飽和点(前編)

テーマ:

株式会社経世論研究所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

チャンネルAJER更新しました!

『高度成長期に学ぶ①』三橋貴明 AJER2015.3.10

https://youtu.be/cAze-cExL_s

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

一般参加可能な講演会

3月28日(土) 12時より『シンポジウム「台湾映画『KANO』にみる、忘れられた台湾史と今の日本人に求められるもの」』 文京区シビックセンターにて。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 



 本日は19:54からテレビ愛知「激論コロシアム」に出演します。
http://www.tv-aichi.co.jp/gekiron/


 世界中で「物価下落」もしくは「物価上昇率の低迷」という現象が発生しています。


『1月米消費者物価が前年比で09年以来初の低下、ガソリン安響く
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LU1P220150226
 労働省が26日発表した1月の消費者物価指数 (CPI)は、総合指数が前月比0.7%低下した。ガソリン価格下落が響き、2008年12月以来の大幅な落ち込みとなった。低下は3カ月連続。予想の0.6%を超えて低下した(後略)』


『ユーロ圏、CPIは3カ月連続低下―失業者数は減少
http://jp.wsj.com/articles/SB11785226218567734557404580493571022604714
(前略) 欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットが2日発表した2月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.3%低下した。1月は0.6%低下していた。CPIは昨年12月、2009年終盤以降で初めて低下に転じた。(後略)』


『中国の生産者物価指数 大幅な落ち込み
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150310/k10010010241000.html
 中国では企業が製品を出荷する際の値動きを示す指数が、先月は前の年の同じ月に比べて4.8%の下落と、5年4か月ぶりの大幅な落ち込みとなり、中国経済が減速するなか、内需の弱い状況が続いているという見方が広がっています。(後略)』


『韓国の2月の消費者物価指数が事実上マイナス、デフレ懸念強まる
http://www.recordchina.co.jp/a103572.html
(前略)韓国統計庁によると、2月の消費者物価指数は前年同月比0.5%の上昇にとどまった。物価寄与度が0.6%のたばこを除くと、2月の消費者物価上昇率は0.1%減と史上初めてマイナスを記録したことになる。(後略)』


『タイ消費者物価指数、2カ月連続で前年同月比マイナス
http://www.newsclip.be/article/2015/03/08/24975.html
 タイ商務省がまとめた2月の消費者物価指数(CPI、2011年=100)は106・15で、前年同月比0・5%低下した。(後略)』


 ブラジル・レアルや、ロシア・ルーブルなど、通貨暴落に見舞われている一部の国を除き、多くの主要国のインフレ率やPPIが0%台、もしくはマイナスになっている。世界史上、初めての現象なのではないかと思います


 無論、「エネルギー価格」を含む消費者物価指数が下落傾向にあるのは、原油価格が低迷しているためです。とはいえ、ポイントはこれだけ原油価格が下がったにも関わらず、需要増による価格反転が見られない点です。


 3月12日の原油の先物価格は、一時、1バレル=46ドル台に値下がりしました。アメリカの原油の在庫は、1982年に統計を取り始めて以降、過去最高の水準に積み上がっており、原油の供給が過剰になっていることが裏付けられます。


 無論、原油需要の低迷は、中国の不動産バブルなどのミクロ的(国単位の)要因もあります。そもそも、中国のPPI(生産者物価指数)が下落しているのは、バブル崩壊で鋼材価格が下落したことも影響しています。また、原油価格の下落の影響を受け、化学繊維やプラスチック製品が値下がりしています。


 繰り返しますが、ポイントは、
値下がりが、需要増を呼び込んでいない
 という点になります。


 ミクロ経済学の「需要法則」では、
「財・サービスの価格が下がれば、人々がその財・サービスの需要を増やす(=購入を増やす)」
 ということになっています。現実には、世界各国で「価格が下がっているにも関わらず、需要が増えない」という現象がみられるわけです。(もともと、ミクロ経済額は世界経済を分析する際には、何の役にも立たないのですが)

 さて、「三橋貴明の「新」日本経済新聞」において、青木先生が岩田日銀副総裁が使う「足し算エコノミスト」という揶揄を取り上げています。


【青木泰樹】足し算エコノミスト
http://www.mitsuhashitakaaki.net/category/aoki/page/2/


 岩田副総裁は、物価水準について、ミクロ的なモノやサービスの価格変化を足し合わせて決まるものではなく、マクロ的諸要因(需給ギャップ、期待インフレ率等)によって決まると繰り返しています。(わたくしも三年前くらいに直接聞きました)


 岩田氏は、
「各財・サービスの価格の変動が、消費者物価などの物価水準を決める」
 という、わたくし的には「当たり前の話」を語る論者について、足し算エコノミストと呼称しています。


 これは直接聞いたわけではないですが、岩田副総裁は、
「ある財の価格変動は必然的に他財の価格変動をもたらし、それによって相殺されるため、物価水準の変動には及ばない」
 と、懐かしのフリードマンと似たような考えを抱いているのだと思います。

 青木先生が例を挙げていらっしゃる通り、
「原油価格の下落はガソリン価格の低下をもたらしますから、自動車の売れ行きが良くなって自動車価格が上がる
 という考え方が、分かりやすいでしょう。あるいは、
「原油価格が下落し、ガソリン代が浮いた消費者が、他の商品への支出を増やす結果、商品の価格は上がる
 というパターンもあり得ます。


 要するに、岩田副総裁は、「物価水準を決めるのは、貨幣数量」であると主張しており、「個別の財やサービスの価格が、一般物価を決めるのではない。決めるのはマネタリーベース」と言いたいのでしょう。


 とはいえ、消費者物価指数とは、そもそも個別の財・サービスの「価格」にウエイトを付け、合算されて弾き出されているのです。個別の財・サービスの価格が変動すれば、物価指数も動くのです。


 原油が下がれば、消費者物価指数(少なくとコアCPIは)下がるのです。


「いや、原油価格が下がれば、浮いたお金を消費者が別の財・サービスの購入に使うため、全体では物価水準は変わらない」
 などと主張する人がいるとすれば(いますが)、間違いです。何しろ、消費者は浮いたお金を「貯蓄」できるのです。なぜに、特定の財・サービスの価格が下がった時、浮いたお金が「全額、別の財・サービスの購入に回る」と信じ込めるのか、謎でございます。


 現実に、世界各国は原油価格下落と連動する形で、物価指数が低迷していっています。原油価格が下落したなら、浮いたお金が「他の財・サービスの購入」が買われ、物価は変わらないはずが、普通に「物価下落」の状況になっているわけです。


 なぜ、原油価格が下落しても、原油に対する需要が回復しないのか。


 明日に続きます。


「本ブログで世界経済が分かって来る」と、ご評価下さる方は、↓このリンクをクリックを!

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
◆関連ブログ

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◆三橋貴明関連情報

Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中

新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。