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「日本の食糧安全保障を強化する自助・共助・公助(前半)」三橋貴明 AJER2024.7.2

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

「税金が公共サービスに使われるのは嘘だった!?」東大卒の財務官僚が説明できない3つの税金の役割[三橋TV第885回]三橋貴明・菅沢こゆき


https://youtu.be/qgOqF-wrZyg

 

 三橋TV第884回で、この図を示しつつ、

【2024年3月末時点 日本の各経済主体の純資産(兆円)】
http://mtdata.jp/data_91.html#junnsisan



 政府の純負債(債務超過)を減らすと、家計の純資産が減るから、世界中の政府はそんなことはしない、と、解説しました。確かに極東に、「しようとしている」頭のおかしい政府がありますが、日本にしても、現実には家計の純資産、政府の純負債は共に増え続けています(ペースが低いのが問題ですが)。


 とういか、政府の純負債が増えているから、家計の純資産が増えるわけですが。


 政府が国債を発行し、財政赤字を出し(=政府の純負債増)、民間に支出する。結果、家計の純資産が増える。ただ、これだけの話です。


 2020年の特別定額給付金により、ほぼ全ての日本人が経験しているのですよ。

 安倍政権が12兆円の国債を発行し、政府の純負債を増やした。その分、国民の純資産が「10万円x人口」分、増えたわけですね。


 今にして思えば恐ろしい話ですが、かつて、多くの国民は(今もかな?)、
「政府が国債を発行すると、民間の資金が吸い上げられる」
 と、信じ込んでいました。つまりは、政府が国債を発行すると、家計の銀行預金が「減る」というわけです。


 誰か、政府の新規国債発行で、銀行預金が減ってしまった人、いる?
 

 この種の荒唐無稽な貨幣論が信じられた結果、
「今は、家計の資産が十分にあるから、政府は国債を発行できるが、やがて国の借金が家計の金融資産を抜いて破綻する!」
 といった、奇妙奇天烈なレトリックが無茶苦茶流行っていたわけです。


 要するに商品貨幣論、あるいは貨幣のプール論なのですが、実は現代の貨幣・財政の議論は1990年代と比較すると圧倒的に進化していまして、そこに希望があります。
 

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特別コンテンツ「三橋貴明×宇山卓栄:日本人はどこから来たのか(前編)」がリリースになりました。
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 参考までに、1997年に橋本内閣が財政構造改革法を成立した際の、橋本総理と新進党の鈴木淑夫衆議院議員(この方は日銀出身で、相当に経済に詳しかった。これでも)の議論を引用しましょう。

『橋本内閣総理大臣) 今、これは申し上げるまでもないことでありますけれども、我が国の財政の現況というものをぜひお考えをいただきたいと思うのであります。主要先進国中最悪の危機的状況にある、これは議員も御異論のないところでありましょう。その上で、現在の財政構造というものをこのまま放置したときを考えていただきたい。これは、経済の活力を必ず低下させます。そして、将来に背負い切れない負担を残していくということも間違いないでありましょう。
 昨日も御議論がありましたところでありまして、今、我が国の金利水準は、御承知のとおり最低の状況でありますけれども、この状況を続けていくときに、我々はクラウディングアウトを心配しないでいいか。私は心配をいたします。


『(鈴木淑夫衆議院議員) 総理の今のお話の大前提に、このまま放置しておけばというお言葉があるんですね。今、だれもこのまま赤字を放置しておこうなんと言っている党はないと思うのですね。この赤字を抑えるために歳出の構造改革を実施して、むだを排除して、歳出を抑えていこう、あるいは、一番金を食う社会保障関係の制度をいじってまでも歳出の伸びを抑えよう、みんなそういうことを考えているわけで、このまま放置しておこうなどとはだれも思っていない。
 しかし、総理が、このまま放置しておけばクラウディングアウトが起きる、つまり、財政赤字が民間の資金を吸い上げてしまう、あるいは民間の貯蓄を全部とってしまって民間の投資に回るべき資金、貯蓄が足りなくなる、これがクラウディングアウトですから、そういう事態になるかもしらぬということを言っておられます。
 そういう事態というのはどういうときに出てくるかといいますと、民間の投資が今のような沈滞した状態ではなくて、活況を呈して、民間主導型で経済が発展し始めたとき初めてそういう状況が起きるわけであります。』

 鈴木議員のクラウディングアウト論に対する批判は、方向は間違っていませんが、内容は間違っています。そもそも、財政赤字が民間資金を「吸い上げる」などということはできません。というか、政府の財政赤字が民間に資金(銀行預金)を供給します。


 民間主導型で経済が発展したところで、「貯蓄が足りなくなる」クラウディングアウトは起きません。民間主導で経済が発展しているとき、企業は銀行預金を借り入れることで資金を調達します。別に、誰かの貯蓄を借りているわけではない。銀行は、与信が通った企業のお預かり金額をキーボードで増やすだけです。


 それ以前の話として、
「今、だれもこのまま赤字を放置しておこうなんと言っている党はないと思うのですね」
 と、鈴木議員は語っていますが、財政赤字を削減し、政府を黒字化すると、家計の純資産が減ることになります。


 誰かの赤字は、誰かの黒字である以上、当たり前の話です。

 

 今はまだしもこの種の話が出てきますが、当時は誰も、
「政府の純負債は、家計の純資産になっている」
「政府が赤字になると、国民が黒字になる」
 といった当たり前のこと認識しないまま議論していたわけです。日本が凋落するのも、当然でしょう。


 いかがでしょう。橋本政権期の(これでも)ハイレベルな財政議論を読めば、いつの間にか我々が相当に前進しているのが分かり、希望が持てません?

 

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