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『ポストグローバリズム時代に一番有利な国①』三橋貴明 AJER2016.12.27

https://youtu.be/qCnlVHWdptU

   

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 昨日は、三橋経済塾第六期第一回講義にご参加頂いた皆様、お疲れさまでした。特に、懇親会の二次会にまでお付き合い頂いた皆様、きちんと仕事に行けました? 


 本日は日曜日ではなく、月曜日でございます。


 インターネット受講の皆様は、しばらくお待ちくださいませ。一週間以内に講義がWEBに掲載されます。

http://members6.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=8


 次回は、いよいよ「お金の本質」を理解するため、銀行決済や国債発行の話をします
 ゲスト講師は竹村公太郎先生です。


 さて、ようやく日本のマスコミも、アメリカが「保護主義の方向」に転換するという現実を報じ始めています。


『「米国第一」保護主義へ転換=温暖化対策、計画を撤廃-トランプ米新政権
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012100044&g=int
 トランプ米新政権は20日、環太平洋連携協定(TPP)から離脱すると正式に表明した。北米自由貿易協定(NAFTA)も再交渉を求め、参加国のカナダ、メキシコが応じなければ離脱する意向を示した。オバマ前政権が策定した地球温暖化対策の行動計画は撤廃する。「米国第一」を貫き、保護主義的な政策を辞さない構えだ。
 基本政策としてホワイトハウスのホームページで公表した。通商戦略実行の「手始めとしてTPPから離脱する」と表明。既存協定についても米国の利益にかなわなければ再交渉する方針を示した。米国の戦略転換は、世界経済の成長を支える自由貿易体制に影響する恐れがある。
 日米など12カ国が署名したTPPは、米国が批准しなければ発効しない仕組み。トランプ新政権の離脱表明により、現状の協定は発効のめどが立たなくなった。日本政府関係者は「引き続き米国に批准を働き掛ける」と語った。(後略)』


 昨日の経済塾で、企業の「付加価値の積み上げ」について解説しました。


 企業Aが「ゼロ」から(現実にはあり得ませんが)100円の製品を生産し、企業Bに売却。企業Bが100円の製品を加工し、300円で企業Cに売却。企業Cが300円の製品を加工し、600円で消費者に売却。


 上記のプロセスを通じ、いくらの付加価値の生産が行われたかと言えば、もちろん600円です。企業Aの付加価値100円、企業Bの付加価値200円、企業Cの付加価値300円の合計がGDP(国内総生産)になります。


 支出面で言えば、消費者が払った600円が「民間最終消費支出」というGDPになります。


 また、企業A、B、Cは生産者が「働き」、付加価値を生産した結果、それぞれ100円、200円、300円の所得を稼ぎました。「雇用」による「生産」こそが「所得」を創出することが分かります。


 グローバリズムの教義によると、上記の生産は、
別に、国内でする必要はないでしょ。コスト(人件費)が一番安い国でやればいいじゃん
 となるわけです。というわけで、NAFTA締結後、アメリカの企業A、企業B、企業Cは順次、メキシコへと生産拠点を移しました。結果的に、アメリカ国民は消費者として製品を購入するにも関わらず、生産はメキシコ、という話になりました。


 メキシコで生産されてしまうと、当然ながらアメリカの生産者の雇用、所得にはなりません。というわえで、各企業には「アメリカ国内」で生産するべきではないのか?


 上記が、簡略化したトランプ政権誕生の理由でございますね。


 ちなみに、今後の日本のマスコミはヒステリックに、
「アメリカが内向きになった!」
「アメリカが閉鎖的になった!」
「アメリカが保護主義を採用し、日本壊滅!」
 といった、極端な騒ぎ方をするのでしょうが、トランプ政権は「不公正貿易に厳格な措置を講じる」という方針を掲げたに過ぎません


 正直、日本の量的緩和政策について「円安誘導だ! やめないと対抗措置を採る!」と、言ってくる可能性はあると思います。ある意味で、これが日本にとって最大のトランプ・リスクです。


 そもそも、岩田規久男教授の「最近の金融経済情勢と金融政策運営 2014年9月10日」には、政策の波及経路に「円高修正」と入っているのです。日銀副総裁の立場にある人が、量的緩和の目的の一つとして「円高修正」と明言しているわけで、これは非常にまずいと思います。


 何しろ、今の日本は未だデフレーションであり、金融緩和をやめるわけにはいきません。日本銀行が金融緩和の修正の気配を示しただけで、超円高、株価暴落となり、リーマンショック同様に実体経済に多大な悪影響が及ぶでしょう。


 もっとも、日本銀行がこのまま量的緩和を継続できるという話でもありません。何しろ、政府が新規国債発行を抑制し、量的緩和(国債買取)を継続しているため、市中の国債が尽きつつあります。


 先日、日本経営合理化協会主催の「三橋経済動向塾」でご講演頂いた青木泰樹先生の資料によると、現在の国債発行ペースと、日銀の国債買取ペースが継続すると、2018年12月には日銀の国債保有が全体に占める割合が66%、19年12月には72%に達するとのことです。


 日本銀行のXデイ は、現在の政策を継続する限り、必ず訪れるのです。


 というわけで、日本が進むべき道は一本しかありません。とにもかくにも、国債を発行し、国内の需要を創出。早期にデフレから脱却し、内需主導で経済成長可能な体制を取り戻すのです。国債を増発することで、日銀のXデイを先延ばしすることができます。


 同時に、輸出企業はアメリカへの輸出が減少したとしても、供給能力を内需に振り向けることで成長していくことが可能です。


 内需主導の経済成長路線に戻れるか否か。いよいよ、正念場が訪れました。


「自由で公正な経済圏を世界に広げる」(1月20日 安倍総理の施政方針演説)
 などと、周回遅れ、時代遅れのことを言っている場合ではないのです。すでに、新時代は始まってしまったのです。


「内需主導の経済成長路線を!に、ご賛同下さる方は、
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