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『失業率と実質賃金(後編)①』三橋貴明 AJER2017.9.26
https://youtu.be/a-seRvhJg5s
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 今週は昨日が山形市、本日は市ヶ谷、明日は愛知、明後日は箱根、その次が品川(経済塾)、日曜日が和歌山で講演と、六日連続講演です。単行本の〆切(11/2)と連続公演が被ると、さすがにキツイでございますよ。

 日曜日は総選挙当日ですね。和歌山の皆さん、投票を済ませてから講演にお越しくださいませ。(台風が来るという話もあるのですが) 
 
 金融庁が企業の内部留保について、「説明責任など指針策定へ」という、トンデモ(※内容が)ニュースが流れています。


内部留保 活用探る  金融庁、説明責任など指針策定へ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO22358340X11C17A0EE8000/
 日本企業は内部留保をもっと活用すべきか否か。「ため込みすぎ」との批判がくすぶるなか、政界からは内部留保への課税論が浮上している。金融庁は投資家の立場から成長投資へ活用するための指針作りに乗り出す。ただ、400兆円に上る内部留保のすべてがすぐに使えるわけではない。様々な問題をはらんでいるだけに、冷静な議論が必要になる。(後略)』


 内部留保(というか現預金)を貯めようが減らそうが、それは企業の勝手です。何故に、預貯金の額にまで政府がくちばしを挟む必要があるのでしょうか。


 昨今の日本政府のやり方は、
自分は何もせず(財政出動を)、再デフレ化や実質賃金低下の責任を民間に押し付ける
 という、まことに問題がある手法が実に多いです。生産性革命とやらにしても、まずは政府が公共投資でインフラ整備をしなければならないにも関わらず、
「民間の投資に期待する」
 とくるわけです。長期のデフレが続き、需要の拡大に自信が持てない我々が、政府から言われたからといってホイホイとリスクがある投資に乗り出せるはずがありません


 現在の日本政府は、「責任放棄」の色が実に濃いのです。


 内部留保(というか、企業のバランスシートの借方の一番上に載っている現預金)は、確かに増えました。企業の現預金は、2012年200兆円から、2016年には250兆円へと拡大。
 
【日本の一般企業の現預金残高(左軸)と月額給与(右軸)の推移】

http://mtdata.jp/data_57.html#gennyokin

                                   


 反対側で、生産者の月額給与が下がっていることについて、政府が文句を言うのは筋違いです。何しろ、悪いのは安倍政権なのです


 なぜ、我々経営者は現預金を貯め込み、人件費を引き上げず、投資に踏み切らないのでしょう。理由は、不安だからです。国民総将来不安病です。

 不安を鎮めるためには、二つしか方法がありません。

 一つは、現預金を貯め込む

 そして、もう一つが「需要の安定的な拡大を確信すること」でございます。


 我々経営者は、需要の安定的な拡大を確信できないからこそ、これだけ人手不足が深刻であるにも関わらず、人件費引き上げに逡巡し、さらに生産性向上のための投資に踏み切れないのです。結果的に、現預金が貯まっているわけで、日本企業の内部留保を増やしているのは「安倍政権」なのです


 この現実から目をそらし、しかも内部留保を増やしたくないならば、
「法人税引き上げ」
 という普通の政策があるにも関わらず、グローバル株主におもねり、配当金や自社株買いを増やすために法人税を無条件で引き下げたのは、安倍政権です。

 需要拡大と、法人税引き上げという、内部留保抑制のための真っ当な政策(しかも、デフレ脱却に大きく貢献する)があるにも関わらず、そこからは目をそらし、虎の子の企業の現預金に「目」をつけたというわけです。


 私有財産権の侵害です。我が国は、いつから共産主義国家になったのでしょう。


 結局のところ、グローバリズムのトリニティ(緊縮財政、法人税減税を含む規制緩和、自由貿易)に忠実な安倍政権には、現在の日本経済の問題を解決することは不可能という話です。内部留保は貯まるべく貯まっているにも関わらず、そこから目をそらし、企業を悪者にし、私有財産権の侵害の議論を始める。


 安定的な需要拡大がない限り、内部留保はひたすら貯まる一方であるという「現実」を、安倍政権や日本の政治家は理解する必要があります。

「安定的な需要拡大が必要だ!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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