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「安倍政権のレガシー(後編):前半)」三橋貴明 AJER2020.9.14

    

 

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国際金融資本の真相を知り、「日本国民の国」を取り戻そう [三橋TV第299回] 三橋貴明・林千勝・saya

https://youtu.be/7k3awZjwq2A

 

日本が不景気を抜け出すケインズ主義
https://youtu.be/lmxLakqtaBE


 さて、今回、内閣府が公表したデフレギャップと潜在成長率のデータから、「この先」について考えてみましょう。
 しつこいですが、デフレギャップとは↓図の右側の乖離、すなわち、総需要の不足で、政府の統計では「需給ギャップのマイナス」「GDPギャップのマイナス」と呼ばれます。

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_46.html#Gap

 また、潜在成長率とは、潜在GDPの伸び率です。もっとも、日本は平均概念の潜在GDPを使っているため、デフレギャップが「小さく見える」のは、何度も解説した通り。


 というわけで、日銀や内閣府の発表するデフレギャップで注目するべきは、ギャップの大きさよりもむしろ「趨勢」になります。つまりは、同じ統計方式で、どのように動いているのか、が重要なのです。


 20年4-6月期、内閣府版潜在成長率は0.7%。2015年7-9月期以降、初めて下落しました。何と、15年7-9月期から20年1-3月期まで、日本の潜在成長率はずっと0.9%が続いていたのです。


 特に、ここ数年は、全要素生産性(以下、TFP)が0.4、資本投入量が0.3、労働投入量が0.3という組み合わせで、計0.9%という状況が続いていました。


 20年4-6月期(第2四半期)は、労働投入量がいきなり▲0.1になり、全体の潜在成長率を引き下げます。


 もっとも、内閣府も日銀も、潜在GDPを「過去平均」で計算しているため、4-6月期の超絶的なマイナス成長の影響で、今後の潜在成長率はひたすら下落していくことになります。

【日本の潜在成長率(%)と寄与度】


http://mtdata.jp/data_72.html#senzai

 改めて、潜在成長率に対するTFP、資本投入量、労働投入量の寄与度を見ると興味深いのですが、「労働投入量」が2014年4-6月期、つまりは安倍政権の一回目の消費税増税時から「プラス」に転じています。それまでは、人口構造変化の影響でマイナスが続いていたのが、いきなりプラス化。


 消費税増税により国民の実質賃金が大幅に下落したことを受け、女性や高齢者が「働かざるを得ない」状況に追い込まれたわけです。
 

 もっとも、潜在成長率の統計では、「働かざるを得ない」人々が労働市場へ参入すれば、「労働投入量のプラス」となります。


 15年4-6月期以降、労働投入量は延々と+0.2の状況が続いていたのですが、20年4-6月期についにマイナスに転じた。今後、雇用の悪化の影響により、労働投入量はマイナスが続くことになるでしょう。
 

 資本投入量も、雇用を追いかける形で下がっていき、年ベースでは、今年度から「日本の潜在成長率はゼロ」の状況になります。


 となると、例により「最大概念の潜在GDP」と「平均概念の潜在GDP」を故意に混同し、「潜在成長率引き上げのためには、構造改革が必要だ」のレトリックで、改革が進められることになります。
 

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 例えば、

悪化する日本の潜在成長率。私たちは「デジタル化」で復活できるか?
(前略)潜在成長率は潜在国内総生産の伸び率を指す。潜在国内総生産(潜在GDP)とは、「その国の労働力や生産設備などを有効活用した時に得られる、実力ベースの経済の体力を示す指標」とされる。(後略)』

 別に、著者の内田誠氏を責めたいわけではありません。みんな、この勘違いをしているということで、事例として取り上げさせて頂きました。


 言うまでもありませんが、内田氏の記事の潜在GDPの定義は「最大概念の潜在GDP」です。
 

 実際の日本は「平均概念の潜在GDP」なので、内閣府の定義では、
「経済の過去のトレンドからみて、平均的に生産要素を投入した時に実現可能なGDP」
 とされています。


 20年4-6月期は経済成長率が大幅なマイナスになり、今後、「平均的な生産要素の投入量」を大きく押し下げてしまいます。結果、潜在成長率は「どうあがいても下がる」のです。
 

 青木泰樹先生が本問題を「「新」経世済民新聞」で取り上げて下さって以降(※【青木泰樹】2つの潜在GDP)、何度も繰り返し、解説してきましたが、いよいよ危険な段階に入りつつあります。


 難しいのは百も承知ですが、現在の日本の統計が、
「現実の経済成長率が下がれば、潜在成長率が自動的に下がる」
 状況になっており、「構造改革が足りないからだ」等のレトリックは「全て嘘である」ことを、何とか周囲に広げて下さいませ。


 日本に足りないのはデフレ対策の財政拡大であり、インフレ対策の構造改革ではないのです。
 

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