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『少子高齢化が日本経済を救う(後編)①』三橋貴明 AJER2017.5.30

https://youtu.be/onEQa07GWBM
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 新自由主義の「祖」とでもいうべきミルトン・フリードマンが名を成したのは、「大恐慌」についての研究発表からでした。


 フリードマンは、大恐慌の発生と拡大について「FRBの金融緩和が足りなかったため」と結論付けたのです。実際には、大恐慌期のFRBはマネタリーベースを拡大しており、貨幣乗数は現在の日本並みに下がっていたのですが。


 ともあれ、フリードマンらマネタリストは、デフレ・インフレを「貨幣供給量」の一言で片づけます。

「経済生産より早いペースで貨幣供給量が増えることによってのみ生まれ得るという意味で、インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」(ミルトン・フリードマン)


 逆に考えると、経済生産より遅いペースで貨幣供給量が増えると、デフレーション。デフレとは、いついかなる場合も貨幣的現象というわけでございますね

 現実には、インフレ・デフレは貨幣供給量では決まりません。

 例えば、日本銀行が1000兆円の現金紙幣を印刷し、それを日銀本店の地下に保存しておいたら、どうなるでしょう? インフレになりますか?


 なるわけがありません。


 現実の世界では、インフレ・デフレは貨幣供給量ではなく、「モノやサービスに対する支出(需要)」である名目GDPと、国民経済の生産能力(潜在GDP)との関係で決まります。


 もちろん、先ほどの1000兆円を日銀が全てモノやサービスへの支出に回せば、とんでもないインフレになります。とはいえ、インフレ率を決定するのは貨幣供給量ではなく、モノやサービスへの支出=需要なのです。


 デフレは、貨幣的現象ではありません。総需要の不足なのです


 ところで、ベン・バーナンキFRB議長は、フリードマンの弟子の一人です。当然ながら、デフレについて「貨幣的現象」として捉え、日本に対し「量的緩和といったリフレ政策」でデフレから脱却できると提言していました。


 そのバーナンキ議長が、自らの過ちを認め、懺悔しました


『【プロの眼】バーナンキの「懺悔(ざんげ)」
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/expert/post_133281/
 5月24日に日銀の国際会議で講演した元FRB議長のバーナンキ氏。これまで主張していた量的緩和といったリフレ政策で日本は脱デフレ出来るという主張に対して、見通しが甘かったことを反省したという。今後の日銀の政策については金融政策と財政政策の協調によってデフレから脱することができるという主張に対し、東短リサーチの加藤出氏は日本経済の根本的な問題は構造にあるため、構造改革を地道に進めるしか処方箋はないと指摘する。』


 バーナンキ前議長は、5月24日の日本銀行における講演で、
「私はよく理解できていなかった。特に初期の論文では楽観的過ぎた。中央銀行がデフレを克服できると決意して金融緩和策を行うことに、私は確信を持ち過ぎた

 と、語りました。


 そして、前議長は、
「インフレ目標の達成を目指す姿勢を維持しつつ、必要になった場合には財政出動を金融緩和策と協調させながら拡大させるべき
 と、実に真っ当な、というか、
「は、初めからそう言ってくれれば!」
 と、思わず叫びたくなる提言をしたのです。


 日本が「財政出動」という需要創出策なしで、デフレ脱却できるはずがありません。何しろ、デフレとは「総需要の不足」という経済現象なのです。


 今の日本は、金融緩和が継続しているため、国債金利は超低迷しています。財政拡大をやらない理由は、本来はないのです


 また、日本銀行が量的緩和政策で購入する市中の国債が尽きつつあります。いわゆる、日銀のXデイ問題です。


 日本銀行の金融緩和を継続するためにも、日本政府は国債を発行「しなければならない」のですが、現実には狂ったPB目標を閣議決定し、国債発行に歯止めをかけています。


 結局、日本のいわゆる「リフレ派」は、財務省主導の緊縮路線に利用されたことが、バーナンキ前議長の発言を見ると、改めて理解できるわけでございます。


 日本政府が財政拡大路線に転じない限り、我が国のデフレ脱却はないのです。


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