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改訂版「インボイス制度導入は消費税増税に向けた基盤整備である」(前半)三橋貴明 AJER2023.3.7
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植田和男新総裁誕生で、どうなる日銀の金融政策?[三橋TV第675回]三橋貴明・高家望愛
最近、
「日本の農業は保護され過ぎている!」
と、散々に嘘、出鱈目を吹聴し、日本の農業破壊に貢献してきたキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏が、責任を感じたのかどうかは知りませんが、やたら「食料安全保障」を連呼し、
「日本の穀物を世界に輸出し、供給能力を維持するべき」
と、一見、まともなことを言い出してします。(相変わらず農水省、農協を悪者にしている・・・・)
確かに正論ですが、その場合、アメリカの農業戦略と真っ向からぶつかることになりますが、それをどのように突破すればいいのでしょうか。現実的に不可能なことを叫び、「俺は正しい」と、過去の間違いをごまかそうとするのは卑怯というモノですよ。
山下氏は今でも「日本の農業は保護され過ぎている」という論調は変えていませんが、保護され過ぎているならば、食料自給率38%(種や配合飼料、肥料を入れると、恐らく一桁台)といった惨状にはならんでしょ。
日本は農業を保護しなかったからこそ、現在の食料危機があるのです。そして、なぜ保護しなかったのかといえば、山下氏に代表されるグローバリストの出鱈目な論説に基づき、構造改革(関税引き下げ、等)が進められてしまったためです。
もちろん、関税を引き下げ、反対側で農家の所得補償をすれば(※欧米スタイル)まだマシでした。
ところが、日本は構造改革主義者たちが農業自由化を叫び、同時に財務省の緊縮財政により農家の所得補償をしなかった。民主党政権期に、農家個別補償という政策がありましたが、あれは正しかった(安倍政権になり、縮小されていきましたが)。
関税を引き下げるならば、農家の所得を補償しなければなりません。そうしなければ、単に農業の供給能力が失われ、将来(※今)の食料危機を招くだけです。
あるいは、農家が生産した農産物を、全て適正価格(農家が生産を継続できる価格)で買い上げる必要がある。
買い上げた農産物をどうするのか。山下氏が主張する「外国市場への供給」が、現実問題として、アメリカの属国としては不可能であるため、わたくしは、
「太平洋に捨ててしまえばいい」
と、主張し、顰蹙を買っていたわけですが(環境上、難しいようですが)、食料安全保障とは「そういう話」なんですよ。
軍隊が兵士を雇い続けたとして、戦争にならなければ「給料の払い損」です。でも、安全保障とは「そういう話」です。
日本中の農地を耕作し、大量の農産物を生産し、政府が全て買い上げ、余った(余るでしょう)ら捨ててしまえばいい。これが、食料安全保障の根幹です。
以前、ある「安全保障重視」の保守系の方に、この話をしたところ、
「そんな、もったいない・・・・」
と、言われたのですが、ならば安全保障だの、保守(日本国民を守るという意味)だの言ってはいけません。「もったいない」と安全保障は、両立し得ないのです。
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そういう観点から、わたくしはいわゆる「フードロス」の増加に大賛成です。余裕がある人は、食品を無駄にすべきです。食料安全保障の強化の方向に向かう。
本当にフードロスを無くした日には、農家の所得が激減し、廃業が相次ぎ、日本の食料安全保障は弱体化します。
日本政府には貨幣的な制約がない以上、国民の食料安全保障を守るために「農業分野でムダに支出する」必要があるのです。財源は、もちろん国債。
「国債って! 国の借金を増やすのか!」
と、三周遅れくらいの話を持ち出す人には、
「ならば、日本銀行が国債を買い取れば、話はオシマイ」
です。
すると、二周遅れの人は、100%近く、
「そんなことをしたら、ハイパーインフレーションがっ!」
と、聞きかじった知識で反論してくるでしょうが、これは安倍政権の手柄だと思います(皮肉ですが)。現実が全否定してしまった。
【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸)】
http://mtdata.jp/data_84.html#MB
日本銀行は2013年3月以降、512兆円もMBを増やしました。400兆円以上が、国債買取です。
インフレ率は? コアコアで1.9%。しかも、このコアコアCPIにしても、間接的に輸入物価(特にエネルギー輸入)の影響を受けています。
コストプッシュ型インフレ云々は置いておいても、ハイパーインフレーション(インフレ率年率13000%)にはなっていない。
なぜなんだろう?
理由は簡単。インフレ率は「日銀の国債買取量」では決まらない。需要と供給能力のバランスで決まる。
日銀が国債を買い取ったところで、需要は一円も増えません。インフレになるはずがない。
逆に、政府が国債を発行し、食料の増産を図ると、インフレの方向に向かいます。つまりは、デフレ脱却が近づきます。
まあ、ここまでは反発覚悟で正直な意見(極論というわけではない)を書いてきましたが、現実的には、
「政府が(欧州のように)農家の所得を補償する」(もしくはアメリカのように生産者価格を保証する)
「余剰農産物を全て買い取り、低所得者層に配布する」
といった施策は最低限必要でしょう。全部やっても、1兆円もかかりません。
無論、余剰農産物を「海外に援助する」でも良いですが、アメリカ「様」が認めてくれるとは思えません(できるならば、もちろんやってほしい)。
いずれにせよ、重要なのは、日本政府に「貨幣的(財政的)な制約はない」ことを理解し、日本国が食料安全保障を強化することは「可能」であることを認識することです。 そして、食料安全保障とは「農業の供給能力」なのです。
人間、問題があったとしても、解決できることが分かっていれば、前向きに動けるものなのですよ。そして、前向きに動くことこそが、解決につながるのです。
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