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 一般参加可能な講演会のお知らせ。
年末特別講演会「京都大学大学院教授、元安倍内閣・内閣官房参与 藤井聡様」
2019年12月4日(水) 18:45~ 東京都新宿区
【MMT (現代貨幣理論)を学び、日本経済を展望する】
 
 
 英国ロンドンでまたもや痛ましいテロが発生しました。
 
『ロンドンで再びテロ、2人死亡 容疑者射殺、過激派と関連か
 ロンドン中心部のロンドン橋で29日午後、刃物を持った男が通行人に切りつけ、2人が死亡、3人が負傷した。英警察はテロ事件と断定した。射殺された容疑者の男はイスラム過激派との関与も指摘される。金融街シティーに近い現場では2017年にも別のテロ事件が起きており、英当局の治安対策も問われそうだ。
 英警察の発表によると、射殺された男は英中部に住むウスマン・カーン容疑者(28)。29日午後2時ごろ、ロンドン橋近くの建物で開かれていたイベント会場で参加者を切りつけた後、橋の上に移動したとみられる。カーン容疑者は爆弾のような物を身につけていたが、偽物だった。(後略)』
 
 カーン容疑者は、2012年にロンドンの証券取引所を攻撃する計画を含むテロを計画したとして、有罪判決を受け、収監されていた人物です。カーン容疑者は18年12月に電子タグ着用を条件に釈放されていましたが、一年もたたずにロンドン橋で殺傷テロを起こしたわけです。

 しかも、爆発に見えるものを装着していたため、警官としては射殺するしかなかったようです。

 12年に有罪判決を下したイギリスのウィルキー判事は、
「より深刻なジハーディスト」
 と、カーン容疑者について評しています。

 テロ事件を受け、イギリス政界は選挙活動を一時的に見合わせましたが、ブレグジット党が「保守党が勝った選挙区に候補者を立てない」と宣言した影響か、保守党がかなりリードしているようです。

 調査会社ユーガブの予測モデルによると、保守党は1987年以来で最大の過半数を制する可能性があります。総選挙に勝利すると、イギリスの20年1月末のブレグジットがほぼ確定することになります。

 以前も書きましたが、2016年6月23日の国民投票は、法的拘束力があるわけではありません。あくまで議会から国民への「お伺い」です。

 今回の総選挙において、保守党は、
EUからの離脱に関連した法案の審議をクリスマス前に議会で始め、来年1月末には離脱を実現する(ジョンソン首相)」
 と、ブレグジットを公約にしているため、保守党勝利の場合は「ブレグジットは英国民の付託を受けた」ことになります。

 話は変わります。以前も書いたのかどうか、記憶が定かではないのですが、先日の訪英に際し、個人的に印象的だったのは、博物館に子供たちが集団で見学に来ていることです。つまりは、社会科見学ですね。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
 日本の博物館でも普通の光景といえば、まあ、そうなのですが、博物館への子供たちの集団見学が実現するのは、いくつか条件があると思いました。

1.国家が「カネにならない」文化的な遺産や博物館であっても、伝統・歴史の保全といった観点から、予算を費やし、維持している。
2.子供たちに対する教育が重視され、「カネにならない」国家の文化、伝統、歴史を学ばせる価値について国民が共有している
3.子供たちを集団で移動させ、博物館で見学させても、治安上の問題はない

 上記の一つでも成立しなくなると、「子供たちの博物館での集団見学」は実現しなくなります。

 現在の日本は、カネ、カネ、カネ、ということで、緊縮財政が続いています。やがては、
「短期的にカネにならない博物館を維持するなど、ムダの極みだ!」
 という声に負け、短期的利益を生み出さない(代わりに、国家が全力で維持しなければならない)文化的遺産や展示が消滅していくことになるでしょう。 

 2017年4月に、「外国人に対する文化財の説明や案内が不十分」という理由で、山本幸三地方創生担当相(当時)が、
「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」
 と、発言したのは、記憶に新しいところです。

 2ですが、日本は教育支出までをも削減中です。しかも、子供たちの両親の所得水準が低下し、金銭的に「博物館を見学する余裕がない」状況に追い込まれる気がします。

 そして、3ですが、露骨な書き方をすると、博物館を集団で社会科見学中の「子供たち」にテロリストを突っ込ませるほど、効果的なアピールはないのです。また、一度でもその手のテロが起きた日には、その後の子供たちは博物館を授業の一環として見学し、「教養」を身に着ける(厳密には「切っ掛け」をつかむ)機会が奪われることになります。

 上記を考えると、子供たちの社会科見学を実現している日本やイギリスは、確かに「先進国」なのでしょう。

 いや、先進国「だった」というのが正しい表現なのかもしれません。

 特に、我が国の場合は財務省主導の緊縮財政思想がはびこり、政治家や国民が「カネ、カネ、カネ」になり、費用対効果だの、選択と集中だのばかりが叫ばれ(企業のリストラじゃないんだよ!)、短期的利益を生み出さない予算が次々にカットされていっています。

 先日、日本政府が京都大学に対し、iPS備蓄事業に対する年間10億円の予算を打ち切る可能性を伝えたことが報じられました。こう言っては何ですが、ノーベル賞まで取った研究に、日本政府は年にわずか10億円しか支出していませんでした。それすら、カット。

 短期的にはカネにならない博物館の予算が消滅する日も、そう遠い日ではないでしょう。

 などと書くと、今の日本政府は、山本幸三元大臣ではないですが、
「ならば、インバウンドで外国人観光客様を呼び込み、博物館をカネにすればいい」
 と、狂いに狂った政策を推進しようとするわけですが、そもそも国家の文化、伝統、歴史を何だと思っているのでしょうか。

 文化や伝統、歴史は、過去の先人が大切に我々に引き継いでくれた「カネには換算できない遺産」であり、失うことはもちろん、本来はビジネスの種にすることもはばかられる宝物なのです。

 この手の「宝物」の価値を見誤り、「カネになる? ならないの、あっそ。じゃあ、カット」とやっている我が国が、このまま存続できると思うほうがおかしいというものでしょう。
 
 本当に大切なものが、何なのか。我々は今、地に足をつけて考え直さなければならないのです。
 
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