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『改めてデフレを知ろう①』三橋貴明 AJER2016.11.29

https://youtu.be/yJCBGtoreh4

    

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 国民経済を「供給能力」側からみると、生産活動に対する資本、技術、労働の投入になります。すなわち、生産者一人当たりの生産量を増やす(=生産性の向上)のためには、資本、技術、労働を強化しなければならないのです。


 資本を投じることを、「投資」と呼びます。また、投資の主体は民間と政府に分かれます。

 というわけで、わたくしは投資を「設備投資」「公共投資」「技術投資」「人材投資」の四つに分類。リスクと生産性向上の効果が出るまでの期間の二つを軸とし、投資のマトリクスを作成しました。


【投資のマトリクス】

 
 資本主義経済が成長するためには、上記四つの投資が伸びていくことが必須です。投資の伸びを確認するためには、もちろん「数値」で計測しなければ分かりません。


 設備投資と公共投資は、それぞれGDPの「民間企業設備」「公的固定資本形成」に該当します。

 このたび、技術投資(研究開発)がGDPとして計上されることになりました
 
『「GDP、経済実態に近づいた」と石原伸晃再生相 計算方法の見直しで
http://www.sankei.com/economy/news/161209/ecn1612090017-n1.html
 石原伸晃経済再生担当相は9日午前の閣議後会見で、最新の国連基準を適用して計算し直した平成6~27年度の国内総生産(GDP)の値が8日発表されたことに関し、「一番大きいのは研究開発がコストでなく、投資に入るようになったこと。科学技術、イノベーション(技術革新)を成長戦略の一つに置く(安倍晋三)内閣にとって、より経済の実態に近いものになった」との見方を示した。
 新基準にもとづいた計算方法では、27年度の名目GDPの確報値532兆2千億円となり、旧基準の速報値(500兆6千億円)から31兆6千億円かさ上げされた。これにより、安倍政権の掲げる「32年ごろの名目GDP600兆円」達成が、より現実的になった。』


 GDPの改定とは、具体的には研究・開発(R&D)の資本化などです。2015年の数値で言えば、
〇研究・開発の資本化 19兆円
〇特許等サービスの扱いの変更 3.4兆円
〇防衛装備品の資本化 0.6兆円
〇所有権移転費用の扱い精密化 0.9兆円
〇中央銀行の産出額の明確化 0.2兆円
〇その他 7.3兆円
 となり、合計でGDPが31.6兆円増えました


 技術投資の資本化自体は、間違っているとは思えません。


 とはいえ、算定方法の見直しでGDPが31兆円増えたからといって、
『「32年ごろの名目GDP600兆円」達成が、より現実的になった。』
 これはおかしな話です


 元々の名目GDP600兆円は、旧基準のものでした。算定基準が変わり、GDPが30兆円増えたのであれば、目標を630兆円に設定しなおす必要があるはずです


 技術投資の算入でGDPが「嵩上げ」された以上、目標も引き上げなければならないはずです。さもなければ、「姑息」の誹りを免れません


 そもそも、安倍政権の名目GDP600兆円目標は、国民の所得(=GDP)の引き上げの具体的な目標であり、数値合わせではありません。国民の所得を「500兆円から600兆円まで、100兆円引き上げる」という目標であった以上、算定基準の変更で「目標達成が楽になった」とはならないのです。


 なぜならば、算定基準を変えたところで、国民の所得が増えているわけではないためです。


 安倍政権が真摯に国民経済の成長を求めるならば、あるいは国民の所得増大を求めるなれば、名目GDP目標(これ自体は評価しています)を630兆円に再設定する必要があるのです。


「安倍政権はGDP目標を630兆円に再設定せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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