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『骨太の方針と安藤提言(後篇)①』三橋貴明 AJER2018.7.24
https://youtu.be/WiR9Hq0l1_s
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改めて、消費税とは実に罪深い税金です。
そもそも、消費税は「弱者に冷たい税金」です。消費税は、
「課税によって人々の経済活動が影響を受けずに、民間の資源配分を攪乱しない」
という、課税の中立性原則の観点から最も望ましい税制であるといわれています。確かに、何しろ人間は消費しなければ生きていけないため、消費税からは誰もが逃れられません。また、高所得者も低所得者も、消費をするたびに「同じ税率」の税金を徴収されるわけで、まことに公正という話なのですが、本当にそうでしょうか。
どれだけ所得が高い人であっても、お腹が一杯になればそれ以上は食べられません。金持ちが消費を増やすとはいっても、限界があるのです。というわけで、高所得者層の消費性向(所得から消費に回す割合)は低くなります。
逆に、低所得者層は所得のほとんどを消費に使わざるを得ないため、消費性向は高まります。つまりは、支払った消費税が所得に占める割合を比較すると、低所得者層の方が高所得者層よりも高くなってしまうのです。消費税は間違いなく「逆累進性」が強い、格差拡大型の税制です。
ところで、財務省が消費税率引き上げを主張する際に使われるレトリックに、
「消費税は安定財源」
というものがあります。確かに、景気によって上下の振れ幅が大きい所得税、法人税に比べ、消費税の安定感は抜群です。財務省にとって、景気変動の影響を受けない消費税は、実に「扱いやすい」税収になるのでしょう。
とはいえ、そもそも所得税や法人税が景気変動の影響を受けるのには、それなりの理由があるわけです。税金には、好景気の時期には高所得者から多く徴収し、支出を減らすことで景気を鎮静化し、不景気の際には、負け組である失業者や赤字企業の税負担を減らすことで復活を助けるという役割があります。いわゆる、税金のビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)機能です。
“安定財源”である消費税には、スタビライザーの機能が一切ありません。失業者だろうが、赤字企業だろうが、消費税は容赦なく徴収されるのです。
さらには、バブル崩壊期、あるいは需要停滞期に消費税を増税すると、「消費という需要縮小」の影響が長引きます。
97年の「バブル崩壊後の消費増税」により、日本は20年以上も続くデフレーションに突っ込み、衰退途上国化してしまいました。
そして14年の消費税増税。驚くべき話ですが、14年4月の消費税増税以降、未だに実質消費の縮小が続いているのです。
『6月全世帯の実質消費支出は前年比-1.2%、5カ月連続で減少
https://jp.reuters.com/article/jpn-consumption-june-idJPKBN1KR2HA
総務省が7日に発表した6月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は26万7641円となり、前年同月に比べて実質で1.2%減少(変動調整値)した。減少は5カ月連続。総務省は個人消費の基調判断を「弱さがみられる」に据え置いた。(後略)』
というわけで、安倍政権発足以降の実質消費をグラフ化してみましょう。
【日本の日本の実質消費指数の推移 】
http://mtdata.jp/data_60.html#JCJun18
上記の通り、日本の実質消費は14年4月の消費税増税以降、14年3月の駆け込み消費期はもちろん、野田政権ラスト(12年12月)をすら上回ったことはありません。
18年6月の実質消費は、14年3月と比べてマイナス15%! 12年12月と比べてマイナス6%です。
この、影響が長期化することが「実証された」消費税の増税を、来年10月に再度強行しようとしているわけです。
安倍政権は、消費税増税を強行したという一点をとっても「罪深い政権」なのです。
骨太の方針2018に消費税増税が載ってしまった以上、安藤提言に従い、軽減税率の適用範囲を大幅拡大する必要があります。
皆様も、14年4月以降、4年以上も消費が減り続けているという「現実」を示し、是非ともご地元の政治家に「軽減税率適用範囲の拡大」を訴えてくださいませ。