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『ポストグローバリズム時代に一番有利な国①』三橋貴明 AJER2016.12.27
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中野剛志氏「富国と強兵 」が、またもや増刷になったとのことでございます。おめでとうございます。
この価格帯で、かつ翻訳書ではない書籍がこれほどまでにヒットするなど、なかなか前例がないそうです。
中野氏の書籍刊行を記念し、1月28日に講演会が開催される
そうでございます。中野氏の講演というのは、一部(三橋経済塾
など)を例外に、あまり聞く機会がございませんので、是非ともご参加下さいませ。
https://www.facebook.com/events/123806434781597/
さて、2月1日に小学館から刊行となる「中国不要論
」は、日本の「対外直接投資+対中輸入」の拡大、すなわち逆輸入問題を取り上げ、
「日本は経済安全保障上、資本、人材、技術、需要、資源という経済の五要素について、中国に依存してはならない」
ことを切実と訴えた一冊になっています。
執筆時は、まだ米大統領選挙の前で、トランプ当選など「あり得ない」という国内マスコミの空気でございました。
執筆後にトランプが大統領選挙で勝利し、上記の「逆輸入問題」をツイッターで攻撃し始めたので、正直、びっくりしました。アメリカの場合は、「対メキシコ」問題ですが。
アメリカ同様に、日本も二十一世紀に入って以降、対中直接投資、対中輸入を拡大し、国民経済が疲弊するという状況になっています。何しろ、「雇用」と「需要」を同時に中国に奪われてしまうのです。
日本の政治家、官僚、そして財界人には、是非とも中国からの逆輸入問題を認識し、「アメリカ様に倣い」是正に動いて欲しいと考えていたのですが、何と「中国不要論 」と全く同じ論調をわたくし以外の方が書いて下さいました。
『経済界に欠ける「日本第一」主義 トランプ氏「米国第一」主義の意味合い
http://www.sankei.com/premium/news/170114/prm1701140014-n1.html
2017年はトランプ米政権の発足により、自由市場経済への通念が大きく変わろうとしている。投資は利益の最大化を求める企業の自主判断にまかせるという建前が崩れ、政治がビジネス活動に口を出しても当たり前の時代になってきた。
トランプ次期大統領が繰り出す短文の「つぶやき」(ツイッター)の威力はすさまじい。フォード・モーター、キャタピラーなどの米大手企業はメキシコ投資計画が批判されると、ただちに撤回を表明した。ツイッター爆弾はトヨタ自動車の頭上でも炸裂(さくれつ)し、豊田章男社長はさっそく米国での記者会見で、今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると釈明する具合である。(中略)
それでも重視すべきは、トランプ氏の「米国第一」主義の意味合いである。そのフレーズを「本国第一」と言い換えて、日本に適用すれば「日本第一」となる。それを安倍晋三首相が唱え、経団連メンバー企業に「対中投資をやめて日本に投資せよ」と言えばどうなるだろうか。中国市場からの撤退を考えている企業はともかく、これからも追加投資を計画している自動車大手などには馬耳東風だろうし、新自由主義思想を米国留学で身に付けた経済産業省などの官僚たちも「総理、それはダメです」と抑えにかかるだろう。(中略)
企業の自由は無論、尊重すべきだ。しかし、わが国の産業界は本国軽視、海外優先にあまりにも偏重してはいないかと思う。トランプ次期政権の場合、覇権国米国の経済が弱体化することへの焦燥がある。経済力を背景に軍事力を膨張させる中国の脅威をトランプ氏のアドバイザーたちが感じ取っていることがある。残念ながら、そんな危機感は同盟国日本にない。政治の口先介入を拒むなら、経済界は自主的に「日本第一」を意思決定要因に加えるべきではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)』
まあ、田村先生なのですが、田村先生の論調は「国民経済」という視点から見たとき、全くの正論になります。同時に、グローバリズムから見れば、許しがたき背教者という話になるのでしょう。
とはいえ、そもそも企業は「国家」に依存し、成長していくものです。日本の大手企業にしても、日本の国民の労働、日本国内の需要、日本国内で発展した技術、日本国内のインフラ、日本の文化の上で創業され、事業を継続してきたはずです。
多国籍企業全盛の現代にあっても、結局、企業は「国籍」を持ち続けるのです。この辺りの話は、ハジュン・チャンが「世界経済を破綻させる23の嘘
」において看破しています。
企業が「国籍をなくした」というのは「嘘」なのです。
日本企業である以上、自分が寄って立つ「日本国民」の所得拡大や福祉向上を最優先に考えるべきです。外国に直接投資を拡大し、さらに国内へ逆輸入すれば、それは「企業の利益」は膨らむでしょう。とはいえ、それは国内の他の生産者の「犠牲」の上に成り立つ利益なのです。
もちろん、グローバル投資家からしてみれば、日本国民の所得や福祉など、どうでもいい話でしょう。とにもかくにも、利益、利益、利益。
日本国民ではない、あるいは国籍にこだわらないグローバリストたちが、企業に短期の利益を要求し、対外直接投資や逆輸入を求めるのは、ある意味で当然です。
問題なのは、企業の経営者たち財界人はもちろんのこと、我が国の場合は政治家や官僚までもが、「国民経済を犠牲にしても、企業の利益を拡大するべき」という奇妙な思想に染まってしまっていることです。田村先生が書いている通り、総理が対中直接投資、対中輸入の拡大を問題視すると、
「新自由主義思想を米国留学で身に付けた経済産業省などの官僚たちも「総理、それはダメです」と抑えにかかるだろう」
となるでしょう。
このまま我が国の政治家、官僚、財界人が「日本第一」主義を掲げることがない場合、我が国は資本、労働、技術、需要、資源という経済の五要素を、ますます外国に依存するようになり、相対的に弱小国へ転落していくのではないかという危機感を抱いています。
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