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『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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基本的にわたくしはブログ、ツイッター等における質問には一切答えないのですが、上記三橋TVで受けた質問について補足。
日銀の純資産について「日銀のホームページでは3兆円台で云々」という質問を受けたので、調べてみました。
わたくしは、日銀が公表する基本統計の一つである資金循環統計、2019年第1四半期の速報値、中央銀行(日銀)のストックから、純資産(金融資産・負債差額)が33.9兆円と説明していますが(そう書いてあるから)、日銀のホームページの決算報告を見ると、確かに、純資産が3.8兆円となっており、「???」という感じでございます。
両者を照らし合わせると、負債は決算報告が553兆円、資金循環統計が552兆円と、あまり変わりません。
対する資産側は、決算報告が557兆円、資金循環統計が586兆円と、大きく違います。つまりは、純資産の乖離は「資産サイド」で生じていることになります。
というわけで、借方を細かく見ていくと、最も異なる勘定項目が「国債」です。
国債(国庫短期証券含んでいます)は、決算報告が470兆円に対し、資金循環統計が486兆円。16兆円も異なります。
さらに、上場投資信託がHPが25兆円に対し、資金循環統計が29兆円。
この種の資産金額の違いが、最終的には純資産の違い30兆円を生み出しているわけでございますね。
何で、HPの決算報告では、資金循環統計よりも資産金額が小さくなっているのか。興味がある方は、是非とも調べて教えて下さいませ。(ケルトン教授来日と単行本締め切りが重なり、ちょっと調べきれない)
さて、本日、スティファニー・ケルトン教授が来日し、シンポジウム(&パブリックビューイング)でございます。
参院選(二十一日投開票)の選挙戦で最後の日曜となった十四日、与野党党首が消費税率10%への引き上げの是非などを巡り都市部を中心に論戦を展開した。残り一週間、堅調な戦いを進めたい安倍晋三首相(自民党総裁)は、社会保障財源のため必要だとして増税に理解を求めた。野党は「暮らしが壊される」(枝野幸男立憲民主党代表)と批判。安倍政権の政治姿勢についても厳しく追及した。
首相は、自民による改選二議席独占を目指す広島県に入った。広島市で街頭演説し、消費税収を財源に低年金者への給付を拡充すると説明。経済面の実績として「六年連続で高い水準の賃上げが続いた」と強調した。
枝野氏は神戸市の街頭演説で「皆さんの暮らしは良くなっているのか。経済、消費をこれ以上冷え込ませたらとんでもないことになる」と増税方針を非難した。所得を増やし、家計を底上げすると主張した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は福岡市で、安倍政権が予算委員会の開催要求に応じず、老後資金二千万円問題の報告書受け取りを拒んだことなどを列挙。「都合の悪いことをなきものにしている。ルールを守る政治を取り戻す」と訴えた。(後略)』
公共事業、文教科学、防衛等の予算は抑制(ゼロ成長)、地方交付税は明確にマイナス、社会保障は(さすがに)6.6兆円増加。
そして、恐ろしいことに10.6兆円が赤字圧縮政策に使われた。赤字圧縮をしたところで、誰の所得も生まれません。
つまりは、財務省&安倍政権は、我々から17兆円の税金を搾り取り、過半をブラックホールに投げ込み、消してしまったのです。
財政赤字とは(しつこいですが)貨幣発行量の増加に過ぎません。債務の返済負担が存在しない日本政府が、徴税で国民から所得を取り上げ、ブラックホールに投げ込んでいる。
問題は、上記の「頭のおかしさ」を野党が攻撃し切れていない点なのだと思います。何しろ、野党の政治家にしても「貨幣」「財政」「財政赤字」の意味について正しく理解していません。
逆に言えば、ポイントはまさに「そこ」なのでしょう。
参議院選挙の結果がいかなるものになるかは分かりませんが、このタイミングでMMTという貨幣や財政、財政赤字に関する勘違いを解き明かすツールが到来したのは僥倖だと思います。
遅すぎるということはないはずです。
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