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「黒田総裁 デフレは貨幣現象ではありません(前半)」三橋貴明 AJER2020.2.2
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国民のバリューチェーンを守れ! このままでは困窮者の「麻生村」ができるぞ [三橋TV第348回] 三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/6DJKIXWUuck
以前から、現在の経済学(以下、主流派経済学)が「安全保障」を考慮していないことについて問題視してきました。
例えば、主流派経済学は「効用最大化」が目的ですが、防潮堤を建設したとして、その効用が最大になるのは「津波」が来た時です。
あるいは、軍隊という「サービス」の効用が高まるのは、実際に戦争になった時です。
世の中には、効用が高まらない方が望ましい財やサービスがあるわけですが、この点を主流派経済学は無視している。(※効用はどうでもいいと言っているわけではありません。)
さらには、安全保障とは事前に予測がつかない非常事態に備えなければならない。
いつ、いかなる非常事態、いかなる規模で発生するのか、誰にも予想がつかない。となると、「ビジネス」とは相性が極めて悪い。あるいは、安全保障関連で利益を出されると、国民が確実に損をする。(国民側に選択権がないため)
だからこそ、政府が「利益」とは無関係に提供しなければならない。
それにも関わらず、主流派経済学は安全保障を無視し続けた。
(ふと思ったのですが、ランダル・レイ教授やステファニー・ケルトン教授のMMT邦訳版も、社会保障は取り上げているものの、安全保障については触れていない気がするのですが、どうでしょうか)
なぜ、主流派経済学は安全保障を無視するのか。
あるいは、無視することができたのか、中野剛志先生の寄稿を呼んで理解できました。
『バイデン政権が「新自由主義」を捨て、「経済ナショナリズム」へと大転換する理由
◆「米国が地政学的に成功するか、失敗するかを決めるのは、経済学である」
ジョー・バイデン政権は、米国をどこへ導こうとしているのか。それを知る上では、政権に起用された人物の思想を探るのが、一つの有効な手段となる。
そうした人物の中で注目すべき一人は、44歳という異例の若さで大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に登用されたジェイク・サリバンである。
そのサリバンであるが、一年前の2020年2月、外交誌『フォーリン・ポリシー』において、ジェニファー・ハリスとともに、「米国は、新しい経済哲学が必要だ」という論考を発表している。ちなみに、ハリスは『他の手段による戦争:ジオ・エコノミクスとステイトクラフト』の共著者であり、国務省に勤務していた人物である。
サリバン大統領補佐官の担当は、国家安全保障問題である。それにもかかわらず、なぜ彼が「新しい経済哲学」を論じたことが重要なのか。
それは、サリバンが、経済政策と安全保障戦略、言わば「富国」と「強兵」とは密接不可分であり、「米国が地政学的に成功するか、失敗するかを決めるのは、経済学である」と主張しているからに他ならない。
そういう思想を持つサリバンをバイデン大統領が抜擢したということは、バイデン政権の経済政策は、安全保障戦略と大いに関係する可能性が高いということを意味する。逆に言えば、バイデン政権の安全保障戦略は、経済的な観点なしには理解できなくなるだろうということだ。(後略)』
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冷戦期、経済的脅威と軍事的脅威が切り離された。結果的に、経済学は安全保障(あるいは地政学)を考慮することなく発展できた。
まさに、ユリウス・カエサルの、
「人は、自分が見たいと思うものしか見ない」
を地でやったわけでございますが、現代はアメリカにとっての経済的・軍事的脅威である中国が台頭した時代です。
少なくとも、軍事的脅威に備える防衛安全保障という概念は、早期に経済学に取り込まれていくことになるのではないでしょうか。サリバン補佐官の言う「新しい経済哲学」ですね。
サリバン補佐官の言う、
「安全保障にとっては、国家債務より過少投資の方がより大きな脅威だと認識すべき」
は、現実に逆らい難い。となると、昨日の「大転換」に加え、安全保障上の脅威の高まりもまた、貨幣観のパラダイム・シフトを促すことになるのでしょう。
(詳しくはメルマガの方で解説しています)
となると、パラダイム・シフトを果たせなかった国は、コロナ禍を収束できず、国民がひたすら貧困化し、発展途上国に落ちぶれていくのと同時に、
「防衛面の安全保障も維持不可能」
という、冷たい現実を突きつけられることになるわけです。
と言いますか、現実になっている!
もはや「緊縮財政の転換」は、日本国の存続の問題であることが、改めて理解できませんか。
「安全保障強化のためにも緊縮財政転換を!」に、ご賛同下さる方は、