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『政府、貨幣発行残高で破綻する(笑)(前半)』三橋貴明 AJER2019.8.20
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三橋TV第130回【悪魔も怯えるグローバリストの悪辣さよ】
 GDPと並ぶほどに重要な国民経済の統計「資金過不足」の統計において、資金過剰は預金(おカネが余る)か借金返済を意味します。(もしくは「収支が黒字」でも「貯蓄」でもOK)
 
 GDPにおいて、
◆ 生産面のGDP=支出目のGDP=分配面のGDP
 という三面等価の原則が成り立っているように、資金過不足統計では、
◆ 政府の収支+一般企業の収支+家計の収支+海外の収支=0
 が成立します。
 
【日本の一般企業、政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】
 
 実際、成り立っているでしょ(多少の誤差があるのは、金融機関とNPOを省略しているため)。
 
 つまりは、家計の預金(資金過剰)は、反対側に必ず「誰かの資金不足」がなければ存在し得ないのでございます。
 
 日本の家計の、一年あたりの資金過剰がピークに達したのは1992年で、約51.4兆円。それに対し、2018年の家計の資金過剰は、約14.5兆円。

 人口を1億2700万人で計算すると、92年が一人当たり約40万5千円で、18年が約11万4千円。

 無論、資金過剰は預金(残ったおカネ)のみならず、借金返済も含みますが、いずれにせよ家計の一年あたりの貯蓄が3.5分の1になったわけです。
 
 それはまあ、家計貯蓄率が下がり、貯蓄ゼロ世帯が増えるのは当然でしょう。

 一世帯四人家族で考えると、92年は一家で年に160万円ほど貯蓄できていたのが、今や46万円もできない
 
 しかも、上記は単純平均であり、「構造改革の平成」において、国民の所得格差・資産格差が「開く」傾向がありました

 ということは、全体で激しく縮小した「家計貯蓄のパイ」の多くを、一部の「勝ち組」が持っていってしまい、多くの「負け組」が貯蓄ゼロになってしまったということになります。

 誰が悪いんでしょ?

 そりゃまあ、企業までもが資金過剰になっているデフレ期に、財政赤字(資金不足)を縮小している「日本政府」です。日本政府が財政赤字(資金不足)を縮小すると、必然的に民間の資金過剰も減ります。

 本来、企業は資金不足(借入と投資拡大)を増やすべき存在ですが、デフレ期には無理です。

 というわけで、我々、日本の家計が預金できなくなっていっているのは、
1. 日本政府の緊縮財政路線
2. 格差拡大を推進する各種の規制緩和
 になります。我々、家計が預金できなくなっているのは悪政、あるいは苛政によるもので、要するに「人災」です。日本の宿命でも何でもありません。

 グローバリズムのトリニティ(緊縮財政、規制緩和、自由貿易)が継続する以上、我々の預金は「縮小しつつ、一部に偏る」状況は終わりません。

 つまりは、日本政府がやるべきことは、財政赤字こと「政府貨幣発行」を増やすこと。必要なのは貨幣発行であり、消費税増税でも、"国の信頼"とやらでもありません。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※特別コンテンツ「邪馬台国はどこにあったのか?(長浜浩明先生」)が、リリースになりました! 超絶的に面白いです。是非、ご入会下さい。
 
『安倍首相、「消費増税は国の信頼守るため」必要性を強調
 安倍晋三首相は26日夕(日本時間27日未明)に訪問先の仏南西部ビアリッツで開いた記者会見で、10月の消費税率の引き上げについて「国の信頼を守るためにも必要と考えている」と、改めて必要性を強調した。「社会保障を全世代型に転換していくうえにおいて必要な財源」とも話した。
 消費税率を5%から8%に3%引き上げた前回の2014年は、増税後の落ち込みが大きく、以前の水準に戻るのに3年以上かかった。首相は、その反省からキャッシュレス購入へのポイント還元やプレミアム商品券など対策を打ち出していると指摘し、「十二分の対策を取っている」と話した。』
 
 第二次安倍政権発足前から、というか十年以上前から、国の信頼だの国の信認だの通貨の信認だのといった「抽象用語」を用い、緊縮財政を正当化しようとする愚者どもを散々に批判してきました。結局、安倍総理も「愚者」の仲間入りを果たしたという、こういう話ですね。

 ちなみに、日本銀行の国債保有の割合は相変わらず増え続けており、直近(2019年3月末時点)で46.27%に達しています。
 
【2019年3月末時点 日本国債・財投債所有者別内訳(%)】
 
 普通に日本銀行が貨幣を発行し、国債を「貨幣化」していっており、長期金利がマイナス0.275%と 約3年ぶり低水準に達しているにもかかわらず、総理大臣が、
「消費税率の引き上げは、国の信頼を守るためにも必要と考えている」
 と、語る。

 国の信頼って、何? 国債金利は世界最低水準なんだけど、しかも日銀が国債を次々に貨幣化していっており、かつ「日本の家計のために必要なのは、政府貨幣発行(財政赤字拡大)」であるにも関わらず、「消費税率の引き上げが必要」と。

 普通に、頭がおかしい、と表現できますね。

 この悪夢の国は、国民が「貨幣」「経済」「財政」などについて正しい知識を身に着け、
「必要なのは"国の信頼"ではなく”貨幣発行"」
 という声が政治家に多く届くようにならなければ、もはやどうにもならないと思います。
 
 というわけで、「貨幣」を日本国民に知ってもらうための攻勢の第二段。
 
 明日、発売となる「MMT 現代貨幣理論入門
 の作者である、ランダル・レイ教授を日本にお招きし、シンポジウムを開催いたします。
 
【【藤井聡】今度は、「ランダル・レイ教授」を招聘したMMT国際シンポジウムを開催します!】

https://38news.jp/economy/14467

 

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