イタリアの呪縛

テーマ:
株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから 

三橋貴明のツイッター はこちら
人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

チャンネルAJER  更新しました。
  『米朝首脳会談は行われない①』三橋貴明 AJER2018.5.29
https://youtu.be/CVXG-PjHMD0   
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 さて、すったもんだの末、五つ星運動・同盟とマッタレッラ大統領との間に妥協が成立し、イタリアで法学者のジュゼッペ・コンテ氏を首相とする新内閣が成立しました。五つ星運動と、同盟による連立政権です。


 マッタレッタラ大統領が進めていたIMF出身で緊縮派のカルロ・コッタレッリ氏の内閣では、五つ星運動と同盟が大反発し、早々に「再選挙」となってしまいます。となうと、特に同盟が著しく得票を伸ばし、マッテオ・サルヴィーニ書記長を首相とする政権が樹立される可能性が濃厚です。


 それよりよりは「グローバリズム」的にマシである、との判断でしょう。


イタリアでポピュリスト政権誕生-首相コンテ氏、財務相トリア氏
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-31/P9LQTWSYF01S01
 イタリアではポピュリスト政党の「五つ星運動」と「同盟」が連立政権を樹立する運びとなった。新内閣は現地時間6月1日午後4時に宣誓就任する。歳出拡大を打ち出した新政権の政策は欧州連合(EU)規則への挑戦ともなりかねない。
 政治経験のない法学教授のジュゼッペ・コンテ氏(53)が新政権の首相となる。五つ星のディマイオ党首と同盟のサルビーニ書記長は政権獲得を一度は阻まれ早期選挙を訴えていたが、ポピュリスト政権の樹立にこぎ着けた。(後略)』


 ポピュリスト、ポピュリスト、うるせえな! という感じですが、グローバリスト側から見ると、五つ星運動と同盟の連立時点で「悪夢」ですので、何とかレッテル貼りで貶めたいという気持ちは分かります。


 といいますか、ポピュリストとは「大衆の支持」を煽り、票を獲得。エリート層を打倒する勢力という意味ですが、民主主義的に普通のような。大衆の意向を無視し、エリート主義丸出しで「グローバリズム」という特定の価値観を推進する方にも相当に問題があると思います。


 無論、大衆の支持を得ているのだから、何をやってもいい、という話でもありません。民主主義とは、本来「分かり合えない人々」が特定の価値観をぶつけ合い、揉め、何とか物事を前に進めようという「イズム」であるのだから、ポピュリストだ、エリート主義だと、レッテル貼りで争うのはダメでしょ、という話。


 競うべきは、「どちらの政策が、経世済民につながるか」であり、価値観やイデオロギー、イズム、レッテル貼りの巧みさではありません。



 それはともかく、今回のイタリアのすったもんだで興味深かったのは、イタリア国債の金利が急騰したことです。

      


【2018年6月3日まで 一か月間のイタリア長期金利の推移(%)】

http://mtdata.jp/data_60.html#Italy


 図の通り、半月前までは2%を切っていたイタリアの長期金利(十年物国債金利)は、コンテ首相の実現、さらには反EU、反ユーロのパオロ・サボナ氏が組閣名簿の財務大臣になっていたことを受け、急騰。その後の政局の混乱もあり、一時は3.1%を上回りました。


 イタリアにおいて、グローバリズムは三つの武器を持っているのです。


 一つ目は、政治力。つまりは、政治家との繋がり。具体的にはマッタレッタラ大統領がグローバリズム側であること。


 二つ目は、メディア。五つ星運動と同盟による連立内閣に「ポピュリスト政権」とレッテルを貼り、政策や実績とは無関係に貶めようとする力


 そして、三つ目が「国際金融市場」における国債金利です。


 何しろ、イタリアはユーロ加盟国です。ユーロの金融市場において、イタリア国債は他加盟国の国債と「競争」しながら売買されます。


 イタリア国債所有者にとっては、「ドイツ国債」「フランス国債」といった選択肢があるのです。
「別に、イタリア国債でなくても、同じユーロだし、ドイツ国債のほうがいいや」
 というわけでございますね。


 イタリアの政治が「反グローバリズム」的な動きを見せると、国際金融市場でイタリア国債が売り込まれます。結果、金利は必ず上がります。


 すると、二つ目のパワーであるメディアが、
「イタリアは国際金融市場から見捨てられた! ポピュリスト内閣では国債金利の上昇を抑えきれず、破綻する!」
 と、煽るわけでございますね。


 イタリアはユーロに加盟しているため、「国際金融市場」のプレーヤーたちの動きに影響される形の「呪縛」を受けているのです。


 無論、国債が100%日本円建ての我が国において、イタリアと同じ話は成立しえません。何しろ、日本国債所有者には、イタリアとは異なり選択肢がありません。日本国債を売り、獲得した日本円で米国債を買うことはできないのですよ。


 それはともかく、改めてユーロという共通通貨は、国家の機能を制限する呪縛であることが、今回のイタリアの混乱からも理解できるわけでございます。


今回のエントリーを「なるほど!」と、読んで頂けた方は、↓このリンクをクリックを!

新世紀のビッグブラザーへ blog                 

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ
日本経済復活の会のホームページは↓こちらです。

                     

◆三橋貴明関連情報

新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。
メルマガ「週刊三橋貴明~新世紀のビッグブラザーへ~」