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『日本の亡国を防ぐために①』三橋貴明 AJER2015.9.15(5)

https://youtu.be/oN59AffMGQE

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 飛鳥新社「亡国の農協改革 ――日本の食料安保の解体を許すな 」、またもや増刷が決まりました。これで、第三刷になります。ようやくAmazon在庫も戻りました。


 さて、「みぬさ よりかず」様が農協改革の感想を送って下さいましたので、ご紹介するに合わせて、我が国の「食料安全保障」について実践主義的に考えてみたいと思います。(といいますか、「亡国の農協改革」で書き漏らしたことがあるのです)


『-救国の農業改善-

 「亡国の農協改革」は、問題作と公言するだけあり、色々考えさせられる内容でした。今回その中で個人的に大変気になる文章が有りました。
 さり気なく「ドキッ」とする提言だったのですが、耕作放棄地が多い事を指摘して、総ての農地で耕作し、そこで生産された総ての農産物を政府が買い上げ、余った農産物は捨ててしまおう!との内容でした。
 これは非常に示唆に富む提言では無いでしょうか?
 農地が稲作に適した場所であるなら多くの農家は、恐らくコメ作りを行いたいのではないかと予想します。我が国は「瑞穂の国」というくらいですから、水田にわざわざ、小麦やトウモロコシなど、コメ以外の穀物を育てたいという農家が少ない気がするのです。
 また、家畜の飼料用の穀物を育てたい農家はもっと少ない気がします。人様に食べて頂く美味しいコメを作ろうという場合と、家畜のエサを作るのでは、モチベーションが全く違ってしまうのでは無いでしょうか?これは諸外国と比べて少ない耕作面積を手間隙掛けて作物を育てる環境の違いだと想像します。
 ところがコメの消費は、パン食の普及で落込んでいます。日本の農業政策の柱が、長きに渡り米の生産を減らす減反だった事を見れば明らかです。しかし農家に米を作るな!と強要する減反は、何ともやる気が失せる政策でした。仕事をしないとお金が貰えるという仕組みは、農業に暗い影を落としたと思います。
 そこで日本の穀物自給率を下げている元凶である飼料用穀物に食用の余ったコメを使えないかという発想が出て来ます。仮に政府が減反制度を中止し、全力で総ての耕作可能地で稲作をして、政府が総て買い上げた場合、どのような方法があるでしょうか?
 「亡国の農協改革」によると欧州では、9割もの農家の収入が政府からの補助金となっているそうです。そこでジャポニカ米のライバルである、カルフォルニア米と国産米の内外価格差を補助金として政府支出で賄い、同時に生産された総てのコメを最終的に政府が買い上げるのです。
 そこまで安くするのはどうかとの意見もあるでしょうが、その場合コメの輸出補助金的な役割が生じて、世界中で人気のスシや和食などで使うコメとして輸出する可能性も出て来ます。
 またコメは数年備蓄可能ですから古米は外食産業などに更に安く卸しても良いでしょう。しかし、それでも相当数お米は余ります。そこで古米として備蓄可能年数が過ぎた大量のコメを、三橋氏の提言通り捨ててしまうのです。
 ここからが「もったいない」精神の発露となるポイントなのですが、処分するにも手間が掛かります。そこでコメを家畜のエサとして食べさせて処理したらどうでしょうか?ポイントはゴミと化したコメを家畜が処分する部分です。
 精米しない玄米は非常に栄養価のバランスの取れた食品である事は周知の事実です。これは家畜でも同じでしょう。しかもヒトが食べる美味しいお米ですから家畜も喜んで処分すると思います。
 牛豚鶏などの家畜の飼料として破棄されたお米が使われれば、畜産農家も大助かりです。何と言っても廃棄物なのでタダですから。世界中で一番安い穀物飼料が無尽蔵に入手出来る環境が出来上がるのです。日本の畜産農家の国際競争力は飛躍的に高まるでしょう。これで世界に伍して闘えます。
 またコレは捨てたコメを肉に変換して食べるという、ある種の食物連鎖を作る事にもなります。米農家はヒトに食べて貰うように頑張って美味しいお米を作るでしょうし、万が一余っても今度は美味しいお肉に化けて食べられる訳です。

