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「積極財政派と緊縮財政派の死闘が始まった(前半)」三橋貴明 AJER2024.5.28

  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「独身研究家 荒川和久先生」が加わって頂けました。

 

日本が高度経済成長できたのはコレをしたから!輸出や人口増加ではない...たったひとつの理由 [三橋TV第867回] 三橋貴明・saya


https://youtu.be/rl8Xu1AVwsc

 

 すでに何度も解説していますが、日本は、

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_46.html#Gap

 のデフレギャップについて「小さく見える」ように、あるいは実際にはデフレギャップ(需要不足)であるにも関わらず、インフレギャップ(需要過剰)に「見せる」ように、需給ギャップ計算時の供給能力(潜在GDP)について「小さく見える」統計を採用しています。


 すなわち、最大概念の潜在GDPではなく、平均概念の潜在GDPを使っているのです。ちなみに、2001年に最大概念の潜在GDPを平均概念の潜在GDPに変えたのは、当時、経済財政担当大臣だった竹中平蔵です。


◆最大概念の潜在GDP:国民経済において、既に存在する生産要素である、労働者や資本(設備等)がフルに稼働した場合に生産可能なGDP
◆平均概念の潜在GDP:国民経済において、各生産要素を、それぞれ過去の『平均的な水準』で供給した場合に実現できると推計されるGDP


 平均概念の潜在GDPを使えば、定義からも明らかな通り、平均は現実に近づきます。たとえ失業率が10%であろうと20%であろうと、その経済状態が継続すれば、それは最終的に平均となるのです。


 日本の実際の経済成長率が下がれば下がるほど、「平均」が下がるため、平均概念の潜在GDPは小さくなっていくわけですね。そういう統計なのです。


 繰り返しますが、潜在GDPの定義を「最大概念」から「平均概念」に変えた責任者は、竹中平蔵。具体的には、「平成13年版経済財政白書(2001年12月)」が始まりになります。


 2001年版経済財政白書にはこうあります。


『なお、GDPギャップの推計値の解釈は、GDPギャップの定義や前提条件の違いがあるので注意が必要である。この推計では、潜在GDPを計算する際の稼働率について、過去の平均的な水準に近い概念を用いているが、他の推計では、過去の最大の稼働率を用いて、経済がその時点で達成できる最大限のGDPを推計し、それを潜在GDPと考え、ここでの推計より大きなGDPギャップを計測するものもある。』


 2001年時点では、「GDPギャップ計算時には注意が必要だよ。平均と最大があるから」という注意喚起が書いてあった(恐らく、当時の官僚が竹中に反発した)のですが、その後は消えてしまい、普通に「平均概念の潜在GDPが当たり前」な状況になりました。


 結果、日本のデフレギャップ(需給ギャップのマイナス)は「小さく見える」状況になり、それどころか時々プラス化することになった。


 ちょっと待て。デフレギャップとは、「=総需要-供給能力」で計算される。需給ギャップがプラス化しているということは、
「供給できない(供給能力が無い故に)財・サービスが需要されている(売れている)」
 という話になってしまうよ。そんなこと、この時空間では起き得ないでしょ。
 

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 というわけで、「その」どうしようもない内閣府の統計ですら、需給ギャップがマイナスなのですよ。

1〜3月期の需給ギャップ、マイナス幅拡大 内閣府推計
 内閣府は31日、日本経済の需要と供給の差を表す「需給ギャップ」について1〜3月期がマイナス1.1%だったとの推計を発表した。需要不足は3四半期連続で、2023年10〜12月期のマイナス0.4%から拡大した。
 24年1〜3月期の国内総生産(GDP)の1次速報を反映した。金額にすると年換算で6兆円程度の需要不足だった。23年10〜12月期は同2兆円程度の不足だった。(後略)』

【日本の需給ギャップの推移(対GDP比%)】


http://mtdata.jp/data_90.html#GDPGAP

 なぜ、「修正後」があるのかと言えば、コロナ禍以降にデフレギャップが拡大したことを受け、内閣府が、
「コロナ禍で失業した人は、労働市場に参入していると認めない(=失業者として認めない)」
 と、定義を修正してしまったためです。


 ここまでして、内閣府は「デフレギャップはない」と示したい(デフレ対策をしなくて済むので)わけですが、それにも関わらず、続くデフレギャップ(総需要の不足)。


 デフレギャップを「小さく見せよう」と、死に物狂いの努力を続けるのを見るだけで、
「ああ、日本政府は我々日本国民を助ける気はないんだな」
 というのが分かるのです。


 今回のデフレギャップ拡大も、どうせ、誰も、何もしない。ならば、「何かする」人物を国会に送り込むしかないよね。民主制の国民国家は、「我々が変えられる」という一点にのみにおいて、共産独裁国に勝っているのです。

 

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