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『高度成長期を知ろう①』三橋貴明 AJER2016.3.15
https://youtu.be/DoOeeMOAMNQ
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2016年4月10日(日)12時から
日台親善シンポジウム「台湾の対中経済政策を考える」
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昨日は、三橋経済塾第五期第三回講義開催日でした。ゲスト講師は青木泰樹先生で、テーマは「リフレの終わり-リフレ政策とは何だったのか-」でございます。
わたくしの講義は「資本主義が成立していない」「都市と交通インフラ」の二本立てでお送りいたしました。
インターネット受講の皆様は、数日お待ちくださいませ。青木先生の講義を含め、インターネットから視聴可能となります。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
さて、北海道新幹線の新青森-新函館北斗間の開業日が五日後に迫り、青函トンネルが休業となります。
『青函トンネル 22~25日「休業」新幹線設備へ切り替え
http://mainichi.jp/articles/20160320/k00/00e/040/128000c
26日の北海道新幹線(新青森-新函館北斗)開業を前に、本州と北海道を結ぶ青函トンネル(53.85キロ)を通る在来線旅客列車の通常運行が、21日で終了する。直前の4日間で、トンネルの設備を新幹線用に切り替えたり、新幹線の最終訓練運転をしたりするため。JR北海道によると、4日間で約1万2000人に影響が出る見込みで「期間中はフェリーなど他の交通機関を利用してほしい」と呼びかけている。』
北海道新幹線の予約率は今一つのようで、
「このままでは大赤字だ」
系の報道を見かけますが、そもそもこの手の記事を書く人は交通インフラ、特に新幹線の使命について理解していないんだなあ、と、つくづく思います。
新幹線の本来の効果は、路線単体で黒字赤字云々という話ではありません。それはまあ、黒字の方が鉄道会社は嬉しいでしょうが、交通インフラの使命は本質的には二つあります。
一つ目は、もちろん生産性向上効果です。
ヒトの移動を短時間で行うことを可能とし、一人当たりの生産(特に「サービスの生産」)を増やすのです。
そして、二つ目は、サービスの生産に際し、提供可能な市場を拡大することになります。サービスは、在庫ができません。しかも、生産と消費が同時に行われます。
というわけで、サービス業(日本のGDPの八割はサービス業)は消費地に拠点を設ける必要があります。これが東京一極集中の一因でもあるわけですが、新幹線のような交通インフラは、地域と地域を短時間で結ぶことで、サービスの市場を拡大する効果があるのです。
いわゆる「交流人口」が増えることで、サービス業の商圏は広がります。
北海道新幹線が開業すると、函館市や北斗市、さらには東北北部の交流人口を拡大し、観光やビジネスが拡大します。増大した交流人口のサービスを提供する一次効果、さらには生産者の所得が拡大することによる追加的に生産が拡大する二次効果により、北海道新幹線は年間約136億円の経済波及効果が見込まれているのです。つまりは、GDPが136億円増えるわけですね。
新青森・新函館北斗間の北海道新幹線建設費が約5,500億円であるため、およそ40年で元が取れる計算になります。40年は長すぎる、と思った方が多いでしょうが、そもそも北海道新幹線は「札幌」まで結ばなければ、便益の最大化はできません。
長万部から新小樽を経由する北回りルートで北海道新幹線を札幌まで延伸すると、建設費は約1兆6,700億円かかります。すなわち、新青森-札幌間を全区間整備すると、合計で約2兆2,200億円が必要なのです。
北海道新幹線が札幌まで延伸されると、北海道の純交流人口は42.4万人増えます。「純交流人口」とは、北海道以外に拡大する交流人口になります。
北海道新幹線延伸で、北海道外、つまりは東北などの交流人口も40.6万人増えると見込まれています。北海道や東北・関東で互いに行きかう人が増えるため、当たり前の話として交流人口の拡大は双方向に発生するわけです。
北海道外の交流人口が増え、ビジネスが拡大したとしても、北海道のGDPにはなりません。というわけで、新幹線開業時の交流人口は、「純交流人口」で見るのが適切なのでございます。
北海道の純交流人口が42万人増えた際の「北海道のGDPの増加」がどの程度の規模になるかといえば、最大で1086億円です。すなわち、20年で経済効果(GDPの増加)が建設費を上回る計算になるわけです。
もちろん、交通インフラは単体で赤字になろうとも、経済効果(GDP拡大効果)がそれほど大きくなくても、必要なものは建設しなければなりません。とはいえ、北海道新幹線の場合は、少なくとも札幌まで早期に延伸すれば、短期間で「元が取れる」のでございます。
今後、北海道新幹線開業に伴い、民間のビジネスのごとく路線単体の「黒字」「赤字」で評価しようとする声が増えてくるでしょうから、予め「交通インフラの使命」について強調させて頂きます。
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