 ただこの場合、問題なのは、日本に穀物用飼料を輸出している米国の農家です。仮に政治家がこんな提言をしたら、何かの理由で直ちに失脚、逮捕、あるいは原因不明で亡くなるかも知れません。もちろんジョークですが・・・そこで先回りして日本に穀物を販売している米国農業のケアも検討する必要が有ります。
 このヒントも「亡国の農協改革」に出ているのですが、現在、深刻な問題になっている欧州のシリア難民問題も元を辿れば、穀物価格の高騰を原因とした「アラブの春」と呼ばれる政変が原因です。エジプトなどはロシア産の小麦に依存しているそうで、これら新興国の市場に米国産の余った穀物を売込みます。
 日本政府は、為替介入で膨大な米ドルを所有しています。これを活用して、米国が日本に対して行ったのと全く同じように、経済援助として新興国に米国産の穀物を安定供給させる基金を作ったらどうでしょうか?日本に売れなくなった穀物の販売先を日本が斡旋するのです。それを全農に任せたら更に良いです。
 経済学の発祥の地である英国では、自国で生産する穀物の保護を目的とした穀物法の改正を巡って様々な論争が繰り広げられ、自由主義経済が発展して来ました。結果、英国は一時期、食料自給率が数%まで低下してしまったそうです。
 ところが第二次世界大戦で植民地からの食料調達が途絶えて英国人は飢えに苦しみます。結果、在の英国は、無駄と分かっていても穀物をほぼ自給する体制を整えているそうです。結局、自由貿易は食料安全保障において無力な事を、自由貿易の母国である英国は我々に教えてくれています。
 この「亡国の農協改革」の骨子は安全保障に対する危機意識を持つ事の重要性であり、安全保障とは簡単に説明すれば「無駄」の事です。その意味で政府が農産物を総て買い上げる「無駄」は、安全保障の観点から理にかなっており、それを家畜に処分させれば、大変「美味しい」解決策となるでしょう。 (みぬさ よりかず)』


 みぬさ よりかず様、ありがとうございました。


 「亡国の農協改革」において、わたくしは、日本の食料安全保障を維持、確立するために、同時に耕作放棄地の問題を解消するために、あるいは「食料自給力」を維持するために、
「日本全国の全ての農地で食料生産を実施し、当然、輸入も続け、国内の余剰になった農産物を「廃棄」してしまうのだ。」
 と、書きました。


 とはいえ、実はより有効な手段があったりします。

 みぬさ よりかず様の提案と似ているのですが、耕作放棄地を含め、全ての農地を耕作し、農産物を過剰に生産し、余った農産物を政府が買い上げ、韓国や台湾、東南アジアといった周辺諸国にダンピングして輸出するのです。周辺諸国が「安い」日本の農産物に依存するようになれば、我が国の安全保障は防衛面を含めて強化されます。日本に国民の「胃袋」を握られているとなると、韓国を除く国々とは「友好関係」が築けるでしょう。


 ここで言う「友好関係」とは、日本国を利する関係という意味です。


 反日国家韓国と「友好関係」を築けることはないでしょうが、それでも韓国が日本の農産物に「依存」する状況は、我が国の安全保障強化に寄与し、外交力も高めます。「食」という人間が生きていくための基本の供給能力を支配することで、外国に対する影響力を高めるわけです。


「えげつない」
 と、思われたかもしれませんが、まさに戦後のアメリカが我が国にやってきたことが「↑これ」なのです。



 というわけで、日本の耕作放棄地問題の解消法の一つは、「政府がカネを出し、耕作し、余剰になった農産物を外国に叩き売る」になります。実際、アメリカという国家は、農産物を、
世界をコントロールするための、一番安い武器」(鈴木宜弘 東京大学大学院教授)
 と位置づけ、官民一体となり外国市場におけるシェアを広げていっています。


 これが、世界の現実なのです。

 そう考えたとき、我が国の「農協改革」が、いかに貧しい考え方(日本の食料安全保障を弱体化する、という意味で)であるかが分かります。安全保障について実践的な考え方ができず、国民、特に政治家の思考の貧困化を止められない国は、亡国への道を引き返すことはできないのです。


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