泥沼な改革

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『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17

https://youtu.be/54A1iQdY8Zs

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』

パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志

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 ユーロが絵にかいたような泥沼に陥っています。火種はもちろん、ギリシャ


 3月9日、ギリシャの内務大臣が、
イスラム教徒の難民をドイツに大量流入させてやる
 と、発言。ドイツ側は激怒。(EUでは、難民は「最初に受け入れた国」が保護を義務付けられています)


 さらに、ギリシャはご存知の通り、第二次世界大戦期のナチス・ドイツによるギリシャ占領の「賠償」を請求しようとしています。請求額は、およそ3000億ユーロ(!)。

 しかも、ギリシャ側は、ナチスがギリシャ占領期に強制的に融資を引出し、それを返還していないと主張。融資額は、ユーロに直すと110億ユーロとのことです。


 本日、ギリシャのチプラス首相がベルリンを訪れ、メルケル首相と会談することになります(実は、初顔合わせ)。メルケル・チプラス会談で、今後の動きについて、少なくとも方向性は見えてくるように思えます。
 
 ギリシャのチプラス首相には、あまり時間が残されていません。次々に融資の返済期限がやって来るのに加え、すでにギリシャ国内の銀行から預金流出が始まっているためです。


ギリシャ銀から1日3億ユーロ流出、悪化トレンドの始まり懸念
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0MF14V20150319
 ギリシャの銀行からの預金流出額が18日だけで約3億ユーロとなったことが分かった。1日当たりの流出額としては、2月20日にギリシャ政府が金融支援の延長でユーロ圏と合意して以降最も大きくなった。事情に詳しいギリシャの銀行幹部2人が19日に明らかにした。
幹部の1人はロイターに対し、「交渉に進展がなく不透明感があることや、ネガティブなニュースがセンチメントを悪化させている。流出額は大きくはないが、悪化トレンドの始まりかどうかが懸念される」と述べた。
もう一人の銀行幹部は、「ギリシャのユーロ圏離脱が懸念されている現在の環境下では、預金者が近い将来に銀行に資金を戻すことは考えづらい」と指摘。「週末を前に預金の流出が続く可能性がある」とした。(後略)』


 ユーロの場合、預金者は稼いだ所得(ユーロ)を、ギリシャ国内の銀行であろうが、ドイツの銀行であろうが、好きな国の銀行に預ければいいわけです。何しろ、共通通貨なので、問題の為替リスクはありません。


 当たり前ですが、ギリシャの預金者が預金をギリシャ国内の銀行口座からドイツ国内の銀行口座に移したお金も、「ギリシャのATM」から引き出せます。手数料を除くと、ギリシャの富裕層がドイツ国内の銀行口座に預金を移したとしても、特に不便はないのです。


 ギリシャの銀行は、すでに流動性をECBの緊急流動性支援枠に依存する状況になってしまっています。EUからの支援が始まらなければ、ギリシャの流動性危機は深刻化していくことになりますが、EUの支援が開始されるには、ギリシャ側が「改革案」を提示しなければなりません。改革案とは、要するに構造改革と緊縮財政の組み合わせであるため、ギリシャの国民経済に痛みが(というか激痛が)生じることになります。


 チプラス首相は、20日のEU首脳陣との会合後、
「可能な限り近いうちに経済改革リストを提出する」
 ことを表明しました。


 とはいえ、同じ会合において、EU側はむしろ疑心暗鬼を高めており、会合では、
「2月20日の合意を着実に実行する」
「ギリシャ側は数日以内に改革案を提示する」
 ことが確認されただけに終わりました。フランスのオランド大統領は、
ギリシャが多くのデータと詳細な改革案を示すのが優先事項だ
 と、改革案の提示を促しました。


 ギリシャ政府は3月、IMFなどに15億ユーロを返済。国内の公的な機関投資家(年金など)にギリシャ国債への投資を求めるなど、資金繰りに追われています。


 どうやら3月中は大丈夫のようですが、税収が減ってきているため、4月以降に「資金切れ」になる可能性があります。


 現在、ギリシャの長期金利は12%前後に達しています。本日のメルケル・チプラス会談の結果によっては、預金流出が加速。ギリシャ国債の金利が急騰し、「デフォルト」の方向に一気に進むことになるでしょう。


 改めて考えたいのですが、
「ギリシャをユーロに加盟させる」
 ことは、グローバリズムに基づく「改革」、しかも改めて考えてみると、「過激な改革」でした。ギリシャ問題はギリシャがユーロに加盟しているからこそ、深刻化していっているわけです。ギリシャが非ユーロ加盟国であれば、「ギリシャがデフォルトした」で話が終わります。

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 国民を豊かにしない、グローバリズム的「改革」の多くは、手遅れになるか、もしくはフォローが極めて困難になり、政治的コストがかかる。現在のギリシャ問題を見ていると、間違った「改革」のコストが改めて理解できないでしょうか。