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チャンネルAJER  更新しました。
『言語と民主主義①』三橋貴明 AJER2018.4.24
https://youtu.be/7l3zThwiv-k    
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 さて、3月の実質賃金が公表になりました。


『実質賃金4カ月ぶりプラス 3月、人手不足で一時金増 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30261420Z00C18A5EE8000/
 消費の実感に近い実質賃金が4カ月ぶりに上昇に転じた。厚生労働省が9日まとめた毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた3月の実質賃金は前年同月比0.8%増。人手不足から業績好調な企業が一時金で人材を囲い込んでいる。(後略)』


 おおっ!3月の実質賃金が対前年比+0.8%! ついに、底入れしたか?
 と、思い、厚生労働省のデータを見てみると、ガッカリ・・・。


 現金給与総額(一時金含む)は確かに対前年比+0.8%なのですが、わたくしが重要視している「きまって支給する給与」は0%。つまりは、伸びていません


【2018年3月速報値 日本の実質賃金(対前年比%)】

http://mtdata.jp/data_59.html#JCMar


 日本国民が安心して、安定的に消費を拡大していくためには、フリードマンの言う恒常所得に当たる「きまって支給する給与」の安定的な拡大が欠かせません


 フリードマン(ミルトン・フリードマンのこと)は、
「消費者の消費は、恒常的だと考える所得に比例する」
 と、恒常所得仮説を唱えましたが、彼の他の仮説に比べると、恒常所得仮説は相当に真実を突いていると思います。


 我々消費者は、経済主体としては弱小です。いつ、雇用を失うかわからない。いつ、重い病気にかかるかわからない。


 特に、日本国民は「総将来不安病」に陥っていますので、国民主導で消費という需要を拡大していくためには、
「給料が安定的に確保できる(しかも増えていく)見込みが強まること」
 というのが絶対的な条件になります。


 そのためには、最低でも「きまって支給する給与」の実質賃が、せめて三年ほどは安定的に拡大してもらう必要があります。


 現状では、安定的な拡大どころか、拡大すらしていないという状況が続いていますが。

                 


 なぜ、ここまで人手不足が深刻化しているにも関わらず、実質賃金「きまって支給する給与」が低迷(というか、対前年比マイナス)を続けているのか。記事にもありますが、好調な企業であっても、人材を「一時金」で確保しようとするためです。


 一時金を増やせば、実質賃金「現金給与総額」は上がります。とはいえ、長年、雇用不安定、所得低迷というデフレに苦しめられてきた日本国民は、「一時金」が増えたことで、安定的に消費を増やすようになるでしょうか。


 なるはずがありません。



 「将来不安病」から回復していない以上、一時金を得た労働者は「預金」を増やし、自分の安心感を高め、それでおしまいです。預金とは消費でも投資でもありませんので、誰の所得にもなりません。


 企業は企業で、人手不足が深刻化し、かつ「今後も深刻化していくこと」が明らか(生産年齢人口比率の低下により)であるにも関わらず、恒常所得については引き上げようとしない。


 一時金でその場をしのぎ、何とか人を確保しようとする。


 企業もまた、「将来不安病」に陥っているのが、わが国なのでございます


 こうなると、日本の恒常所得を安定的に引き上げられる存在は、一つしかありません。もちろん、通貨発行権という強大な権限を持つが故に、「財政破綻」とは無縁の立場でいられる「日本政府」です。


 日本政府が率先的に支出を増やし、労務単価を引き上げていけば、恒常所得が回復すると同時に、企業にも安心感を与えます。人手不足が解消しない以上、企業も恒常所得を引き上げていかざるを得ません。


 ところが、「財政破綻論」が蔓延したわが国では、政府をコントロールするべき国会議員たちまでもが、将来不安病に陥ってしまっています。



 結果、ありもしない「財政問題」を理由に支出をしぼり、増税し、国民の将来不安を高めるという悪循環が回り続けているのです。


 日本国のデフレを長引かせ、「衰退途上国」と化しているのは、日本列島に蔓延した「将来不安病」という宿痾なのでございます。 

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