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『デフレ型経済成長①』三橋貴明 AJER2017.6.20

https://youtu.be/Lugmcy9cUfA
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 週刊新潮6月29日号に、藤井聡先生の寄稿「借金1000兆円なんて恐れるな!「プライマリーバランス」が国民の息の根を止める!!「赤字国債増発」こそが日本を救う」が掲載されました。(タイトルは新潮社が決めたそうです)


『「緊縮」のせいでダメになる日本
 日本の未来を決定づける「政府」の予算-その基本方針が、去る6月9日に「骨太の方針」という形で閣議決定された。この決定にあたって筆者は内閣官房参与として、これまでの政府の方針は予算の「規律」が厳しすぎ、増税と予算カットが過剰に進められ、結果としてデフレ不況が続き、結局、国民も政府も共に貧しくなっている-と政府等に対して繰り返し主張し続けてきた。結果、今回の「骨太」にはそんな筆者の主張が一部採用された。そして、「単なる増税と予算カット(つまり、緊縮)でなく、経済を成長させて、借金の重荷を減らす」という財政目標(「債務対GDP比目標」というもの)が本文に明記された。この目標なら日本人が豊かになることを通して財政問題を改善できるのであり、大きな「前進」とも言い得るが-その最新の「骨太」においてさえ「プライマリーバランス目標」(PB目標)という不条理極まりな規律は解除されなかった。このままでは「政府は増税を繰り返しつつ予算を切り詰め、結果、日本のデフレは深刻化する」という悪夢が訪れるのは必至だ。
 実際、最新の統計では各種経済指標は最悪の状況を示している(名目成長率とデフレータが同時に今期ほど大きくマイナスを記録したのは、安倍内閣始まって以来)。つまり、我が国は今、最悪のデフレ状況に再び舞い戻ろうとしているのである。
 それゆえ、政府の「骨太」の決定直後の今、あえて内閣官房参与として「プライマリーバランス目標という、菅直人政権時代に日本に打ち込まれた毒矢を『完全』に抜き取ることが必要だ」という真実を1人でも多くの国民に告発すべく、本誌に寄稿することを思い立った。(後略)』


 まさしく、PB目標は日本経済の喉元に刺さった「毒矢」でございます。この毒矢を抜き取ることなしで、日本がデフレ脱却することは著しく困難でしょう。


 そもそも、PB目標とは、
「国債償還費、国債利払い費を除いた政府の歳出を、政府の歳入(税収、税外収入)の範囲内に収めなければならない」
 という、理不尽な主張です。


 PB目標があると、日本の場合は高齢化で社会保障支出が自動的に増えていくため、
その分、他の支出を削るか、増税する
 という話になってしまいます。


 というわけで、14年4月の消費税増税は、PB目標+社会保障費増加という前提に基づき、断行されたのです。結果、我が国は再びデフレに舞い戻りつつあります。


 そもそも、日本政府が財政破綻(債務不履行)する可能性は「ゼロ」なのです。それにも関わらず、
「クニノシャッキンデハタンスル~ッ!」
 という妄想とでもいうべき主張が広がり、PB目標が維持され、消費税増税や社会保障費の削減、公共投資の削減が繰り返されてきました。


 


 藤井先生の寄稿から、再び引用します。


『(前略)日本政府は破綻しない
「なんて無責任な「暴論」を言うんだ! 夕張やギリシャは破綻したじゃないか!」-と思う前に、少し筆者の話を冷静に聞いて頂きたい。
 そもそも「破綻」とは「借りた金が返せなくなる」こと。1万円の借金でも返せなければ破綻する一方、1000兆円の借金があっても返せるなら破綻しない。
 では企業はいつ借金を返せなくなるのかと言えば、最期に誰もカネを貸してくれなくなる時だ。どれだけ借金があっても返済時に誰かがカネを貸してくれるなら返済できる。だから破綻しない。例えば「超大型銀行」がバックについている企業なら、破綻リスクはほぼゼロだ。
 そして「日本政府」には、「通貨を発行する権限」という途轍もない力を持った、国内最強の銀行である「日本銀行」がバックについている(そもそも日銀の大株主が政府だ)。だから、その日銀が「最後の貸し手」として存在している政府は、破綻の可能性が実質的にゼロなのである。(中略)
 そもそもギリシャが借りていたのは自分たちで発行することができない「ユーロ」だったし、夕張市だって自分たちで発行できない「円」を借りていた。だから、ギリシャや夕張は破綻状態に至ったのだ。
 一方、通貨を発行できる日銀がバックについている日本政府は、「円」の借金をしている以上、おいそれと破綻しない。
 実際、今の日本のように「自国のカネを借りている政府が、破綻した事例」というのは、世界中で存在しない。だから、「円」での借金をしている今の日本では、「借金による破綻」に怯え、「緊縮」に走る必要などどこにもないのである。(後略)』


 PB目標が導入されたのは、ご存知、竹中平蔵氏が経済財政政策担当大臣だった小泉政権期です。


 竹中氏は、2003年の著作「あしたの経済学―改革は必ず日本を再生させる (幻冬舎実用書―芽がでるシリーズ)」において、PBについて、
プライマリーバランスが赤字のままだと、財政破綻する懸念が高まる。重要なのは、金利を支払う前の財政収支をゼロ以上にし、国債残高が増えないようにすることである。金利の方が経済成長率よりも高い場合はこの通りにはいかないが、通常は金利以外に新規の国債発行をしないようにすれば、債務の負担は年々相対的に減ることとなる。」
 と、「国債残高が増えないようにする」ことを主張し、2004年の「骨太の方針2004」から、
「基礎的財政収支を黒字化するなど財政を健全化していく」
 と、初めてPB黒字化が盛り込まれました。


 その後、竹中氏のPB黒字化という発想は、財務省に受け継がれ、日本の喉元の「毒矢」として、今も刺さり続けているのです。


 日本がデフレから脱却し、国民が豊かになる経済を取り戻すためには、PB黒字化目標という毒矢を抜き取らなければならないのです。


「PB黒字化目標という毒矢を抜き取る!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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