忌まわしき税金

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『言語と民主主義①』三橋貴明 AJER2018.4.24
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 マレーシアのマハティール政権が公約通り消費税を「廃止」すると発表しました。


マレーシア、6月1日に消費税廃止 総選挙で約束 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30587000W8A510C1FF8000/
 マレーシアのマハティール政権は16日、6月1日付で税率6%の消費税を廃止すると発表した。消費税はナジブ前政権時代の2015年4月に導入された。マハティール氏が率いた野党連合は総選挙のマニフェスト(政権公約)で消費税廃止を訴えていた。
 新政権は公約を直ちに実行に移すことで、国民からの高い支持を維持したい考えだ。ただ、安定財源となっていた消費税の廃止で、東南アジア各国の中では比較的高い政府債務水準などがさらに悪化する懸念がある。
 マハティール首相は16日、「歳出には大きな無駄があり、今後切り込んでいく」と語り、財政健全化に取り組む方針を改めて強調した。』


 ちなみに、マレーシアで消費税を導入したのはナジブ政権で、2015年のことでした。


 消費税とは、実に忌まわしき税金です。忌まわしさで消費税を上回るのは、人頭税くらいしか思いつきません。


 消費税は、
「課税によって人々の経済活動が影響を受けずに、民間の資源配分をかく乱しない」
 という課税の中立性原則の観点から一番望ましい税制であるといわれています。


 確かに、何しろ人間は消費しなければ生きていけないため、消費税からは誰もが逃れられられません。また、高所得者も低所得者も、消費をするたびに「同じ税率」の税金を徴収されることになります。


 まことに公正という話ですが、本当にそうなのでしょうか。


 当たり前ですが、どれだけ所得が高い人であっても、お腹が一杯になればそれ以上は食べられません。金持ちが消費を増やすとはいっても、限界があるのです。というわけで、高所得者層の消費性向(所得から消費に回す割合)は低くなります。


 逆に、低所得者層は所得のほとんどを消費に使わざるを得ないため、消費性向は高まります。つまりは、支払った消費税が所得に占める割合を比較すると、低所得者層の方が高所得者層よりも高くなってしまうのです。

      


A氏 年収1000万円 消費性向50% 支払った消費税 40万円
B氏 年収200万円 消費性向100% 支払った消費税 16万円


 一見、A氏のほうが税負担が重いように思えますが、所得に占める消費税の割合を計算すると、


A氏 4%

B氏 8%


 と、所得に占める消費税の割合は、B氏の方が二倍になってしまいます。逆にいえば、所得が大きいA氏にとって、消費税の負担感は相対的に低いのです。


 消費税は間違いなく「逆累進性」が強い、格差拡大型の税制です。


 ところで、財務省が消費税率引き上げを主張する際に使われるレトリックに、
「消費税は安定財源」
 というものがあります。確かに、景気によって上下の振れ幅が大きい所得税、法人税に比べ、消費税の安定感は抜群です。消費税は増税時(97年、14年)に対前年比で増加する(当たり前ですが)のを除くと、ほぼ「対前年比ゼロパーセント」で推移しています。


 増えもしなければ、減りもしない。すなわち、安定財源です。


 財務省としては、景気変動の影響を受けない消費税は、実に「扱いやすい」税収になるのでしょう。


 とはいえ、そもそも所得税や法人税が景気変動の影響を受けるのには、それなりの理由があるのです。


 税金には、好景気の時期には高所得者から多く徴収し、支出を減らすことで景気を鎮静化し、不景気の際には、負け組である失業者や赤字企業の税負担を減らすことで復活を助けるという役割があります。いわゆる、税金のビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)機能です。


 “安定財源”である消費税には、スタビライザーの機能が一切ありません。失業者だろうが、赤字企業だろうが、消費税は容赦なく徴収されることになります。


 すなわち、消費税は元々が国民の所得格差を拡大する傾向が強い上に、かつ不況期に「弱者に冷たい」税金なのです。


 消費税を擁護し、あるいは消費税増税を主張する人は、日本国民に対し、
国民の格差を拡大し、弱者が潰れされる国にしよう!
 と、主張しているのも同然なのです。

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