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『ギリシャは何故破綻したのか①』三橋貴明 AJER2015.7.14(7)

https://youtu.be/BWbxtFwp-Cs

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※三橋も決起人を務めさせて頂いております「全国ふるさと甲子園(8月7日)」のご案内です。三橋も参りますので、皆様、是非、お越しくださいませ。

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 青木泰樹先生や藤井聡先生、そしてわたくしも散々に繰り返して指摘していますが、日本の官庁のデフレギャップ(なぜか「需給ギャップ」と呼ぶ)の指標は「インチキ指標」です。何しろ、デフレギャップ計算時の潜在GDPとして、
過去のトレンドの平均の供給能力
 である平均概念の潜在GDPを用いているわけでです。


 結果的に、日本銀行や内閣府の「需給ギャップ」の指標は、時々「プラス」化します。すなわち、インフレギャップが計算できてしまうのです。


【インフレギャップとデフレギャップ 】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#Gap


 上の図の左側、「インフレギャップ」が数値として発表されるのです。すなわち、「生産不可能なモノ・サービスが買われている」ことになります


 皆さんは、最大で80の生産能力しかない(最大概念の潜在GDP=80)。お客さんは、100欲しいと言っている。さて、実際の需要(名目GDP)はいくらになるでしょうか。もちろん、80です。生産できないモノを消費、投資できるはずがないのです。


 ところが、日銀や内閣府の需給ギャップの統計では、「=名目GDP-潜在GDP」のインフレギャップが数字で計算されてしまいます


 あの・・・、潜在GDP以上にモノやサービスが消費されているということは、要するに「潜在GDPが、実はもっと大きい」という話にならないのでしょうか。


 もちろん、なります。日銀、内閣府の潜在GDP計算は「過去のトレンドの平均の供給能力」であり、本来の、
日本の労働者、設備がフル稼働したときの潜在GDP
 すなわち、最大概念の潜在GDPではないのです。

 

 まさに、インチキ指標です。ちなみに、日本のデフレギャップ計算時の潜在GDPを「平均概念」に変えたのは、竹中平蔵氏です。

 同じインチキ指標であっても、内閣府よりも日銀の方が酷いです。日本銀行の潜在GDPは、実質GDPの値(現実の値)をGDPギャップの計測に用いず、さらに稼働率計算時に現実の鉱工業生産の値のみならず、短観や法人企業景気予測調査における企業経営者の設備需給判断や労働需給判断を加味するという、ファンタジックな指標になっています。「予測」「予想」が潜在GDP計算時の計算に含まれてしまうのです。


 まだしも、内閣府の方が「現実」の数字をベースに潜在GDPを計算します。とはいえ、「最大の稼働率」ではなく「過去のトレンドの稼働率」で計算するため、デフレギャップは本来のものより小さくなります。


 それ以上に酷いのが日銀でございます。何と、日本銀行の需給ギャップによりますと、我が国はすでにデフレから脱却してしまっているようです。


日本経済、需要不足を解消 1~3月日銀試算 物価へ影響見極め
http://www.nikkei.com/article/DGXKASGF16H1D_W5A710C1PP8000/
 日銀が16日に発表した7月の金融経済月報で、日本経済の需要と潜在的な供給力との差を示す「需給ギャップ」を公表した。2015年1~3月期は需要が供給を0.1%上回り、需要超過に転換した。日銀は、日本経済の地力である潜在成長率を上回る成長率が続くなかで、需給ギャップもプラス幅を拡大していくとみる。(後略)』


 新聞は「日銀の需給ギャップが+0.1%になった」という記事を書く際に、
「最大概念の潜在GDPと平均概念の潜在GDPの違い」
「日銀が需給ギャップ計算時に実際の実質GDPを使わず、短観等の「予測調査」も使用する」
 といった問題点を書きません。日経の見出しを読んだ国民や政治家は、「日本の需要不足は解消した」と判断するでしょう

 結果、デフレ脱却のための財政出動は行われず、レント・シーキング的な規制緩和、構造改革が推進され、国民が貧困化し、またもやデフレに逆戻り。というパターンを、我が国は繰り返してきたわけです。


 一応、日経はラストに、
「一方、内閣府が試算した1~3月期の需給ギャップはマイナス1.6%だった。金額にして約8兆円の需要不足が残っている。」
 と書いていますが、なぜ「違いが生じるのか」は一切説明していません。(記者が分かっていないのかも知れませんが)

 いずれにせよ、日本のデフレギャップ(需給ギャップのマイナス)は8兆円どころではありません。何しろ、完全雇用の失業率までまだ約1%もあるわけです。(過去のデータを見る限り、日本の完全雇用は2.3%程度)


 現時点で、「すでに日本はデフレから脱却した」と判断し、緊縮財政と構造改革が実施されると(されるでしょう)、普通に日本はデフレに逆戻りです。この種の事態を回避するためには、国民が「インチキ指標」について正しく知るしかありません


 というわけで、細かい話で恐縮ですが、今後も、
「最大概念の潜在GDPと、平均概念の潜在GDP」
「日本銀行の需給ギャップの問題」
 について繰り返し取り上げていきたいと思います。


 間違った指標で正しい判断を下せる人はこの世にいないのです


「間違った指標で正しい判断は下せない」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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