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『国土経済論(後編)①』三橋貴明 AJER2018.2.27
https://youtu.be/d1Wb6lbcE4I
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インドネシアにいます。今まで、東南アジア諸国は色々と訪問していますが、今までで一番「暑い」という印象です。
正直、空港から出ない時点でグロッキーになってしまいました。
何というか、日本の梅雨の一番酷い時期を、さらに暑くした感じでございます。
さて、日本の実質賃金が、ちょっと酷いことになりつつあります。
『実質賃金、1月0.9%減 半年ぶりの大幅マイナス
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27899720Z00C18A3EAF000/
厚生労働省が9日公表した毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた1月の実質賃金は前年同月に比べて0.9%減った。減少は2カ月連続で、半年ぶりの減少幅だった。物価上昇が実質でみた賃金を押し下げた。1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万1640円で、前年同月比0.7%増加した。(後略)』
現金給与総額の実質賃金が対前年比▲0.9%。
わたくしが重要視する「きまって支給する給与」は▲1.4%。
現金給与総額は17年7月(▲1.1%)以来の、きまって支給する給与の方は、2014年以来の下げ幅になります。
【日本の実質賃金の推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_59.html#JC18Jan
インフレ率を見ると、「持ち家の帰属家賃を除く総合」が対前年比+1.7%となりました。理由は「生鮮食品」の値上がりです。
細かい話を書いておくと、「生鮮食品」が対前年比+12.5%、それを受け「食料」が+3.2%、それを受け「持ち家の帰属家賃を除く総合」が1.7%増となりました。
名目賃金の方はほとんど上昇していないため、実質賃金が大幅に下がってしまったのです。
また、18年1月はパートタイム労働者が対前年比+0.33%と増加し、名目賃金が抑制されたことも影響しているようでございます。
実質賃金は、
● 生産性上昇率
● 労働分配率
の二つで決まります。
10-12月期の大企業の労働分配率は43%台。相変わらず「歴史的な低迷」を続けています。
明かな人手不足であるにも関わらず、労働分配率は低迷。さらに、パートタイム労働者が増えているということは、企業が、
「労働分配率を引き上げず、人手不足をパートタイム労働者でカバーし、名目賃金を抑制。結果、実質賃金が低迷」
という状況が継続しているのです。
日本の実質賃金が最も高かったのは、97年1-3月期です。97年4月の消費税増税(及び各種の緊縮財政)以降、我が国の実質賃金は下落に転じ、中長期的に「国民の貧困化」が続いています。
この状況でありながら、厚生労働省は、
「賃金は基調として緩やかに増加している」
と、相変わらず眠たい説明をしており、とてもではないですが「危機感」があるとは思えません。
そもそも、政府の目的は「国民を豊かにする」経世済民であること。そして「豊かさ」の指標は、実質の所得で見なければならないこと。
さらに、97年4月以降、日本国民の実質賃金が(中期的に)下がり続け、国民の貧困化が続いている。つまりは、政府が「目的」を果たしていない。
この現実を国民や政治家が共有しない限り、我が国の実質賃金が安定的に上昇する局面は訪れないように思えます。
すなわち、人手不足が深刻化しているにも関わらず、人件費が上がらず、「人手不足廃業」の増加で、昨日のエントリーでも出てきた「経済力」が毀損されていく環境が続くのではないかと懸念しているのです。
とりあえず、日本政府は政策の評価指標として「実質賃金」を設定しなければなりません。
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