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『骨太の方針と安藤提言(後篇)①』三橋貴明 AJER2018.7.24
https://youtu.be/WiR9Hq0l1_s
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評論家の中野剛志先生が、例の吉川洋「中央公論2018年8月号の「時評2018 「国難」としての自然災害と日本経済」」について東洋経済に寄稿されていました。
『自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ 「赤字だから対策できない」には根拠がない
https://toyokeizai.net/articles/-/231318
◆想定外ではなかった豪雨災害
気象庁によれば、「非常に激しい雨」(時間降⽔量50mm以上)は30年前よりも約1.3倍、「猛烈な雨」(時間降⽔量80mm以上)は約1.7倍に増加している。
また、国土交通省によれば、過去10年間に約98%以上の市町村で、水害・土砂災害が発生しており、10回以上発生した市町村はおよそ6割にのぼる。
このように、政府の関係機関は、近年、豪雨災害のリスクが高まっていることを認識していたのだ。しかし、主要河川の堤防整備は未だに不十分な状況にある。
では、政府は、治水関連予算を増やしてきたのかと言えば、その逆である。1990年代後半以降、公共投資は大幅に削減され(参考)、治水関連予算も抑制されてきた。その理由は、言うまでもなく、財政健全化が優先されたからである。その結果、今回の豪雨災害においても、治水対策が強化されていれば守られたであろうはずの人命が失われた。国民の生命・生活が、財政健全化の犠牲となったのだ。(後略)』
中野氏の「反・財政破綻論」の要旨は以下三つ。
『第一に、経済成長が金利を上昇させる可能性はあるが、それは同時に税収の増加をももたらし、財政収支を改善するのである。』
『第二に、そもそも、政府債務の返済は、国税収入だけで行うものではない。継続的な借換(新規国債の発行によって同額の国債償還を行うこと)によることもできる。政府債務というものは、原則として完済をする必要がない債務なのだ。それゆえ、ほとんどの先進国において、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めていない。』
『第三に、それでも金利の上昇を回避したいというのであれば、中央銀行が国債を買い取ればよい。実際、日本銀行は、そうしている。いわゆる量的緩和がそれだ。』
そもそも、財政健全化とは「政府の借金を減らすこと」ではなく、「政府の負債対GDP比の引き下げ」になります。
GDPが増えれば、政府の負債対GDP比率が自然に下がるのに加え、税収も増加します。理由は、税収の源泉が所得であり、所得の合計がGDPであるためです。
経済成長で多少金利が上がったところで、税収増とGDP成長で政府の負債対GDP比率は下がるのです。これこそが、正しい財政健全化です。
加えて、政府の負債(国債など)は基本的には借り換えされます。そもそも、政府の負債を「減らす」という発想が、政府の財政の「ど素人」という話になるのです。
吉川洋の主張は、まさに政府の財政について「ど素人」の考え方であると断言できます。
吉川洋が悪質なのは、本当は「政府の負債は減らす必要がない」と理解しているにも関わらず、虚偽の主張を振りまいていることです。何しろ、彼奴は2001年に経済財政諮問会議の委員になる前は、わたくしと同じことを主張していました。
さらに、中央銀行が自国通貨建て国債を買い取れば、政府の負債は実質的に消滅します。そして、日本銀行は今でも継続的に日本国債を買い取り続けています。
結果的に、政府の実質的な負債対GDP比率は下がっていっています。日本の財政健全化は、すでに達成されているのです。
【日本政府の負債残高(左軸、億円)とGDP比率(右軸、%)】
http://mtdata.jp/data_60.html#GDPhi
ちなみに、吉川が中央公論の原稿を書いたのは、西日本豪雨災害の「前」でした。200人以上が亡くなった、あの豪雨災害の映像を見てすら、吉川は同じことが言えるのでしょうか。
言わないでしょう。
「西日本豪雨災害で200名以上亡くなったが、それでも財政の方が防災よりも大事だ。国民は財政のために死を受け入れるべきだ」
と、主張してくれるのであれば、変な意味で尊敬しますが、実際にはそんなことはありません。だからといって、
「自分の主張は間違っていた。財政には一時目を瞑っても、防災を推進するべきだ」
と、真っ当なことを主張し始めることもないのです。
彼は、ただ沈黙するだけです。
防災よりも財政を優先し、実際に自然災害で国民が死んだ。その責任を引き受ける度胸もない。さらなる批判を浴びる覚悟もない。
ただ単に、御用学者として「財政の方が防災よりも大事だ」と主張してきたにすぎません。
自分たちの主張故に、緊縮財政が推進され、結果的に国民が死んだとしても、その事実は「無かったこと」にし、ほとぼりが冷めれば同じ主張を始める。
あまり強い言葉を使うと、弱く見えるので嫌なのですが、もし"人間の屑"という連中が存在するとしたら、日本の緊縮財政論者、財務省やその御用学者たちこそが筆頭候補なのです。
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