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『現代貨幣理論入門ー貨幣ピラミッドー(前半)』三橋貴明 AJER2019.9.17

 

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三橋TV第141回【消費増税対策のポイント還元の裏に潜む”奴ら”】

https://youtu.be/XKoy8l3AidQ

 

 昨日は「合成の誤謬」という、日本国のデフレを継続させる社会現象についてお話しましたが、今日は二つ目。
 自己実現的予言。
 自己実現的予言が何なのかは、中野剛志先生に、
三橋TV第110回【中野剛志先生から社会科学を学ぼう】
 でご解説頂きましたが、「こうなるよ」と根拠なき出鱈目の予言をしていると、本当にそうなってしまうという社会現象です。

 日本で猛威を振るう自己実現的予言は、
「日本はもう経済成長しないよ」
 になります。

 成長否定論者の政治家、学者、経済人、評論家などが、「日本は経済成長しない」という根拠なき妄想を振りまくと、人びとが、
「ああ、もう日本は経済成長しないんだ。ならば、投資をするのをやめよう」
 となってしまい、実際に成長しない。資本主義国が「投資」無しで経済成長するのは不可能です。

 人々が「日本は経済成長しない」と決めつけるからこそ、成長しない。まさに、自己実現的予言。

 そして、日本の成長否定論者という「人間の屑」たちに説得力を与えているのが、日本の人口減少です。

「人口が減るから、経済成長しない」
 と言われると、データを見ない普通の人は信じます。と言いますか、「人口が減るから経済成長しない」と言っている連中も、データを見ていません。ここでいうデータを見るとは、「世界各国のデータをきちんと見たか?」という話です。
 
【主要国の2018年人口減少率(対2000年比)】
 
 図が、2018年の人口を2000年と比較し、「人口減少国の減少率」をグラフ化したものです。日本の人口減少など、はっきり言いますが「誤差レベル」に過ぎないのです。

 一体、日本のどこか「世界最悪の人口減少国」なの?

 と、データを見せると、成長否定論の「人間の屑」たちは、
「いやいや、君は分かっていない。人口とはいっても、生産年齢人口だよ。生産年齢人口、働き手が減る国が経済成長するはずがないだろ
 と、知ったかさんを始めます。

 というわけで、
 
【主要国の2018年生産年齢人口減少率(対2000年比)】
 
 図が、2018年の生産年齢人口を2000年と比較し、「生産年齢人口国の減少率」をグラフ化したものです。少子化の日本は、確かに生産年齢人口はそこそこ減っています。

 が、ラトビアやリトアニアには及びません。このバルト二カ国は、2000年と比較して生産年齢人口が二割も減っているのです。

 というわけで、ラトビアやリトアニアは経済成長していないのか。いつも人口減少国の代表として登場させているジョージアを含め、四カ国の数字を最新データで比較してみましょう。
 
【2018年 日本・ラトビア・リトアニア・ジョージアの生産年齢人口・GDP・投資(対2000年比)】
http://mtdata.jp/data_66.html#hikaku
 
 四カ国とも、猛烈に生産年齢人口が減っていますが、GDPはラトビア4.4倍、リトアニア4.6倍、ジョージア5.34倍。
 対する日本は、1.02倍。 まるで成長していない・・・・・・・・・・。

 

【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※12月12-13日、邪馬台国視察ツアー「歴史に魅せられて、マイと辿る邪馬台国への道」開催決定!(三橋貴明、長浜浩明先生、高家望愛さんも同行します)
 
 逆に、ラトビアやリトアニア、ジョージアは、生産年齢人口が減っているにも関わらず、滅茶苦茶、成長しているじゃないか!こらぁ!

 となると、またまた「知ったかさん」登場。
「いや、あのね。ラトビアとかは新興経済国だから、生産年齢人口が減っても経済成長するんだよ。それに対し、日本は成熟国だからさあ」

 はい、この時点で成長否定論者が主張していた「人口減少衰退論」が嘘であることを、本人たちが認めたことになります。とりあえず、
「データも見ずに、出鱈目言って、申し訳ありませんでした」
 と、謝るべきじゃね?

 ちなみに、日本が経済成長せず、ラトビアなどがしているのは、成熟だ、新興だといった理由ではありません。単純に、投資(GDP上の総固定資本形成)の差です。 

 総固定資本形成で見ると、ラトビア3.46倍、リトアニア3.92倍、ジョージア5.95倍。それに対し、日本は0.87倍。

「いやいや、日本は経済成長していないんだから、投資が増えないのは当たり前だよ」
 と、知ったかさんが懸命に自己正当化を続けるのでしょうが、アホか! 総固定資本形成は「民間住宅」「民間企業設備」「公的固定資本形成」の総計のことで、GDPの需要項目なんだよ。

 お前ら経済成長否定論者、人口減少衰退論者のおかげで、日本国民が経済成長を諦め、投資(総固定資本形成)をしないからこそ、日本は経済成長しないんだ。

 例えば、生産年齢人口が減少しているドイツやイタリアにしても、そこそこ投資が増えているからこそ、そこそこ経済成長しています

 対する日本は、投資をしないから、経済成長しない。ただ、それだけの話に過ぎません。

 ところで、日本において、ここまで成長否定論、人口減少衰退論が蔓延したのはなぜでしょうか。もちろん、その方が「財務省の緊縮財政」に都合がいいためです。

 何しろ、日本のデフレ継続、経済成長率の低迷が「人口減少による宿命」となると、別に財政拡大する必要はない。というか、財政拡大しても無駄、という話になるでしょう?
 社会保障でハタンスル~っ!も、医療亡国~っ!、も、全て日本が経済成長「しない」ことが前提になっています。
 
『同友会代表幹事、消費税「10%では足りない。17%必要」
 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は24日、日本記者クラブで会見し、10月1日に迫った消費税増税について「10%では(財政が)持たない。17%がよい」と語った。桜田氏は国の予算の3分の1が社会保障に使われる現状を問題視。現役世代の負担増を抑えるため「痛みを伴う改革」の実現を政府に求めた。(後略)』
 
 ほら来た!
 社会保障が多く見えるのは、単に日本が経済成長していないためです。とはいえ、同友会を始め「財界」はこぞって経済成長否定論、人口減少衰退論です。
 となると、「経済成長しない」が前提になり、かつ「貨幣」について無知であるため、
「社会保障を賄うために、消費税増税(実際は賄いませんが)」
 あるいは、
「現役世代に安心感を与え、消費を増やすために消費税増税」
 といった、過去に何度も使われ、「嘘」であることが証明されたレトリックで増税推進をしてくるのです。

 もっとも、日本国民が「人口減少する国は経済成長しない」と、出鱈目を信じていると、財務省主導の緊縮プロパガンダは永遠に効果を持ち続けます。
 真実を語ってください。

 日本が経済成長していないのは、人口が減っているためではない。政府も民間も「投資」をしないためなのです。
 
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