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『新幹線を学ぼう①』三橋貴明 AJER2016.7.12
https://youtu.be/tGkKNbUZ0HE

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 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演いたします。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651


 日本文芸社「全国民が豊かになる 最強の地方創生 」に関連し、「経営をアップグレードしよう」にインタビューが掲載されています。ご一読くださいませ。


【前編・三橋貴明が語る。】人手不足は避けられない!問題解決の糸口は「生産性向上」。
http://upgrade.all-in.xyz/animal-spirit-1st/
【後編・三橋貴明が語る。】起業家はアニマルスピリットを持て!地方創生において起業家が果たす役割とは?
http://upgrade.all-in.xyz/animal-spirit-2nd/


 明日は「月刊三橋・三橋経済塾合同シンポジウム(&懇親会) 経済学者たちのキッチュ」開催日です。ゲストは、青木泰樹先生、佐藤健志先生です。


 経済塾生でお申し込み頂いた方は大丈夫だと思いますが(午後に経済塾があるので)、月刊三橋からお申し込み頂いた皆様、ご留意くださいませ。


 さて、巷で話題の「ヘリコプターマネー」ですが、タイミング良く青木先生が解説して下さっています。


【青木泰樹】ヘリマネとリフレ派
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/07/09/aoki-28/


 マネタリズム。貨幣は中立である。などなど、金融政策を重視する「経済学」の元祖は、ご存じミルトン・フリードマンです。フリードマンは大恐慌を研究し、
「FRBがマネタリーベースを十分に増やしていたら、大恐慌は回避できた」
 との結論をまとめました。

 が、現実には貨幣は中立ではありませんし、マネタリーベースを増やしたところで、デフレを回避もしくは脱却できるとは限りません。と言いますか、今の日本の↓この惨状を見て、デフレは貨幣現象だの、MBを増やせばインフレになるだの、貨幣は物価に中立だの主張する人は、まさしく「思考停止」以外の何ものでもないです。


【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸) 】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#MBCPI



 MBが増えたとしても、銀行から民間への貸出が「十分に」増えなければ、物価は上昇しません。貸し出しが増えたとしても、モノやサービスが「十分に」購入されなければ、やはり物価は上昇しません。

 何しろ、物価とはモノやサービスの価格であり、インフレとは物価が上昇することなのです。どれだけMBを拡大しようとも、モノやサービスが十分に買われなければ、物価が上昇するはずがないのです。


 といった批判にさらされたフリードマンが、
ヘリコプターで実体経済の上空から現金をばらまく」
 といった寓話で、「モノやサービスの購入」にお金を回す屁理屈を思いついたわけですね。

 もっとも、ヘリコプターからお金を撒こうが、国民一人一人に「給付金」としてお金を配ろうが、それが「モノやサービスの購入」に、十分に回らなければ、デフレ脱却は果たせません

 結局、デフレ脱却のためには「政府がモノやサービスを購入する」ことで総需要を創出する財政出動が最も確実なのですが、「お金を発行すればデフレ脱却できる」「給付金としてお金を配ればデフレ脱却できる」といった主張が後を絶ちません。


 ちなみに、わたくしは「金融政策は無駄」、あるいは「給付金は無駄」と言いたいわけではありません。やればいいんですよ、大いに。とはいえ、主体となるのは「デフレ対策として確実」な、政府によるモノやサービスの購入、つまり財政出動による需要創出でしょ、と言いたいだけです。


 7月13日の産経新聞に載った「ヘリコプターマネー検討  政府 日銀資金で財政出動」は、田村秀男先生の記事ですが、これは若田部氏の、

『若田部氏の場合は、先述の連載コラムの中で「貨幣を増やし、増えた貨幣が恒久的に残ること」をヘリマネと定義しています
 またヘリマネと量的緩和の違いについて、「量的緩和はインフレ目標を達成すれば貨幣を回収することを想定している。この将来の回収の有無が両者の相違である」と述べています。(青木先生のコラムから引用)』


 を意味しているのだと思います。

 要するに、増えに増えてしまったMBについて、将来的な回収(=国債売却)を否定し、日銀と政府が協定を結び、半永久的に保有する「国債買い切り宣言」をしてしまえば、政府の借金が名実ともに消える、という話なのです。


 積み上がったMBの処理の話ですが、青木先生がご提案されている「長期無利子国債」と発想は同じですね。政府が長期無利子国債を発行し、日銀の保有する国債と交換してしまえば、やはり政府の借金が名実ともに消え、膨れ上がったMBを「調整」することができます。


ヘリコプター・マネー「政府、検討せず」
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160714-OYT1T50005.html
 菅官房長官は13日の記者会見で、金融政策と財政政策を一体的に進める「ヘリコプター・マネー」政策について、「政府が検討しているという事実はない」と述べた。
 政府・日本銀行が「ヘリコプター・マネー導入を検討しているのではないか」との市場の臆測を否定したものだ。
 ヘリコプター・マネーに明確な定義はないが、政府が景気刺激のために、ヘリコプターからばらまくようにお金を配る政策を指す。具体的には、中央銀行が国債を政府から直接引き受ける案などがあるが、通貨の信認が失われて極端なインフレを招くとして政府・日銀内では慎重論が根強い。
 ただ、28日からの日銀の金融政策決定会合を控え、市場は日銀の「次の一手」を注視している。ヘリコプター・マネーを巡る議論は今後もくすぶり続けそうだ。』


 読売の記事にもある通り、ヘリコプターマネーに「明確な定義」はありません。定義が不明確な「ヘリコプターマネー」という言葉で煽るのは、これは問題だと思います。一般の方が「ヘリコプターマネー」と聞くと、どう考えても、
「ヘリコプターからお金を撒く」
 と、受け取ってしまうでしょう。普通に「国債買い切り宣言」とか、誤解のしようがない用語を使うべきだと思うのです。 

 ちなみに、わたくしは「国債買い切り宣言」も「長期無利子国債」も否定する気はないのですが、いずれにせよ「政府の財政出動による需要創出」がなければ、デフレ脱却できないことに変わりはありません。


 果たして、新聞紙上で「ヘリコ
プターマネー」という言葉を読んだ方は、上記で解説した通り「正しく」認識することができたでしょうか。


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