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 一般参加可能な講演会のお知らせ。
年末特別講演会「京都大学大学院教授、元安倍内閣・内閣官房参与 藤井聡様」
2019年12月4日(水) 18:45~ 東京都新宿区
【MMT (現代貨幣理論)を学び、日本経済を展望する】
 
 
 昨日の続きですが、
「消費税は社会保障の安定化のために使われます!」
 といった綺麗ごとで「消費に対する罰金」が強化され、国民が貧困化し、その上で、社会保障の負担を増やされるのが我が国です。
 
『75歳以上 医療費2割検討 政府、22年から負担増へ
 医療制度改革で焦点となっている七十五歳以上の後期高齢者の窓口負担を巡り、政府は二十七日、現在の原則一割から二割に引き上げる方向で本格的な検討に入った。七十五歳以上の医療費は伸び続ける一方、費用の四割を現役世代が払う保険料で賄っており、世代間の公平性を確保するのが狙い。負担増には高齢者の反発が予想され、与党との調整は難航する可能性がある。
 政府関係者は二割への引き上げについて「その方向で進んでいる」と語った。安倍晋三首相は二十七日、官邸で加藤勝信厚生労働相と会い、医療を含めた社会保障制度改革について協議した。
 高齢者の自己負担は現在、現役並みに所得の高い一部の人を除いて七十~七十四歳は原則二割、七十五歳以上は原則一割となっている。七十五歳以上の医療費は約十六兆円に上り、このうちの四割は現役世代が支払う健康保険料からの支援金が占める。団塊世代が二〇二二年から七十五歳以上になり始め医療費の一層の膨張が見込まれるため、政府は七十五歳以上の人の負担を二二年から原則二割に引き上げたい考えだ。(後略)』
 
 ちなみに、「全世代型社会保障」とは、
「全世代の国民の社会保障を充実させよう」
 ではなく、
「社会保障を建前に、前世代から容赦なく所得や資産を奪おう」
 という意味になりますので、ご注意ください。

 また、例えば高齢者の医療費を引き上げる際に、推進派は、
「高齢者はたくさん医療サービスを受けるにも関わらず、ろくに負担をしていない。現役世代の皆さん、これが許せますか!」
 というルサンチマン・プロパガンダを展開してくる可能性があるので、注意してください。

 公務員を非正規雇用、派遣職員化し、パソナが儲けたいときは、国民の公務員に対するルサンチマンを煽る。
 正規雇用の処遇を引き下げ、非正規雇用と「同一労働同一賃金」にするためには、非正規雇用の正規雇用に対するルサンチマンを煽る。
 農協を解体し、新規ビジネス(というか、既存ビジネスの奪取)にしたいときには、国民の農家、農協に対するルサンチマンを煽る。
 公務員の転職をパソナが「ビジネス」にしたいならば、官僚の「再就職」を批判し、やはり国民の退職官僚に対するルサンチマンを煽る。
 公共事業を削減したいならば、土木・建設業に対する国民のルサンチマンを煽る。
 診療報酬を引き下げたいならば、国民の医師会や医療関係者に対するルサンチマンを煽る。

 緊縮財政と構造改革のために、国民を分断し、互いに争わせる。

 そして、愚かな国民は、この手のルサンチマン・プロパガンダに軽く引っ掛かり、互いにいがみ合い、ののしりあい、パソナを代表株とするレントとシーカー(政商)のビジネス拡大や、財務省の緊縮財政という省是が粛々と行われる

 緊縮財政や、構造改革は、デフレ化政策であるため、国民を貧困化させ、困窮させます。デフレという所得の(実質的)縮小に苦しむ国民は、ますますルサンチマンをため込み、プロパガンダに引っ掛かる

 という、構造がすでにわが国では作られてしまっています。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。
 
 高齢者の医療費引き上げでいえば、例えば、
「現役世代が所得減で苦しんでいるにも関わらず、金融資産を貯めこんでいる高齢者たちが医療費を優遇されているんですよ。許せますか?
 といったプロパガンダになりますね。

 ちなみに、高齢者の「金融資産」が、その他の世代と比べて多いのは確かですが、これは、
「金融資産が多い人の割合が、相対的に高い」
 だけにすぎません。多くの高齢者は、現役世代と比べて裕福に暮らしているわけではありません。

 平成29年版高齢社会白書によると、高齢者世帯の平均等価可処分所得は211.6万円、その他の世帯は307.7万円でした。

 もちろん、高齢者の中には金融資産が十分で、年金もほとんど使わず、優雅に暮らしている人もいるでしょう。とはいえ、それは「その他の世代」も同じですから。

 かつて、消費税議論の黎明期、
「ヤクザから所得税は取れないが、ヤクザもベンツを買うときに消費税を払わざるを得ない。だから、消費税は公正だ」
 といった、よくわからない「直間比率の是正」のレトリックが流行りました。それはまあ、ヤクザもベンツを買うのかも知れませんが、「全体」から見てどれだけの割合を占めるというのでしょう。

 要は、この手の「ミクロな事例」を取り上げ、マクロを変えようとするプロパガンダも使われるという話です。名付けて「木を見せ、森を焼くプロパガンダ」でございます。

 同時に、
「高齢者の医療費負担を増やさなければ、財政破綻で破滅する!」
 といった、恐怖プロパガンダも使われるでしょう。

 さらには、どこかから「〇〇大学教授」を連れてきて、
「日本の高齢者は優遇されている。世界的に見れば、高齢者の負担はどうのこうの」
 と、権威プロパガンダも展開。

 ルサンチマン・プロパガンダ、木を見せ森を見せないプロパガンダ、恐怖プロパガンダ、権威プロパガンダ。

 実は、この手のプロパガンダ手法は、ナチスが共産主義者、社会主義者、ユダヤ人などを迫害するときに使ったものと、まったく同じなのでございます。

 というわけで、特に「国民を分断する」プロパガンダに騙されないようにしてください
 
 日本を「緊縮の王国」から脱却させるためには、「違うこと」ではなく「同じこと」を尊び、国民が連携して立ち向かう必要があるのです。とりあえず、同じ日本語でしか生活できない国民同士で、いがみ合うのは絶対にやめましょう。
 
「違うこと、ではなく、同じことを尊ぼう」に、ご賛同下さる方は、
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