TPPと農協改革(中編)

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『実質賃金を引き上げる方法①』三橋貴明 AJER2015.3.17

https://youtu.be/54A1iQdY8Zs

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一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

5月15日(金) 19時30分より『Voice』特別シンポジウム『日本の資本主義は大丈夫か――グローバリズムと格差社会化に抗して』

パネリスト:小浜逸郎、三橋貴明、中野剛志

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 さて、まず理解してい欲しいのは、「先方」はジリジリと、一歩一歩、着実に、少しずつ、確実にやって来るという話です。まるで、玉ねぎの薄皮をはぐごとく、本当に根気よく、しかも長期戦略をもってやってきます。


 玉ねぎの皮を一枚剥かれた時点で、「危機感」を持つ人は少ないでしょう。とはいえ、向かれる皮は次第に増えていき、いつの間にかポイントオブノーリターン(後戻り不可能な分岐点)を過ぎている、というのが毎度のパターンなのです。

 ちなみに、韓国は米韓FTAにより、すでに農協を解体されており、農林中金は「株式会社農協銀行」、共済は「株式会社農協生保」「株式会社農協損保」になってしまっています。しかも、韓国の農協(地域農協)は、提供する金融サービスにおいて、農協銀行、農協生保、農協損保の金融商品の割合を「一定以下に抑える」という規制が導入されてしまったから、大変です。


 現在、韓国の農協は大混乱の最中にあるとのことでございます。日本で准組合員に対するサービス提供を規制されると(五年後に再検討ですが)、同じ状況になるわけです。


 さて、昨日も解説しましたが、JAグループの中には、農産物の販売、営農資材や生活物資の流通を担う、商社としての役割を果たす全国農協協同組合連合会、すなわち「全農」があります。全農は、すでに解説した通り、協同組合方式で運営されており、株式会社ではありません。(農協がそもそも協同組合なのですが)


 全農が株式会社化され、そこに「外国資本」が入った日には、何が起こるかおわかりですね。我が国の食料流通が、外国に支配されることになってしまいます。

 全農の下にはいくつもの子会社があります。子会社は株式会社ですが、会社の全農は協同組合です。(しつこいですが、ここ重要です


 全農の子会社の一つに、ロスアンゼルスに本社を置く全農グレイン株式会社があります。全農グレインは、アメリカから穀物を輸入している会社ですが、現地で「仕分け」を実施し、日本に遺伝子組み換え作物等が流入しないように管理しています。


 この全農グレーンを、「喉から手が出る」ほど欲しがっている会社が、世界に二つあります。一つが中国最大の食品会社、中糧集団(COFCO)、そして二つ目が、言わずもがなな気がしますが、世界最大の穀物メジャー、米カーギル社でございます。


 なぜ、カーギルやCOFCOが全農グレインを欲しがっているのかは、いずれ書く予定になっていますが、とりあえず現時点では買収不可能です。理由は、全農グレインが「協同組合」組織である全農の子会社になっているためです。全農に対しては、「資本の論理」が通じないのでございます。


『[解説 農協改革 4] 全農・経済連 株式会社転換へ道筋
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32339
 骨格では全農・経済連について、農協出資の株式会社への転換を可能にする規定を、関連法案に新たに設けるという結論になった。株式会社に転換した場合、農協以外の外部に経営が支配されないよう、株式の譲渡制限も設ける方向だ。
 全農・経済連は農協法に位置付けられた連合会で、単位JAが会員。昨年6月の与党取りまとめでは、単位JAの経済事業強化に向け、全農・経済連が経済界と連携しやすくするため、農協出資の株式会社へ転換を可能にするとしており、骨格でもこれに沿う形で決着した。(後略)』


 はい、上記の通り、今回の「農協改革」で、全農については「株式会社化しても良い」という「道筋」がつけられることになってしまいました。さすがに、一気に「全農を株式会社化する」という過激な「改革」は実施できなかったのですが、それでも第一歩には変わりありません。


 彼らは、ジワリ、ジワリとやってきます。

 今後、全農が株式会社化されていった場合も、当初は株式譲渡制限がつくでしょう。とはいえ、次第に株式譲渡制限が緩み、最後には外資規制も認められない形で、
「誰でも、自由に全農に出資できる」

 という形になった時、我が国の農産物の流通を「外国資本」に握られるという悪夢が現実味を帯びてきます。

 その段階になれば、カーギルも念願の全農グレインを手中に収めることができるわけでございます。そうなると、日本側がアメリカから穀物を購入する際に「仕分け」をすることも「選別」をすることもできなくなるでしょう。


 もっとも、常識的に考えて、全農が株式会社化し、譲渡制限が緩和されたとしても、普通は「外資規制」がかけられるはずです。だからこそ、農協改革と同時並行的に、TPPが交渉されているわけでございます。本件は、明日に続きます。


 さて、どのような感想を抱かれたでしょうか。


 全農の「株式会社化を可能とする」ことで、日本の食料流通が外国に握られるという「構造」への第一歩が踏み出されたわけで、こちらはさすがに「国家存亡の危機」に繋がる可能性があると思うのですが、いかがでしょうか。


「全農の株式会社化は国家存亡の危機に繋がる可能性がある」にご賛同下さる方は、

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