ドイツ帝国と最後通告

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『視聴者からの質問に答えて(プライマリーバランスについて)①』三橋貴明 AJER2015.6.9(11)

https://youtu.be/JRE39dg0-eA

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 大詰め、土壇場、瀬戸際と、大仰な言葉で表現されることが「続いている」ギリシャ情勢ですが、


ギリシャ協議45分で終了、合意せず-ユーログループで議論へ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPYACS6KLVR401.html
 14日にブリュッセルで行われたギリシャと債権者の大詰めの交渉はわずか45分で終了した。これにより同国への支援をめぐる協議は18日にルクセンブルクで行われるユーロ圏財務相会合に焦点が移る。
 欧州委員会は14日夜、「若干の進展があったが、大きな相違が残り、協議は成功しなかった」と述べ、「ユーログループ会合でさらに議論が行われる必要がある」との声明を発表した。 』


 昨日も土壇場の大詰の協議が行われ、例により進展なく終了いたしました


 協議が進展しない中(するわけもないのですが)、EU高官が12日にギリシャが債務不履行に陥る可能性を正式に協議していたという情報が流れています。さらに、一部のエコノミストの間では、債権団は近々にもギリシャに、
「債権団側の要求(緊縮財政と構造改革)を受け入れるか、あるいはユーロから離脱せよ」
 という、最後通告を行う可能性があるとの見方が出てきています


 三菱東京のデレック・ハルペニー氏は、
「最後通告は近く行われると見ている。ただ、その結果、ギリシャがユーロ圏を離脱するとのシナリオを描いている人はいない。何らかの解決が得られるとの期待はまだ消えていない」
 と、語っています。


 ところで、先日の有料メルマガ「週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~ 」では、「ドイツ帝国」というタイトルで配信いたしました。エマニュエル・トッド氏の「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) 」ではないですが、わたくしは現在のユーロ圏は、冗談でも何でもなく「定義的に」ドイツの帝国であると考えています。


 詳細を知りたい方は、メルマガのバックナンバーをお読み頂きたいのですが、「帝国」とは、少なくとも「帝国主義」以降の帝国とは、特定の国家が特定の国家の「主権を制限」し、一方的な所得の移動を実現するシステムです。


 例えば、インドを植民地にしたイギリスは、同国の市場に自国産綿製品を雪崩れ込ませ、貿易黒字という形で所得を自国に流入させました。あるいは、ベトナムを植民地にしたフランスは、現地に橋を建設し、ベトナム人から通行料を徴収し、所得収支流入という形で所得を自国に流入させました。


 要するに、
制度的に、継続的に、一方的に所得が特定の国から特定の国へと移転されるものの、搾取される側の国民は主権がなく、どうにもならない
 仕組みこそが、(帝国主義以降の)帝国であると定義しているのです(異論がある人もいるでしょうが)。


 そう考えたとき、現在のユーロ圏は、
「(対ドイツで)関税自主権がない」
「(対ドイツで)為替レートの変動がない」
 というわけで、ユーロ加盟国は生産性でドイツを上回らない限り(ほぼ不可能です)、毎年、貿易赤字としてドイツに所得を献上することになります。さらに、ドイツの貿易黒字は(例えば)ギリシャ国内に投資され、今度は所得収支として所得がドイツに流出することになるわけでございます。
 

 結果的に、ギリシャのような負け組は必ず対独で対外純負債が拡大し(統計的に必ずそうなる)、資金的な融資を受けざるを得なくなり、更なる主権喪失と金利の流出(ドイツへ)という憂き目に会います


 ギリシャがユーロに残留している限り、対策はたった一つ。ギリシャ国民がひたすら貧乏になり、ユーロ圏における価格競争力を回復すること。という、情け容赦ない「搾取のシステム」こそが、現在のユーロなのです。


 トッド氏の著作を読む限り、「ドイツ帝国」の支配は盤石で、フランスが「ユーロ離脱」を検討するという奇跡でもない限り、継続しそうな様相です。ギリシャが離脱したとしても、今度は別の国(多分、ポルトガル)が「負け組」と化し、同じ問題が繰り返されることになるでしょう。


 それにしても、新古典派経済学的な思想をベースにした「ドイツ帝国」が、いつの間にか建国されていたわけでございます。改めて、ドイツというのは「色々な意味で」凄い国だと思うわけですが、この種の本質論が議論されない限り、ユーロの危機は永遠に続くと確信している次第でございます。



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