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「全銀システムの障害と供給能力の崩壊」(前半)三橋貴明 AJER2023.10.24
  

令和の政策ピボット呼びかけ人に「やまと経営者連盟 代表理事 古賀真氏」が加わって下さいました。

 

全銀システム障害から理解できる 銀行預金って何なんだ? [三橋TV第774回] 三橋貴明・saya


https://youtu.be/R9DwGoUR4Uc
 

 さて、97年の橋本緊縮財政以降、デフレーションという総需要不足を放置してきた日本では、虎の子の供給能力が毀損し、発展途上国化が進みました。


 土木・建設分野でいえば、政府自ら公共投資を削減し(四割も削った・・・・)、指名強擦入札や談合といった「供給能力維持」の仕組みをぶち壊し、労務単価をひたすら引き下げていった。企業が消え、生産者もまた、消えていった。
 

 運送分野は、1990年の物流二法改訂(規制緩和)。新規参入が相次ぎ、価格競争が激化。賃金水準が切り下げられていった。


 運送、土木・建設のみならず、介護といった分野でも賃金水準が低下し(※政府が介護報酬を抑制するため)、新規の人材流入が激減した。加えて、少子高齢化に起因する生産年齢人口比率の低下。


 十年ほど前に、浜岡原発の対震災・津波工事を取材した際に、
「日本は今後、これほどの大規模プロジェクトを推進することはできなくなるのでは・・・」
 と、日本の発展途上国化について懸念を覚えたのですが、予想は大変残念ながら当たりつつあります。


 日本は需要に対して供給能力が不足するサプライロス型インフレに突入しつつある。


 図で表現すると、こんな感じです。

【供給能力毀損によるインフレギャップ化】



 そこに、24年問題。

佐川急便、来春7%値上げ 24年問題、燃料費高騰で
 佐川急便が来年4月から個人向け宅配便の料金を平均約7%引き上げることが26日、分かった。物流の「2024年問題」によるドライバー不足への懸念や燃料費の高止まりを背景に2年連続の値上げに踏み切る。
 荷物の3辺の合計が60センチまで、重さが2キロまでの「60サイズ」と呼ばれる荷物では、関東1都7県の区域内で運ぶ場合、現行の850円から910円に料金を上げる。低温で運ぶクール便など他のサービスでも値上げする。
 物流業界では、24(令和6)年4月に導入されるトラックドライバーの残業規制により、これまで通り荷物が運べなくなる懸念がある。物流の停滞を招かないようにするため、佐川急便は値上げで確保した原資をドライバーの待遇改善や設備投資などに振り向ける。』

 

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超絶的に面白い! 三橋先生と竹倉先生の縄文・弥生談義。日本人の男性は、縄文時代からやっていることが変わらないという衝撃の真実。

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 佐川急便の対応は、もちろん正しい。


 売価を引き上げ、ドライバーの待遇を改善し、人手を確保する。燃料費は、今後の輸入物価や為替レートの状況により、下がる可能性がありますが、人手不足の方はそうはいきません。


 これからは「現場で働く生産者」が貴重な存在になるのです(というか、すでになっている)。


 問題は、佐川急便ほどの大企業であれば「値上げ」ができますが、特に企業(荷主)相手の中小零細運輸業は、やはり「怖くて」値上げを言い出せないという点です。


 値上げを言い出した時点で、荷主から切られるのではないか? と、怯え、人手不足の中、廉価競争を強いられ、やがては人手不足倒産です。


 本来、運輸業は中小零細を含め、堂々と「値上げ」交渉をしなければなりません。断る荷主の仕事は、受けない、という選択をしなければならないのです。


 なかなか、できないのは理解できます。何しろ、必ず裏切者(無茶をして廉価で受ける業者)が出てしまう


 もちろん、廉価で仕事を勝ち取った「裏切者」にしても、超人手不足の中、苦しんではいるわけです。


 荷主にしても、価格引き上げを受け入れられないのは、自分も価格を上げられないためです。もっとも、昨年来のコストプッシュ型インフレにより、消費者が「値上げ」に慣れてきている。


 輸入物価上昇に起因するコストプッシュ型インフレと、長期デフレと政府の緊縮財政、間違った規制緩和、生産年齢人口比率低下、そして24年問題によるサプライロス型インフレの組み合わせが、最終的に日本はデフレ脱却が果たせる可能性が出てきた。


 国家、経済、社会、そして歴史とは不思議なものです。
 

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