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『第零次グローバリズム(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.8.22
https://youtu.be/-5uKaphgykI
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一昨日早朝の、日本上空を通過する北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、国会は昨日、衆参両院で閉会中審査を行い、「北朝鮮に厳重に抗議する決議」を採択しました。さすがに全会一致だったようです。
もっとも、共産党議員が「日本政府の北朝鮮との対話」の模索を求めるなど、相変わらず野党はお花畑ぶり全開です。銃を容赦なく頭越しに撃たれているときに、「対話を模索しよう」などと言い出す人がいますか?
とりあえず、逃げようと思うはずです。とはいえ、日本列島は支那大陸や朝鮮半島から逃げられません。
そうであれば、対抗する力を持とうと考えるのが普通でしょうに・・・。そうせずに、どうやって自分や家族を守るのですか?
大東亜戦争敗北後の日本は、「自虐教育」及び「グローバリズム」により、夢想的な平和を無意識に「前提」とするようになってしまっています。とはいえ、北朝鮮はミサイルを撃ち込んでくるし、中国は尖閣や沖縄に侵略するのです。少なくとも、その種の事態を「想定」するのが安全保障というものです。
日本国において、「次なる大震災」を想定しない安全保障など、成立しえますか。
同じように、我々は「次は、北朝鮮のミサイルが本土に打ち込まれる。もしかしたら、核を搭載している可能性がある」という想定に基づき、安全保障を確立しなければならないのです。お花畑的平和論が通用する時代は、8月29日、北日本に空襲警報が鳴り響いたときに終わりました。
ところで、イギリスのメイ首相が来日しています。
実は、イギリス経済もまた、「失業率は改善するものの、実質賃金が上昇しない」という苦悩を抱えています。
『焦点:英の賃金長期停滞、失業率低下でも出口見えず
https://jp.reuters.com/article/uk-wage-squeeze-idJPKCN1B80B1?sp=true
英国経済は、失業率が1975年以来の低さになったにもかかわらず、長きにわたる賃金停滞局面を抜け出せる見通しが立たないという矛盾に直面している。
イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は来年の平均賃金上昇率を3%と予想するものの、企業経営者や労組の目から見ればとても実現しそうにはない。
過去10年間、多くの国で賃金の伸びは低調だった。とはいえ2008─09年の世界金融危機以前の状況との断絶ぶりが特に甚だしいのが英国だ。雇用パターンの変化で労働者が分配率を高めるよう要求できる力が弱まったほか、生産性の伸びが鈍いために分配率の拡大がさらにゆっくりになっている面もある。
BOE幹部の1人からは、英国が18世紀の産業革命前の長期的な賃金停滞局面に戻ってしまったのではないかとの疑念まで出る有様だ。(後略)』
イギリスの実質賃金は、2007年のピークと比較し、2.7%も低くなってしまっています。
現在のイギリスは、インフレ率が2.7%程度ですが、名目賃金の伸びは2.1%に過ぎず、実質賃金はいまだに下落中です。
さらに不思議なことに、イギリスの4─6月の失業率は4.4%と1975年以来の低水準になっています。
失業率が下がっているにも関わらず、なぜ実質賃金が上昇しないのか。
これは日本も同じですが、大きく「二つ」原因があります。
一つ目は、労働分配率が上昇しないこと。二つ目は、生産性が向上していないことになります。
マクロ的に、実質賃金の上昇は生産性向上以外では起きません。というよりも、生産性向上=実質賃金の上昇なのです。
もっとも、企業の実質の所得(粗利益)が増えたとしても、それが従業員に分配されない限り、名目賃金は上昇しません。名目賃金が低迷している状況で、物価上昇率がプラス化すると、実質賃金は下がってしまいます。
すなわち、企業経営者が、
「生産性向上のための投資に乗り出し、かつ労働分配率を引き上げる」
環境が必要なのでございます、。すなわち、「安定的に需要が拡大する環境」です。
とはいえ、グローバリズムが蔓延した世界では、企業は短期的な環境変化の影響を受けやすく、かつ株主資本主義により長期の投資は困難です。ましてや、労働分配率引き上げなどもっての他でしょう。
というわけで、日本やイギリスでは失業率が低下しているにも関わらず、生産性向上は起きず、実質賃金も上がらず、労働分配率も上昇しない状況が続いているのです。
結局のところ、必要なのは「長期安定の需要」なのです。長期に安定的に増え続ける需要があって初めて、企業経営者は投資や労働分配率上昇に足を踏み出せます。
「仕事はあり続けるのは確定だが、ここでこいつらに辞められたら、シャレにならん。機会損失が出てしまう」
と、経営者が考え始めてこそ、労働分配率は上がります。
そして、現在の世界において、長期安定の需要を創出できる経済主体は、政府しかありません。
イギリスの現状は、グローバリズム全盛の時代だからこそ、政府はむしろ「長期安定の需要」を創出する財政拡大を実施し、あるいは労働分配率に規制をかけるなど、「政府の関与」を強めなければならないという「現実」を教えてくれるのです。
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