正しい知識

テーマ:

株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『投資のマトリクス①』三橋貴明 AJER2015.8.18(7)

https://youtu.be/l0h3BFFcLOk

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

   


 昨日のエントリーのコメントで、
「 頼むから!  最低限の知識ぐらい理解してくれ。」
 という、コメントを書きこんで下さった方がいますが、未だに「最低限の知識」を身に着けていない方がいらっしゃいますので、復習


◆名目GDP=民間最終消費支出+政府最終消費支出+民間企業設備+民間住宅+公的固定資本形成+在庫変動+純輸出


 上記は、名目GDPの定義なので、誰も否定できない統計的な原則です。そして、経済成長とは「GDPの成長」になります


 細かい話をすると、経済成長率とは「実質GDPの成長率」ですが、とりあえず名目GDPがマイナスになる提言をする人は、間違っています

 昨日のエントリーのコメントで、
「公務員の給与を削り、子ども手当を増やせ」
 と、(未だにこのレベル・・・)と、絶望したくなるコメントがありましたので、整理しておきます。


 公務員の給与は、上記の「政府最終消費支出」の需要項目になります。公務員給与は、
「公務員が行政、経済、防衛、防犯、消防等の公的サービスを生産した。それに対する消費支出」
 という意味を持つため、GDPの政府最終消費支出の一部になるのです。


 つまり、公務員が給与を一円も消費に回さなくても(そんなことはあり得ませんが)、GDPは増えるのです。公務員が消費に給与を回すと、乗数効果になります。


 ちなみに、三橋は公務員ではありませんし、公務員の身内もいないので、個人的に公務員給与が高かろうが安かろうが、どうでもいいです。とはいえ、現時点で「公務員給与を削減しろ」と主張することは、「GDPを減らせ」と言っているに等しいというか、そのままなのでございます。そういう統計なので、仕方がありません。


 デフレという需要不足の状況で、需要(=名目GDP)を減らせ。というわけで、「デフレ脱却」を望んでいながら、公務員給与削減を主張するのは、完全に不整合です。

 しかも、公務員給与を削減し、「財源」とやらを調達し、使う対象が「子ども手当」とは・・・・。


 子ども手当は、所得移転です。すなわち、上記の名目GDPのいずれにも該当しません。お父さんが子供にお小遣いを渡しても、GDPは増えないのと同じです。


 GDPとは、
国民が生産者として働き、モノやサービスを生産し、顧客が消費・投資として支出し、創出された所得
 の合計なのです。子供に小遣いを渡したところで、モノやサービスが生産されることにはなりません。子ども手当も同じなのです。


 無論、子ども手当を普及された人が消費、投資として支出すれば、GDPになります。とはいえ、子ども手当を支出し、「幾ら」「何%」消費、投資に回るのか、この世の誰も分かりません


 つまり、
「公務員の給与を削り、子ども手当を増やせ」
 と、主張する人は、
確実にGDPになる公務員給与を削れ。代わりに、GDPになるかどうか分からない子ども手当に回せ
 と言っていることになります。


 ね? 「未だにこのレベル・・・・」と、天を仰ぎたくなる気分が分かるでしょ?というか、上記の議論は民主党政権期に散々やったのですが・・・。


 間違った知識を前提に正しいソリューション(解決策)を、神様にもできませんよ


 オックスフォード大学のケビン・オウローク 教授が、ユーロについて恐ろしく的確なコラムを寄稿していました。


瀕死の通貨「ユーロ」の命脈は尽きている 続ければ続けるほど悲惨な結果を招く
http://toyokeizai.net/articles/-/80463
 ここ数年で明らかになったことだが、「現実に存在している欧州通貨統合(EMU)」は経済的にも政治的にも高くついた失敗だった。欧州の諸機関への信頼は崩壊し、ユーロに対してだけでなく、欧州の計画全体に対して懐疑的な政党が勢力を伸ばしている。が、大半の経済学者は、失敗した実験を断念する時だと論じることに乗り気でない。
◆EMUの崩壊が「金融危機の生みの親」になる?
 米経済学者のアイケン・グリーンの有名な論文は、予期されるEMUの崩壊は「すべての金融危機の生みの親」になると指摘している。この見方に異論を唱えるのは難しい。だから共通通貨ユーロの導入を支持したかどうかにかかわらず、あらゆる経済学者がユーロ圏の機能不全を少しでもよくする制度改革や政策変更の包括案を作り出し、推し進めることに過去5年を費やしてきた。

 短期的には、ユーロ圏は金融・財政政策の大幅な緩和を必要としている。さらには、より高水準のインフレ目標(名目賃金と物価の下落を防ぐ効果)、適切な債務救済、権限を集中させ財政的歯止めも伴った適切な銀行同盟、各国の銀行が保有でき、国家と銀行の間の悪循環を断ち切る「安全な」ユーロ圏資産などが必要だ。 
 残念ながら経済学者たちは適切な財政同盟への支持を強く主張してこなかった。これが経済的に必要だと考える者も、政治的には不可能だと見て口を閉ざしている。問題は、この沈黙によって政治的に可能な範囲がさらに狭まり、より穏健な提案も頓挫したことだ。(後略)』


 後略部で、「社会党」のオランド大統領が、何と「セイの法則」を持ち出し、逆に国民戦線がクルーグマン教授やスティグリッツ教授を引き合いに出すという、フランスの歪んだ政治状況について書かれていました。本来であれば、社会党のオランド大統領こそが、クルーグマン教授やスティグリッツ教授を引き合いに出し、「金融政策+財政政策」を推進する立場だと思うのですが。
 なぜ、このような状況になるのでしょうか。


 結局、「公務員給与を減らせ!」の人も、オランド大統領も、正しい知識を身に着けておらず、「間違った固定観念」に支配されているようにしか見えません。あるいは、ルサンチマン(社会に対する鬱屈とした怨念)で頭が染まっているのでしょうか。


 オランド大統領は知りませんが、「公務員給与を減らせ!」の人は、まず間違いなくそうなのでしょう。


 正しい知識を身につけましょう。そのためには、まずは「間違った固定観念」や、妙なルサンチマンに基づく「○○のせいだ!」「○○が悪いんだ!」から脱却しなければならないのです。


 「○○のせいだ!」とやっていると、いつの間にか頭の中で「間違ったグローバリズム・構造改革主義」が善になるという、不思議な(同時に巧みな)手法が「言論空間」を支配していますので、ご注意を。 


「正しい知識を身につけましょう」に、ご賛同下さる方は、

↓このリンクをクリックを! 

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆三橋貴明関連情報

Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中

新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。