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『世界経済の政治的トリレンマ(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.4.25
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平成29年5月21日 第4回日台親善シンポジウムにて、三橋貴明と田村秀男先生が共演!
http://kokucheese.com/event/index/460716/
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フランス大統領選挙は、マクロン前経済相が、ルペン党首を破りました。
『仏大統領選決選投票、マクロン氏の勝利確実 仏史上最年少の指導者誕生へ
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN1830ZZ.html
7日実施した仏大統領選の決選投票は、投票終了直後に発表された出口調査で、中道系独立候補のマクロン前経済相が極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首に勝利する見通しとなった。
出口調査によると、得票率はマクロン氏が65%、ルペン氏35%で、その差は、投票前の調査の20%ポイント前後よりも大きい。(後略)』
フランスはEUに残留し、少なくともEU加盟国からの移民は流入し続け、緊縮財政路線も継続することになります。
一応、マクロン新大統領は「EU外」の国境を強化し、不法移民は送還すると公約していますが。
今回のフランス大統領選挙で、最も注目すべき点は、マクロン氏の当選でも、ルペン氏の健闘でもなく、左翼党のメランション氏が「反EU」を主張し、20%近い票を採ったことだと思います。
ルペン氏とメランション氏を合わせると、第一回投票で40%の有権者が「反EU」に投票したことになります。
メランション氏は、元々はヨーロッパ連邦を支持していたのですが、EUの社会実験の失敗が明らかになるにつれ、
「ヨーロッパ連合はもう解答でなく、経済自由主義が機構を完全に汚職したことで、欧連が必要とする民主化を成し遂げるのは不可能にした」
と、反対に回りました。
繰り返しますが、現在のEUはモノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化、つまりはグローバリズムの思想に支配された国際協定です。経済自由主義を「固定化」し、民主主義によってすら覆すことを不可能にするグローバリズムの国際協定こそがEUなのです。
EUに加盟している限り、フランスは大々的な失業対策等を打てません
。
フランスの若年層失業率が25%であることは、何度か書きましたが、全体の失業率も10%超の状況が続いています。
ちなみに、
「欧州は社会福祉が充実しているため、失業率が高いのは当然だ」
との感想を抱いた方がいるかもしれませんが、独仏の失業率を比較すると・・・・・。
【フランス・ドイツの失業率(%)】
http://mtdata.jp/data_55.html#France
二十一世紀初頭には、失業率が10%を上回っていたのは、フランスではなくドイツなのです。
その後、ユーロ危機が深刻化するに連れ、ドイツは失業率を引き下げ、フランスは上がっていきました。ドイツの2016年の失業率は、何と4.1%。対するフランスは、10.1%。
まさに、ドイツのドイツによるドイツのためのEUであり、ユーロなのです。
マクロン氏が新大統領に就任したことで、フランスはこれまでの「グローバリズムのトリニティ(規制緩和、自由貿易、緊縮財政)」を継続していくことになるでしょう。ドイツ第四帝国路線でございますね。
フランス国民は、ドイツ国民というよりは「ドイツを中心とするグローバリズム」に、所得を吸い上げられる状況が続くことになります。政府はEUに加盟している限り、緊縮財政路線を採らざるを得ず、大々的な雇用対策は打てません。
それどころか、マクロン新大統領は「公務員を12万人削減する」ことを公約に掲げていました。失業率が二桁の国で、公務員削減の緊縮財政を実施する。これで、失業率が上昇しなかったら、奇跡です。
マクロン路線により、フランス国民はさらなる「グローバル化疲れ」に陥っていくこと確実です。
結果、ルペン的、メランション的な「反EU」勢力が、ますます支持を得ていくと思われます。
今回のフランス大統領選挙が、政権選択に際した切り口が「右 or 左」ではなく、「グローバリズム or 反グローバリズム」であった点で、まさに時代を反映した意味と意義があったと考えるのです。
今後の世界の選挙の争点は「グローバリズム or 反グローバリズム」が増えていくでしょうし、そうなるべきなのです。
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