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『フィリップス曲線の崩壊(前半)』三橋貴明 AJER2019.3.25
https://youtu.be/JAX009gvrrk
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 平成政治からの決別を! 反・緊縮財政、反・グローバリズム、反・構造改革を基本方針とし、政策の「ピボット(転換)」を目指す国民プロジェクト「令和の政策ピボット」が始動致しました。
 
 何通か質問が来ておりますが、令和ピボットの「賛同者」はIPアドレス管理がされているため、同じIPからの重複賛同はできません。もちろん、グローバルIPを変えればできますが、必要なのは「真の賛同者」で、見せかけの賛同者数ではありません。真の賛同者の数を増やすためにご協力下さいませ。
 
三橋TV第74回【高家さんは福沢諭吉に会えないと寂しがる】

https://youtu.be/vIeezPAIHA8

 

 さて、財政破綻論者の特徴の一つは、自分でも理解せずに「それっぽい言葉」を使うという点になります。

 例えば、
「このままでは国の借金が膨らんで、国債のファイナンスができなくなって破綻する!
 とか。

 何じゃ、ファイナンスって? 言っている本人は、理解しているんかいな?

 銀行預金は、しつこいですが借り手が借りる「瞬間」に発行されるおカネです。つまりは、銀行が「借り手に貸すおカネがない」ということは、地球上に住んでいる限りあり得ません。何しろ、書くだけ。

 逆に言えば、借り手が「借りるおカネがない」ということもあり得ないのです。無論、借り手の「与信」により、貸してくれないことはありますが。

 国債の場合は、日本政府が借りているのは日銀当座預金です。銀行から日銀当座預金を借り、政府小切手で支出。政府小切手は銀行に持ち込まれ、日銀当座預金で清算される。

 つまりは、最終的に銀行は「政府に貸した分の日銀当座預金」を資産として保有することになる。結果、政府が「国債を発行しようとした際に、借りるおカネがない」ということは起こりえないのです。
 
【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み(中央銀行の国債直接引受のケース)】
http://mtdata.jp/data_63.html#hikiuke
 
 
 というわけで、自国通貨建て国債の場合、
「政府が国債を発行しようとした際に、銀行にカネがなくてファイナンスできない(で、いいの?)」
 といった論調は、
「銀行からカネを借りようとしたが、銀行のカネがなくて借りれない」
 と同じように天動説です。地球の周りを太陽を初めとする天体が回っていると考えるほどにバカげています。
 
 
 とはいえ、現実世界にはその種の天動説信者ばかり。典型的な「天動説」の財政論の記事。
 
政府債務は家計貯蓄を超えるか?(大機小機)
 財政について「政府債務が日本の家計貯蓄を超えると財政は危ない」という議論がよくある。家計の金融資産すなわち貯蓄はいま約1800兆円。一方、国と地方の長期債務残高は1100兆円余りだから、今は政府債務を国内の貯蓄で賄えている。しかし、いずれ債務残高が貯蓄を超えると、大変なことになる。
 本当に政府債務は貯蓄を超えるだろうか。
 今年、政府が国民から100兆円を借金していると仮定しよう。国民は貯蓄として政府の借用証書すなわち国債を額面100兆円分、保有している。1年たって金利1%が増えると、政府の借金は101兆円になるが、国民の貯蓄も101兆円に増えている。政府が借り換えを続けるとしよう。2年後にはさらに金利が増えて、政府の借金は102兆円強、国民の貯蓄も同額の102兆円強となる。
 この計算は何年たっても同じなので、最初の年に国債残高と国民の貯蓄が同額だったら、何年たっても「国民の貯蓄=国債残高」が成り立つ。
 この等式が示すのは、国債が「金利分」だけ増えるのであれば、国債残高が国民の貯蓄を上回ることはない、ということだ。国民が政府の借り換えに応じる限り、国債が金利分増えるだけなら、「国債が国民の貯蓄総額を超える」との心配は不要である。
 ただし、これには前提条件がある。国民が貯蓄を大きく取り崩さないこと、また、国民が(ほぼすべての)国債を保有していることだ。
 基礎的財政収支の赤字があると話は違ってくる。赤字があると借り換えでは足りず、国債を新規発行して新たな資金を調達する必要がある。新規の国債発行額が家計貯蓄の増加分よりも大きければ、国債残高はいずれ貯蓄を超える。従って、基礎的財政収支をゼロまたは黒字にすることが、国債が貯蓄を超えないための絶対条件といえる。
 国債残高を減らすには極端な増税と歳出カットが必要だ。だが、基礎的財政収支を黒字にするだけなら、消費税を10%まで上げ、もう一段の増税と歳出削減を進めるだけで何とかなりそうである。
 債務残高の絶対水準を落とすというハードターゲットを狙うのではなく、債務の増加を貯蓄の増加の範囲内に抑えるという「スピード調整」が本質的に重要なのかもしれない。』
 
 本ブログや中野剛志先生の本を読まれているかた、あるいは「MMT(現代貨幣理論)」を理解されている方は、日経新聞の上記「大機小機」を読み、
「き、記者って・・・・ここまでバカなのか・・・・・」
 と、愕然とされたと思います。

 はい、ここまでバカなのです。
 
 上記を書いた記者も、
「政府は家計の貯蓄(銀行預金のこと?)からおカネを借りている」
 と、真逆の理解をしています。

 真実は、
「政府が国債を発行すると、家計の銀行預金が増える」
 であるにも関わらず。

 まあ、財務省の飼い犬としてPB(基礎的財政収支)の黒字化を正当化したいためのプロパガンダ記事といわれればそれまでなのですが、見事なまでに「おカネのプール論」になっているのが分かると思います。

 おカネの種類について何一つ理解しておらず、国債発行や政府支出のプロセスも知らない。

 この手の無知な連中が「それっぽい言葉」を使うだけで、おカネに関して無知な一般国民は見事に騙される。

 知識を身につけましょう。知識を広げましょう。そして、財政・国債に関する「天動説」を撲滅するのです。

 迂遠に思えるかも知れませんが、「正しい知識」の拡散こそが、最も近道なのでございますよ。
  
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