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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)
https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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さて、良きにせよ、悪しきにせよ、日本や世界が大きく変わる可能性がある二週間が始まります。
5月18日の、日本における16年1-3月期の経済成長率発表。そして、5月26日、27日の伊勢志摩サミット。
主要七カ国は、果たして「協調的な財政出動」に乗り出せるのか。
少なくとも、アメリカ、フランス、カナダ、イタリアの四カ国は、日本に同調し(やる、やらないは別として)財政出動に同意するでしょう。残る二カ国、特に「ドイツ」が、どこまで譲歩するのか。
また、そもそもフランスやイタリアは、ユーロ・EU加盟国です。両国ともに金融の主権はなく、財政主権も制限されており、大々的な財政出動など、現実問題として可能なのでしょうか。
さらに、アメリカは大統領選挙の真っただ中であり、レームダック化したオバマ政権に、財政出動を主導することができるのでしょうか。
カナダはやるというか、すでに始めています。カナダは昨年10月の総選挙で、
「公共投資によるインフラ整備」
「財政赤字拡大を三年間容認」
「富裕層増税と中間層減税」
を訴えた自由党が勝利し、堂々と「ケインズ的政策」に舵を切りました。すでに、自由党のトルドー政権は、インフラや社会保障に関する支出を大幅に拡大した予算を組みました。
そして、日本。
『1~3月期GDP速報値18日発表 市場予測は小幅増で事実上マイナスの声
http://www.sankei.com/politics/news/160515/plt1605150017-n1.html
政府は18日、平成28年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を発表する。市場予測の平均はわずかにプラス成長だが、経済の実態は弱く、うるう年で2月が1日多い分のかさ上げ効果を除けば、事実上マイナスとの見方も多い。参院選前に景気テコ入れを求める声が強まる可能性があり、安倍晋三首相は今月26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)と連動して経済対策づくりを急ぐと同時に、来年4月に予定される消費税増税の先送りについても最終判断する考えだ。(後略)』
先日の日本経済新聞の「消費増税再び延期 首相、サミット後に表明 地震・景気に配慮 」から考えると、うるう年効果を入れてもマイナス成長に陥っている可能性はあると思います。特に、3月の実質消費の対前年比▲5.3%は強烈でした。
実質消費が5%マイナスになるということは、この減少率が継続すると、我が国は一年間に約15兆円もの消費下押し圧力を受けることになります。実質GDPで見れば、3%の縮小圧力です。
しかも、熊本・大分地震の影響で4-6月期の生産にも悪影響が生じています。この状況で、消費税増税の見送りや、大規模財政出動に踏み出せないならば、「政治」ではありません。
ポイントを、以下に整理しておきます。
(1)消費税再増税の判断:予定通り実施 or 延期 or 凍結 or 減税?
無論、最も望ましいのは「減税」ですが、現実には「延期」が濃厚であり、「何年の延期?」が焦点になってくるように思えます。
(2)財政出動の規模と質と期間
現在の日本にとって必要なのは、10兆円規模のインフラ・技術への投資を中心とした財政出動を複数年間(最低でも三年)は継続することです。幸いなことに、現在の日本には、リニア中央新幹線や北陸新幹線、ILCなど、政府が支出しなければならない「プロジェクト」が複数、存在します。
(3)先進七か国が、どこまで財政出動の拡大にコミットするか
上記の通りです。
(4)財政健全化目標の「修正」ができるのか
プライマリーバランス黒字化などというナンセンスな目標を捨て去り、政府の負債対GDP比率という真っ当な(相対的に)目標に変更できるのか
特に、重要なのは実は(4)で、財務省や財政至上主義の政治家たちは、未だに、
「プライマリーバランスを黒字化させなければならないから、予算は増やせない」
と、経世済民を無視した財政均衡主義の教義を貫こうとしています。結果、熊本・大分地震の復興予算すら、「国債金利のマイナスで浮いたおカネ」を回すという、
「ふざけるなっ!」
との感想を持たざるを得ない、奇妙な経済政策が続いています。
(4)の問題を何とかしなければ、結局は「増税+財政支出削減」という既定路線を覆すことは難しいのではないかと思います。
いずれにせよ、世界が変わる二週間が始まりました。今回が、安倍政権にとってはもちろん、日本国民にとってすら、我が国がデフレから脱却するためのラスト・チャンスかも知れません。
「安倍政権は緊縮財政路線を放棄せよ」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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