います。

仮に一日7時間ずつの乗車だとしましょう。

この間、ほぼ身動きできない空間に固定された姿勢でいます。

速度と路面の状況などに相応した振動を、常に全身で受け止めています。

同様に、連続的な騒音環境にさらされています。

ハンドルを握り、標識を理解し、前後左右を確認し、その日その時の気候条件に適合させた方法で、時計を気にしながら走るのです。

国立公衆衛生院時代の恩師で、「過労死」という概念を科学的に確立した上畑博士。

先生が最初、なぜタクシーや長距離トラックのドライバー、旅客機の乗務員さんたちの労働と疲労の関係を調べたのかが、いまは手にとるようにわかります。

荷物をお願いするとき、私たちは気軽に「なるべく早くお願い!」といいがちですし、予定の時刻に間に合わないと「困るよ!」と怒りを爆発させたりします。

頼む側の理屈としては、当然なのかもしれません。

しかし運んでいる方は、そのひとつひとつを、命を削りながら届けているのだということも、頭の片隅においておきたいです。

遥かな距離を、ぷんとワープして、持ってくるわけではないのですから。

交通網が発達し、ビジネスの世界では物流にかかるコストをいかに抑えるかが、議論されがちです。

家庭では、宅配便の料金などの方が身近でしょうか。

「人を大切にする社会づくり」を進めるときには、こうした、どうしても人の手に頼らざるを得ないサービス部分をしっかり評価するような料金の設定も、工夫することが必要となりそうです。

外はもう、とっぷりと日が暮れて、また一日が終わりに近づいています。