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『改めてデフレを知ろう①』三橋貴明 AJER2016.11.29

https://youtu.be/yJCBGtoreh4

    

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 「経済界 12月20日号」 に連載「深読み経済ニュース解説 規制改革推進会議の暴走」が掲載されました。


 本日から台湾です。


 日本政府は、2016年度の国の税収見通しについて、当初見積もりより1兆9000億円少ない55兆7000億円程度に下方修正する方針を固めました
 またぞろ、緊縮派が勢いづく「危険」があるので、本日、取り上げます。


16年度税収、1.9兆円下振れ=7年ぶり前年割れ、赤字国債増発へ-政府
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016120500815&g=eco
 政府は5日、2016年度の国の税収見通しを当初見積もりより1兆9000億円少ない55兆7000億円程度に下方修正する方針を固めた。円高による法人税収の落ち込みが主因。税収が前年度実績(15年度は56兆2854億円)を下回るのはリーマン・ショックの影響を受けた09年度以来、7年ぶり。
 政府は近く編成する16年度第3次補正予算案で赤字国債を追加発行し、財源不足を補うことを検討する。』


 本来、日本経済がデフレから脱却し、名目GDPが堅調に成長しているならば、円高による法人税減は十分に吸収できるはずなのです。


 たとえば、名目GDPが3%成長すれば、税収弾性値を含むと、税収は少なくとも3兆円~4兆円増えます。多少、法人税が円高で減ったところで、減少分をカバーできるはずなのです。


 ちなみに、円高で法人税が減る理由は、もういいですね。輸出量が変わらない前提で、円高が進行すると、輸出企業がグローバル市場で稼いだドルやユーロ、ポンドなどの「円換算」が減少し、収益を圧迫。法人税収も減るのです。


 今回の税収減をもたらした主因は、日本のマスコミがいう「円高による法人税減収」も確かにあります。とはいえ、法人税減収をカバーしきれないほど、名目GDPの伸びが弱いという点の方が、よほど重要な問題なのです。


 理由は、安倍政権が「デフレ脱却」を標榜し続けているためです。デフレ脱却を目指す以上、名目GDPが「増える」(厳密には、実質GDPが成長し、GDPデフレータがプラス化し、名目GDPが増える)ことがゴールなのです。

 名目GDPが増えれば、政府は歳入増になります


 税収減を「円高による法人税収の減少」で切り捨ててしまうと、肝心の「名目GDPが十分に増えない」という点が置き去りにされてしまうことになりかねません。


 そして、
「税収が減った! 建設国債に加えて、赤字国債まで増発だ! 国の借金で破綻する! 増税だ! 政府支出削減だ! 緊縮財政万歳!」
 という主張が力を帯び、政権が再び緊縮に舵を切ると、デフレギャップが拡大。デフレが深刻化し、名目GDPがますます伸びなくなり、税収も減少。


 税収が減ると、
「税収が減った! 建設国債に加えて、赤字国債まで増発だ! 国の借金で破綻する! 増税だ! 政府支出削減だ! 緊縮財政万歳!」
 という、日本衰亡化の暗黒循環に突入することになります


 今にして思えば、消費税を増税し、デフレ脱却を後回しにし、名目GDPの成長が不十分な状況で、「円安」により法人税収が増加。歳入全体が大きくなってしまった2013度から2015年度、そして円高で歳入全体が減る2016年度という流れは「危険」でした。


 いや、過去形にはできないのですが、政府の歳入減は、間違いなく財務省を中心とする緊縮財政派を勢いづかせ、しかも国民に対し緊縮路線が説得力を持ってしまいます


 これが、デフレ脱却を最優先し、名目GDPが成長し、税収が増えているという状況であれば、多少の円高や法人税減収は吸収でき、緊縮路線を抑え込めることができたわけです。返す返すも、残念です。


 とにもかくにも、政府の歳入減を理由に緊縮財政派が勢いづくことだけは、何とか防がなければなりません。そのためには、
「名目GDPと税収が相関関係が強い」
「増税したとしても、デフレ深刻化で名目GDPが減少すると、税収は減る」
 といった国民経済の基本を、日本国民一人一人が学ぶ必要があると思うのです。


 我が国を衰亡に追い込む、緊縮財政路線への回帰を許してはなりません


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